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北原夏美 四十路 初裏無修正

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男とは? 7/30(水) 16:02:20 No.20080730160220 削除
次の日も、その次の日も、更にその次の日もずっとその繰り返しでした。妻と本音
で話し合う事など出来なかったのです。泣いている妻を見ると益々自分が惨めに
なり、その矛先は妻に向ってしまいます。叩き、蹴り、髪を引っ張り引きずって
しまいます。あのDVDを見ていなければ、口づけの写真を見ていなければここまで
惨めにならなくとも済んだかも知れません、妻を許していたかも知れません。切欠は
解っているのです、妻は私を守ろうとしていたのかも知れないのです。

津岡とは慰謝料、念書等話さなければならない事が山程あります。しかし妻を抱いた
男と思うと会う気になれず、遣り取りは電話、メールで済ませました。本来は直接
会って、憎い男を目の前にして思いの丈を吐き出さなければいけなかったのでしょう
が、それが出来なかったのです。津岡も私の要求に淡々と答えて来ただけでした。
そんな津岡に不気味さを感じてしまいます。

金曜日の事です。この日、工場勤務の私に津岡社長が尋ねてくれます。

「北上さん、本来は圭介と同道すべきだが、彼からの預かりものです」

社長は慰謝料、津岡の詫び状を私に手渡してくれます。慰謝料の金額はX百万円、
詫び状には今回の顛末を詫びる旨、今後一切妻には連絡もしない、もし違えた
場合は如何なる処罰も覚悟する旨書かれていました。

「津岡は?」
「妹の亜希子とは離婚させました。会社の方は懲戒免職です」

その厳しさに一瞬絶句してしまいました。

「これに免じてとは言わないが、刑事告訴だけは許してやって欲しい」

元々、私には刑事告訴などする気はありません、これ以上夫婦の恥を公に晒したく
ありません。

津岡社長が津岡と亜希子さんを目の前に話したところ、その経緯の酷さに亜希子さん
はその場で離婚を決めたそうです。亜希子さんは気性がきついらしく、津岡の性格
に起因するところが大いにあるのでしょうが、既に家庭内離婚の状態だったようです。
津岡は浮気を繰り返していたそうです。しかし今までは人妻を相手にするような事は
なかったようです。それが今回の事で即離婚と言う結果になったのです。

「亜希子は気性の激しい女です。三浦は、あっ、三浦は圭介の
元の姓です。彼は亜希子に頭が上がらなかったようです。亜希子は
奥さんに慰謝料を請求すると言っていましたが、これは私が
何としても止めます」
「しかし、亜希子さんは離婚までされている、妻は慰謝料を請求
されても当然だと思いますが」
「いや、切欠が切欠です。そんな事をさせる訳にはいきません」

津岡社長の人柄が偲ばれます。その後津岡社長が話してくれました。

津岡夫婦が住んでいたマンションは亜希子さん名義である事、三浦のこれからの
住まいは津岡社長が手配した貸マンションである事もその住所と共に教えてくれます。
さすがに仕事は自分で探せと言ったそうです。

社長が帰った後、詫び状をコピーしました、コピーを妻に渡すつもりです。

「詫び状のコピーと慰謝料だ。俺はこんな汚れた金は要らない。お前も
亜希子さんから慰謝料を請求されるだろう。この金を持って出て行ってくれ」

自分でも思ってもいない言葉が出てしまいました。妻の泣きそうな、縋るような
表情が私にそんな言葉を言わせてしまったのです。
男とは? 7/30(水) 16:03:51 No.20080730160351 削除
「いやー、出て行けって言わないで下さい。傍に居て償えって言って下さい」

私はそれに返事をせず、2階に上がりました。階段を上っていますと、台所からの
ものでしょうか、私の好きな魚の煮物の匂いが登ってきます。妻の不倫が発覚して
から1週間経ちますが、私が食べないのにも関らず妻は毎日食事を用意しています。

可哀そうなような気がしますが、私の胃が受け付けてくれません。シャワーを
浴びてそのまま寝る事にします。妻はどう言う思いで食事を作っているのでしょうか。
私にいつか食べてもらえる日を待ち侘びているのでしょうか。その心情を思うと
切ないものが込み上げてくるのです。

明くる土曜日、兎に角、妻の居る家に居たくありません、もう愛していないから、
憎んでいるから、いや違います。この時、私が妻をまだ愛しているのか、それとも
憎んでいるのかさえ解らなかったのです。妻の惨めな姿を見たくなかったのです。

妻に声をかける事もせず、朝早く家を出ました。映画を見てもただ画面を追っている
だけ、喫茶店で本を読んでも頁をめくっているだけでした。妻と話合ってみようと
2時頃帰宅しました。玄関前に見知らぬ車が停まっていました、小さな1リッター
の車です。

「嫌です。出て行ってください」

ドアーの向こうから妻の声が聞こえます。

「待たせてくれ、頼む」

その声は三浦のようです。

急いでドアーを開け、中を見ました。

三浦が妻の肩に手を掛け、揉みあっているようすです。私はかっとして三浦の腹に
拳を打ちます。先程の二人の言葉の遣り取りから、妻を抱こうとしていたのでは
ない事は解っていました。しかし二人の姿を見て、衝動的に殴ってしまったのです。

「お前達は」
「北上さん、違うんだ」「貴方、これは違うの」

二人が同時に言いました。

「うるさい」
「北上さん、頼む、話を聞いてくれ」

暫し私は三浦を睨んでいました。

「解った、外に出よう」

妻を残し、私と三浦は外に出て、三浦の車に乗り込みました。

「高級外車はどうした?」
「見ての通りだ。全て手放した」

近くの公園に着き、そこで三浦は土下座をするのです。

「この通りだ。許してくれ」
「許す事は出来ない。しかし終った事だ、あんたも一応の制裁は受けた」
「北上さん、俺の話を聞いてもらえないか」
男とは? 7/31(木) 11:40:06 No.20080731114006 削除
「話してみろ」
「亜希子とは上手く行っていたつもりだった」

三浦と元妻の亜希子さんとは日常の生活では可も無く、不可も無く普通の夫婦生活
を営んでいたようです。しかし意見の衝突するような事があると亜希子さんは、自分
が社長の妹である事、三浦の会社での地位も自分と結婚したからだと言葉の端々に
出すようになったのだそうです。その亜希子さんの言葉が三浦の心に沈殿していった
のです。三浦は会社でも家でも自分の居場所がなくなってしまいそうに感じてしまい
ます。大容量メモリーの量販店との交渉の時、三浦は既に自分を無くしていたのです。

そんな時、ダンス教室で妻を見かけたのです。

「奥さんは亜希子に無いものを持っていた。ダンスを習っていても
講師の言葉に素直に頷き、頬を染めながら教えを受けていた」

「俺が一度だけ話しかけた時も、恥ずかしそうに下を向いて、只一言
はい、と言っただけだった」
「あんたは何と言ったんだ」
「いや、ダンスの素質がありそうですね、習えばきっと上手くなりますよ、
と言っただけだ」

妻は人見知りが激しいのです、特に初対面の男性には、目を見て話す事が出来ません、
話す言葉もごく短く、俯きかげんに話します。

「可憐だった、俺の想像はどんどん膨らんで言った」
「その揚句、脅かしか」
「済まない、奥さんは初めは激しく抵抗した、しかし最後は喜んでくれた。
こんなに感じた事はなかったと言ってくれた」
「そんな事を言いに来たのか」
「いや違う、俺もこの年だ、もう就職する場所もない。
兄が家業を継いでいる、そこの手伝いをしようと思っている。
田舎へ帰る」

「奥さんとそうなってからも、俺は何と言う事をしたんだと反省していた。
しかし家に帰って亜希子を見ると、奥さんへの思いは増すばかりだった。
止められなかった。ばれれば会社を辞めて田舎へ帰るつもりだった。
亜希子と結婚して、俺は有頂天になってしまった、何でも出来ると
思ってしまった。しかし、都会生活は俺の生に合うものではなかった。
それがやっと解った。田舎に帰る前にお詫びをしたかった」

三浦は会社での地位、自分の家庭と由里子を天秤にかけても、由里子を選んで
しまったのです。

「三浦、お前は帰れる所があって良かったな。
お前は俺に謝ってすっきり出来て良かったな。
俺も由里子はもう元には戻れない」

「三浦、あんたは何故DVDを2種類作った、俺に寄こした物と妻に渡した物だ」
「いつかあんたが来ると思っていた。その時に、奥さんは俺の物だとあんたに
言いたかった。奥さんに渡したものは本当の記録だ、奥さんに見せて、俺の
物になる様を解らせたかった」

三浦は一枚のメモを残し立ち去りました。そのメモには、念の為にと実家の住所が
記されていました。北陸の小さな町です、そこで実家は昆布、海苔とか乾物の卸を
営んでいるのです。三浦は会社での仕事が、亜希子さんとの生活が重かったのです。
都会での生活を清算したかったのです、あわよくば由里子を道連れにしようと思った
のかも知れません。

私の気持が少し晴れるのが解ります、三浦は会社を追われ、離婚され一人になり
ました。自棄になった三浦はまた妻に近づいてくるかも知れない、そんな気持が
重かったのです。妻とはあれから真剣に話し合った事はありません。今日は話せる
かも知れない、そんな思いで家に帰りました。

「貴方、お帰りなさい」
「話がある、こっちへ来い」

私が一番聞きたかったのは、不倫していた時の妻の態度です、その態度はいつまでも
シコリとして私の心に残っています。余程性悪な女で無い限り日頃亭主と接する時に
態度に表れる筈だと思っています。妻は2ヶ月余り不倫をしていました。私が相当
鈍感なのか知れませんが、その間妻の態度に罪悪感、寂寥感を見た事がありません。

「由里子、お前、三浦に抱かれている時はどんな気持だった?」
「・・・・・」
「答えないか」
「嫌でした、怖かった」
「嫌だった?お前達は別れ際いつもキスをしていた。あれはどう言うつもりだ」
「信じてもらえかも知れませんが、強要されていました」
「全て強要されていた訳か?そんな事信じられるとでも思っているのか?
あいつに抱かれて感じなかったのか?」
「・・・・・」
「感じたかどうか、聞いているんだ」
「感じました」
「感じただと」

妻の頭を打ってしまいます。私はどんな答えの聞きたかったのでしょうか、感じ
なかったと聞かされても、嘘だと言って打っていたかも知れません。

「俺に対する気持はどうだったんだ?」
「解りません、複雑でした」
「解らないだと?複雑だと?普通申し訳ないと思うのが当たり前だろう」

妻の言葉にまた激高してしまうのです。
男とは? 8/1(金) 11:15:21 No.20080801111521 削除
「ずっと申し訳ないと思っていました。でも貴方のした事だと思っていました。
悔しかった」
「あんな紙切れ一枚を本当に信じたのか?」
「はい、最初見せられた時は訳が解りませんでした」
「・・・・・」
「でも、貴方に聞いてはならない事だと思いました。
考えている内に、あの製品はいつも貴方が、どうしても成功させなければ
と仰っていたのが思い浮かびました。もしあの依頼が本当だったら、
私が断ったら大変な事になると思ってしまいました」
「そして、お前はあいつの言う事を聞いてしまった。」
「貴方には絶対に悟られてはいけないと思っていました」
「ばれたら困るのはお前達だからな」
「貴方を傷つけたくなかった。出来るだけ普段通りにしようと決心していました」
「俺を裏切っていた事に違いはない。途中で変だと思った事も
なかったのか?」
「思いました。でももう遅かった」
「ばれなければ何時までも続けるつもりだったんだろう」
「いいえ、違います。早く見つけて欲しいと思いました」
「言えば済む事だ」
「言えませんでした。3週間前に貴方に最後に抱かれた夜、これで貴方は
見つけてくれると思いました」

妻の倫理が解りません。三浦に抱かれて苦しむくらいなら、私に話せば済む事です。
勿論私は妻を責めるでしょう。しかし、それは一時的な事です、もし妻が私を愛して
いるなら、三浦の事が好きでないなら続ける方が苦しい筈です。

「お前の毛が刈られているのは何となく解った。しかしそんな事は
口に出せない。俺が鈍感で良かったな、お前達はまだ続けた」
「・・・・・」
「お前は変わっていった。三浦に変えられたんだ。以前は俺のものを
口にした事もなかった。自分からしてくれと言える女じゃなかった」

「お前は自分が変わってしまったのに気がついていたか?」
「・・・・・」
「淫乱になったのに気がついたかどうか聞いているんだ」
「ご免なさい、気がついていました。でもどうしようも無かった」

その言葉に反応して、また妻を打ってしまいます。
妻は正座して俯いています。俯いたその首筋に女の色気を感じてしまいます。

「こっちへ来い」

妻を引き寄せ口づけします。久しぶりに嗅いだ妻の匂いに、私のものも反応して
しまいます。妻を抱けるかもしれません。

「服を脱いでみろ」
「許して下さい。出来ません」
「何故だ?三浦の前では裸でポーズまでとったろうが。俺に裸を
見られるのが、そんなに嫌なのか?」
「違います。でも今は・・・」
「いいから脱げ」

妻の頬を叩きます。DVDの中の三浦と同じ事をしています、弱い女を力ずくで言う
事を聞かせようとしているのです。

後ろを向いた妻はそろそろとブラウスとスカートを脱ぎました。括れたウェスト、
張り出しだ尻、思わず私は妻に飛び掛ります。ブラを外すと乳房が飛び出てきます。
もうK、Tの文字はありません。妻が擦って消したのでしょうか?乳輪は赤く染まり、
所々血の滲んだ後がありました。

「擦ったのか?」
「消したかった、ずっと擦り続けました」

妻の乳首を親指で擦り上げ、親指と人差指で摘みます。ショーツ越しに妻の女陰を
甚振ります。どれくらい時間が経ったでしょうか。妻は喘ぎ声を洩らし、私の指
にも湿りが感じられます。私はショーツを脱がせにかかります。

「駄目、嫌です、そこは」
男とは? 8/2(土) 14:51:00 No.20080802145100 削除
妻は頑なまでに拒むのです。脱がそうとする私の手を必死で押さえています。
構わず私は強引に脱がせます。股を割り、妻の女陰が露になりました。剃られた毛
が醜く生え出しています。擦られて赤くなった太股の付け根には未だ薄っすらと
kとTの文字が残っていました。

「許して下さい、未だ消えません」

その二つの文字を見ますと、みるみる私の物が萎えていきます、気持のやり場が
ありません。

「未だお前の気持も消えていないんだな」
「気持なんか初めからありません。文字が文字が消えないんです」

妻が三浦と使ったであろう一本のバイブを思い出しました。

「待ってろ、いい物を持ってきてやる」

バイブを見た妻は泣き叫びます。

「そんな物使わないで下さい」

そのバイブには一本の角が生えています、その角も一つの生き物のように細かく
振動するのです。抵抗する妻に構わず、膣に挿入します、角はクリを可愛がって
います。妻は反応しだします。

「三浦だと思っているんだろう、お前は」
「・・・・・」

妻は絶頂に達します。

「良かったか、三浦にしてもらえて」

萎えてしまった遣る瀬無さ、バイブを使い揚句に三浦の名前を出してしまった
意気地無さ、ベッドに横になっても眠れません。酒を浴びるほど飲み、気絶する
ように眠ります。

翌朝、目が覚めたのは11時を過ぎていました。下に降りて、リビング、台所を
見回しても妻は居ません、2階に上がり妻の寝室を覗いても居ないのです。
買い物にでも行っているのかと思いコーヒーを淹れ、ダイニングの椅子に腰を
降ろしますと、テーブルの隅に丁寧に畳んだ便箋がありました。

・・・浅はかな私を許して下さい。一言貴方に相談すれば済む事でした。
   でも私にはそれが出来なかったのです。今日こそ言おうと毎日思って
   いました。でも言えませんでした。ずるずると気がつけば刺青まで
   されてしまいました。私は汚れきってしまったのです。
   私が居れば貴方は苦しんでしまいます。そんな貴方を見ている事
   が出来ません。私は出ていきます。
   最後まで自分の事しか考えていない私を許して下さい。
   由里子・・・

妻は出て行ってしまったのです。

茫然としました、まさか妻が出て行くことはない、そう思っていました。何も手に
つきません。三浦と連絡を取り合って、三浦の後を追ったのではないか、そんな事
まで考えてしまいます。昼間から浴びるように酒を飲み、夜まで飲み続け、
そのまま寝てしまいます。
男とは? 8/3(日) 10:13:57 No.20080803101357 削除
月曜日、朦朧とする頭を押さえながら本社に出社します。机の上には処理しなければ
ならない仕事が積まれています。字の列を眺めてもその内容は頭に入ってきません、
頬杖をついて思案していますと、野村が声をかけてくれます。

「北上、ちょっといいか」
「ああ」

応接に入ります。

「元気がないな、由里子さんとは上手く行きそうか?」
「いや」

野村には一応の事は報告してあります。勿論、昨日妻が出て行った事は言っては
いません。

「ABCXYZの件だがな、契約は終了させる。量販店への直販に切り替える。
しかし、暫くの期間はABCXYZにはロイヤルティーを支払う予定だ」
「それがいい。津岡社長も安心するだろう」
「由里子さんはどうしてる?」
「・・・・・」
「どうした、何かあったか?」
「・・・昨日の朝、俺が寝ている間に出て行った」
「出て行った?」
「ああ」
「由里子さんの話を聞いてあげなかったのか?
事情が事情じゃないか」
「何を聞けばいい?俺の為に大変な目に会ったな、
ご苦労さんだったと言えばいいのか?」
「そうじゃない。由里子さんはお前を守ろうとしてやった事だ」
「自分の女房がそうなっても、そんな事が言えるか?」
「いや・・・。出て行った先の心当たりはあるのか?」
「検討がつかない」
「由里子さんが見つかるまで、会社を休め。あんたの仕事は部下に
手配しておく」
「いや、そう言う訳には行かない」

野村には検討がつかないと言いましたが、妻の行きそうな所は2箇所心当たりが
ありました。しかし、逃げるようにして出て行った妻を今は捜す気になれないの
です。三浦と一応の決着がついた今は、妻の態度が気に入らないのです。何故、
逃げてしまったのだ。

仕事をそれなりにこなします。難しい数式を見ている時は妻を忘れる事が出来る
のです。もう夕方です、野村が声をかけてくれます。

「5時か、まだ早いが、ちょっと付き合え」

野村と行った所は都心部からは少し離れた古いバーです。20数年前から通い始め、
数年前までは月に2度くらいは通っていました。工場が私の住まいの近くの郊外に
新設された為、私の足は遠のいていました。ママが覚えていてくれました。ママと
言っても、もう60は過ぎているでしょうか。

「北上さん、久しぶりね。元気だった?」

私が返事しあぐねていますと、野村が助け舟を出してくれます。

「こいつが萎れているもんだから、ひっぱって来た」
「そう、元気出してね。昔は貴方達二人と由里ちゃんと幸ちゃんとよく来たわね」

幸ちゃん、幸子さんは野村の奥さんになっています。結婚前から四人でよく飲みに
来ました。懐かしさが込み上げてきました。

「ママ、北上と秘密会談がある、奥の部屋、開いてるかな?」

野村はおどけたように言ってくれます。
男とは? 8/3(日) 10:18:30 No.20080803101830 削除
「なあ、北上。昔を思い出して見ろよ。四人で此処でよく飲んだよな」
「ああ、懐かしいな」
「悪いが幸子にあんた達の事を話した」
「いや、構わない。どうせ何時か解る事だ、その方が気が楽だ」
「幸子なら、由里子さんの行方が解るかも知れない。
あの二人は何処へ行くのも一緒だった」
「いや、いい、俺が一人で探す」
「早く探せ、こんな事は言いたくないが、由里子さんの事だ、
万が一の事もある」
「解った」
「そうか、今日は飲もう、昔みたいに夜明かししよう」

野村は気のいい男です、一晩付き合ってくれます。暖かいお湯をかけられた氷の
ように心が溶けていきます。野村が家に送り届けてくれたようです、あくる朝
10時頃目が覚めました。いつもの習慣で新聞を取りに行きます。

新聞受けには、新聞の他に大きめの封筒が入っていました。メモとDVDが一枚
入っていました。

・・・津岡亜希子です。三浦がとんでもない事をして申し訳ありません。
   三浦の部屋を整理していましたら一枚のDVDが出てきました。
   このDVDを見るまでは由里子さんにも責任の一端があると思って
   いました、由里子さんに慰謝料も請求しようと思っていました。
   でもこのDVDを見ると・・・
   
文章はそこで終っています。DVDを見ます。

タイトルはありません。多分初期の物でしょう。三浦が自分の男根を妻の顔に
差し向け、咥えさせようとしています。妻は顔を背け、唇を噛んでいます。
噛んだ下唇から血が流れ出していました。もう後は見る必要はありません。

妻が持っていたDVDを見て解っていた筈です、妻はずっと耐えていたのです。私
の心がそれを封じ込んでいたのです。私は何と言う情けない男か、野村に心を
溶かされ、亜希子さんにまで由里子は悪くないと言われるまでそれを封じ込んで
いたのです。私の中の男とは何だったのでしょうか、自分で決断出来ない男とは?
自分の妻を守ってやる事さえ出来ない男とは?妻の氷の心を溶かす事が出来るのは
私しかいないのです。

妻を捜しに行こう、そう決断すると、不安な事が押し寄せてきます。野村でさえ、
万が一を心配していました。妻の事は私が一番解っています、妻が心配です。

妻が行くかも知れない所2箇所に絞ります。一つは妻にプロポーズをし、初めて
妻を抱いた場所。もう一つは野村達と四人でよく行った場所、そこには楽しい
思い出が一杯詰まっている筈です。何れも房総、一つは外房、もう一つは内房。

賭けてみます、私はプロポーズした場所に行くことにしました。途中、野村に電話
をします。

「野村、悪いが幸子さんに内房のXXに行ってもらえないか?俺は外房の○○に
行って見る」
「解った。幸子の運転じゃ心許ない、俺も一緒に行く」
「済まない」
「由里子さんの携帯に電話したのか?」
「切られている」
「泊まった旅館には電話したのか?」
「20年以上も前の事だ、今はもうない」
男とは? 8/3(日) 10:44:53 No.20080803104453 削除
外房の○○まで、一番早い道を選びます。首都高を抜け、東関道で外房へ、それが
一番早い筈です。アクセルを噴かします。パトカーに捕まっても事情を話せば
解ってくれるだろう、そんな気持で急ぎます。○○についたのは4時半、春の初めの
陽はもう暮れかかっています。旅館のあった場所に急ぎました。

昔の旅館はもうありません、瀟洒なペンションが建っていました。妻が泊まっている
か聞きました。主人は渋っていましたが、免許証を見せ夫である事を確認してもらい
ます。妻は泊まっていたのです。

良かった。ほっと安堵してその場にしゃがみ込んでしまいます、安堵と共に大きな
溜息をつきました。妻は散歩に出ています。この辺りは海岸線から少し小高い崖に
なっています。突き出た小さな半島の西側に位置しています。今正に水平線に
沈もうとしている太陽が崖の端に揃っている松の間から垣間見えます。ベンチが2つ
並んでいます。その脇に白いワンピースを着た女性が佇んでいました。

「由里子」
「あっ、貴方、来てくれたのですね」
「来い」
「来てくれると思っていた、きっと来てくれると思っていました」

妻は私に倒れこむようにして抱かれます。

「許して下さい」
「許さない、一生許さない」

妻を骨の折れるほど抱きしめました。

「何を見ていた」
「来て下さい、この花です。一輪草です」

白い可憐な一輪草。一つの茎に一つの花しか咲きません、それはつがいの夫婦かも
知れません。浜風に耐えるように咲いていました。

「野村、由里子は此処に居た」
「そうか、あんたの勘が当たった訳だ。今日はそこに泊まっていけ」
「ああ、そうさせてもらう」

その夜、妻を抱いたのは言うまでもありません。窓から漏れる月明かりにもKTの文字
も見えなかったのです。

今、私達二人は日常の生活を営んでいます。しかし、私も妻も時折フラッシュバック
に襲われる事があります。それが来た時には必ず妻を抱きます。妻が本当に例の依頼書
を信じたのか今はもう聞きません。本当に信じて行動したのだと自分に言い聞かせて
います。

これからも乗り越えなければならない事が幾多あると思います。しかし時が癒して
くれるでしょう。時折、妻は私の腕枕で眠りたいと申します、妻の体温を感じて
眠っています。

長い間、読んで頂いて有難う御座いました。皆様には親身になって心配して頂きました。
本当に有難うございました。

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