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北原夏美 四十路 初裏無修正

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「ビギニングⅡ」は、社会人となった後の最初の結婚から現在の妻、真由美との出逢いまでを書いたものです。

まさか自分が離婚経験者になるとは思いませんでしたが、仕事漬けの人生なんてロクな事にならないのだと痛感したものです。

「だって、仕事なんだからしょうがないじゃないか」

巷間よく聞く言葉ではありますが、自分に当て嵌めてみると果たして本当にそうだったのかな、と。

今にして思えば、ただ日常の煩わしさから逃げる為の口実に使っていたような気がします。

ともあれ、その経験から得たものは、男性であれ女性であれ、外に出て働く以上は「家庭」も「仕事」も全て背負ってナンボの人生だと思えるようになったことでしょうか。
第一章①由香里

私は、入社と同時に独身寮に移り住み、社会人として新たな一歩を踏み出しました。
仕事に忙殺されながらも、いくつかの出会いや別れを繰り返しました。
やがて「ひとみ」との別れ以上に辛い別離もあることを思い知ります。
それは、私を恋愛に対し臆病な男にするのに充分な体験でした。

(あんな辛い別れはもう二度としたくない…。 俺には結婚など、まだまだ先の話だ…)

別れを恐れるあまり「友達以上恋人未満」、そんな関係こそが理想だと思い込み始めるのです。

そんな、入社から三年を経た年の春。
私は、所属部署の新入社員歓迎バーベキューパーティーの幹事を任されることになりました。
私の部署は設計と言う事もあり、当時は庶務の既婚女性が一人居る以外、まったく女っ気の無い職場でもありました。

その頃すでにスキーやキャンプの幹事も任され、それなりの人脈もあった私は、他部署の新入女性社員を動員する事にしたのです。
その結果、新入社員その他の独身女性を15人名ほど確保することに成功します。
私の最初の妻、由香里との出逢いは、そのことがキッカケになりました。
由香里はその年の高卒新入社員の一人として、短大卒の新入社員である恵美を伴って参加してきたのです。

驚いた事に私と知り合った時、由香里は処女のままでした。
由香里は、二度目の今の妻、真由美同様、男好きのする顔立ちと肉感的なボディを持ちながら、カソリック系の女子高という環境がその機会を阻んできたようです。
由香里は社会人となり、縁あって私に処女を捧げた後、瞬く間にその性を開花させていくことになります。

彼女の人見知りしない性格と愛らしい笑顔、マイクロミニにタンクトップという健康的な色気は、たちまちバーベキューに参加した男達を虜にしていきました。彼女を中心に女の子達はゲームやイベントに引っ張りだこでした。
しばらくして、彼女は幹事である私が一人準備作業に追われているのを見て、自ら手伝いを申し出てくれました。
すっかり人気者に収まっている彼女を、裏方作業などで占有することなどできません。
私は君はお客さんなんだから皆と一緒に遊んでて欲しいと断りましたが、勝手に野菜や肉などを取り出すと準備を手伝い始めたのです。

余程親の育て方が良かったんだと思います。
テキパキと私の指示を受けながら、段取りその他を手伝ってくれました。
ただ、彼女が立ったり座ったりする度に白いパンティがチラつき、目のやり場が無いのには困りました。

材料の下ごしらえも終わり、今度は私が火起しのために地べたに這い蹲るようにして炭に息を吹きかけていると、私の向こう側に座り込み面白そうにそれを眺めています。
超ミニでしゃがむ彼女の股間をまともに覗き込む形になりました。
パンティを透かして陰毛の陰りまでも見て取れます。
確かにいい娘なんだけど、男の私からみるとスキだらけで無防備過ぎる。 それが由香里に対する私の第一印象でした。

「おいおい、見えちゃってるぞ」
「えー? あ、ホント! キャッ!」
「あ、ホントじゃねぇよ、まったく(笑) 手伝ってくれてありがとな。 それじゃ、皆に準備出来ましたって言って呼んで来て」
「ハーィ」

彼女は立ち上がり2、3歩走り出すと振り返りました。

「美由さんっ!」
「ん?」
「美由さんだけに… サービスっ!(笑)」

彼女はミニの裾をほんの少し持ち上げ、私にパンチラすると走り出しました。
パンツ見られるのなんて何でも無い。 そんな女子高時代のクセが抜けていないようでした。

そんな彼女は私以外の男達のほとんどから交際を求められたようです。
私はと言うと、確かに気になる存在ではありましたが、所詮まだ子供で大人の女の色気を感じさせない彼女には、正直あまり興味は無かったのです。
それが逆に彼女の関心を引く結果になったんだと思います。
帰り際、わざわざ20歳前後の男女が揃うようにと私が割り振った配車を断ると私の車に向かって走ってきました。

「美由さん、乗せてっ!」
「どした?」
「この後、皆でどっか寄るって言ってたから断って来ちゃった。 美由さんは帰るんでしょ?」
「ん? あぁ会社に戻って機材を返さないといけないから…。 でも、良かったのか? せっかくなんだから楽しんでくればいいのに」
「いいの! また今度にする」
「そっか…。 じゃ家まで送ろう」
「うんっ!」

彼女は嬉しそうに助手席に乗り込みました。

「さ、何処でも由香里を連れてって」
「何言ってやがる。 子供はトットと帰るんだよ(笑)」
「えー? つまんないのー」

そう言って彼女は不満そうに唇を尖らせました。

車の中で彼女は色んな事を話し続け、やがて話し疲れて眠ってしまいました。
私の車で無防備に眠る姿はミニから伸びた生足の間からパンティが丸見えです。

(しょうがない奴だな…)

私は苦笑いしながら彼女の体に、着ていたジャンパーを掛け彼女の住む街へ向って走り出しました。

家のそばまで来た時、彼女を起こしました。

「もう…着いちゃった…の…?」
「ああ。 この辺りだろ?」
「あっホントだ! もー、本当に寄り道しないなんて、女性に対して失礼だよ!」
「ごめん、ごめん(笑) また今度な」
「ホントっ!?」
「んー、他に誘う相手が居ない時は声掛けてくれればいい」
「じゃ約束して!」

彼女が小指を立てました。

「あ、ああ。 約束…」

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それから何日かした梅雨のある日。 休憩時間を利用して彼女は私の部署を訪れました。

「美由ーさんっ!」
「ん? おー久しぶり! 今日はどした?」
「今度アメフト部で試合があるんだけど…。 美由さんに一緒に観に行って貰えないかなぁーと思って…」
「ん? あぁ、いいよ、何人くらい? 誰と誰を誘えばいい?」

その頃、彼女の職務の関係で会社の中を走り回る彼女は、いつも生足ミニスカートという姿で健康的な色気を振りまいて、千人近い人間が働くこの会社の中でもかなり目立つ存在になっていました。

上司や同僚達は、何でお前が他部署の彼女を知っているんだと不思議がっていましたが、彼女とはバーベキュー以来、食堂などで顔を合わすと言葉を交わすようになっていたのです。
何かイベントがあったら、また誘って欲しいと頼まれてもいました。
そんな彼女との会話の中で、バレーボール部とアメリカンフットボール部のマネージャーを兼任で任されていることを知っていたので、私はてっきりアメフト部の観客動員の依頼だと思ったのです。

「えっと…私と二人だけで…なんですけど…」
「えー? デートのお誘いかー?(笑) そっか、他にヒマな奴が居なかったんだな?(笑) いいよ? いつ? どこに行けばいい?」

こちらをチラチラ見ているアメフト部の連中の手前、すっかりアイドルに納まっている彼女と二人で観戦するのは気が引けましたが、耳まで真っ赤になって返事を待つ彼女の顔を見ると、断るのも可哀そうで結局アメフト観戦に付き合うことにしたのです。

-------------------------------------------------------------------

試合当日は朝からシトシトと雨が降っていました。
私が車で彼女の自宅まで迎えに行くと両親がわざわざ外まで見送りに出てきました。

「今日は娘が無理言ってすみません。 ご迷惑じゃなかったですか?」
「いえいえ。 どうせヒマでしたから」
「一人娘で育ったもんだから、もー、ワガママでワガママで…」
「もー! なに余計なこと言ってるのよママ! パパもウチに入って入って! もう子供じゃ無いんだから。 さ、行こっ!」
「あ、おい! えっと…それじゃ今日一日、娘さんをお預かりします。 遅くならないうちに返しますから」

彼女はさっさと私の車の助手席に乗り込んでいました。
彼女は相変わらずの生足、超ミニで、スポーツカータイプの私の車の低いシートに身を沈めるとパンティは丸見えになってしまいます。
これじゃあ両親もさぞかし心配なことでしょう。

スタジアムに到着すると私達は傘をさして観戦しました。 練習試合なのか観客は数えるほどしか居ませんでした。
アメフトのルールなど知らない私にはどこが面白いのかさっぱり判りませんでした。
そのうちに彼女が寒いと言い出したので私は自分の懐に彼女の背中を抱え込むようにして座らせました。

「あったかーぃ。 これなら傘も要らないね(笑)」

嬉しそうに自分の傘を畳みました。
私達は一本の傘の中にすっぽりと納まりました。

「なぁ。 今日はベンチに入らなくても良かったのか?」
「う…ん…。 他にもマネージャーの子、居るし…」
「そっか。 ならいいけど…」
「ね、あの○○番の人、居るでしょ? あの人に付き合って欲しいって言われてるの。 それで今日、試合見に来て欲しいって言われて…」
「おいおい、それじゃ俺が一緒じゃまずいだろ。 見られたら誤解されるぞ」
「いいの。 私には好きな人が居ますって言ってあるから。 そしたら、試合の日にそいつを連れて来いって…」
「もしかして…それで俺を?」
「うん…」

そう言われてみれば確かに○○番はこちらをチラチラ見ています。
私の知らない男ではありませんでした。 確か私より2、3歳くらい年上だったかと思います。

「だけど、なんでまた俺? そりゃあ嬉しいけど…」
「他の人みたいに女の子にガツガツした所が無いし、そばに居ると何となく安心できるの」
「ふーん、そんな風に見えるのか」
「バーベキューの時、女の子たくさん居たのに分け隔て無く接してくれたし、先輩、先輩って男の子達にも慕われてるのに、誰一人手伝わせようとしないで裏方に徹してたでしょ? あれ見てなんかいいな、って」
「そんなもんなのか(笑) まあ、幹事だったからな」
「先輩の女の子達も言ってた。 美由さんが居るならスキーもキャンプもまた行きたいって。 結構ファンが居るみたいだよ? でも気付いて無いでしょ?」
「マジかー? チッ、それを知ってりゃ何人か喰えたかもなー(笑)」
「嘘っ! 会社の子に手を出すような人じゃ無いもん。 噂も聞かないし。 それとも誰か会社以外の所に好きな人が居るの?」
「今は居ない。 俺は甘えさせてくれるような年上の人が好みだからな(苦笑)
 後輩や君ら見てても弟妹くらいにしか思えないし、恋愛の対象にはならないって」
「年上の人かぁ…。 じゃあー…妹でもいいや! それじゃ専属の妹にしてっ!」

彼女がそう言って私の顔を見上げるように振り返った時、一瞬、唇と唇が触れてしまいました。
彼女はその大きな瞳で私の目を見上げ…やがてその瞳を閉じました。

ドキッとしました。

(いいのか?)
(いいの…)

そんな会話が勝手に私の心の中で交わされてしまいました。

私は彼女の頬に指を添えると唇を重ねていきました。
驚いた事に子供だとばかり思っていた彼女の方から舌を入れてきました。
私の口の中に遠慮がちにほんの少し差し出されたそれを、私は慈しむように舌で絡め取りました。
片手は彼女の張りのある乳房の重みを感じ取っています。

長い時間だったかも知れません。
唇を離すと彼女は私の目を見つめながら言いました。

「エヘッ(笑) あっという間に妹じゃなくなっちゃったね(笑)」

私は久しぶりの口付けに興奮しながらも、とうとう会社の子に手を出してしまったと少し後悔し始めていました。
−−−②処女の代償

その日の夕方、彼女を自宅まで送り届けると、ご両親が私の分の食事を用意して待っていました。

バーベキューでの事や私が独身寮に住んでいる事、会社での仕事の内容、立場など、それはもう事細かに彼女は調べ上げ、ご両親に話していたようです。
社内の女性達の情報ネットワークは侮れません。 その情報量の多さには恐怖すら覚えたものです。

食事が済むと明日もお休みだし寮に特に帰る用事が無いなら今夜は泊まっていきなさいと再三勧められました。
彼女もそうしてと引き止めます。
結局、断る理由も見つけられず彼女の家に泊めて貰うことになりました。

風呂を借りて出てくると真新しいパジャマが用意されていました。
居間のコタツテーブルの上には麻雀牌が並べられています。
確かに親子三人に私が入れば麻雀ができます。
そうか、それが目的だったのかと思わず苦笑してしまいました。
何でも近所の主婦達の間で麻雀がはやっているんだとか。 母親がそれにハマってしまっていたようです。

ルールも覚えたての文字通りファミリー麻雀で、何の心配も無く彼等に合わせて打ち回すことができました。
ルールを教えながら、勝ち過ぎず負け過ぎず、適当に気持ちよく勝たせてあげることができます。
麻雀には性格が出るというのが彼女の父親の持論のようです。 父親は私を気に入ってくれたようでした。

深夜まで麻雀で遊び、寝る段になると、てっきり居間に用意されてると思っていた私の寝る布団は彼女の部屋に運ばれていました。
私は彼女の部屋に泊まる事になったのです。
それにしても、初めて一人娘が連れてきた男をそこまで信用して良いものでしょうか。
というか、たった一日の間に自分は何処までいくのだろう。
まだ結婚する気など無かった私には多少の不安がありました。

彼女の部屋は、ぬいぐるみやらタレントの写真が飾られた女の子らしい部屋で、彼女のベッドの横に私のために敷かれた布団だけが違和感を生じさせていました。

彼女が部屋の灯りを一つ消しました。
私はおやすみと言って彼女に背を向けると本当にそのまま眠ってしまったのです。

何時頃でしょうか。
夜中にふと目を覚ますと、ベッドから私の方をじっと見ている彼女と目と目が合ってしまいました。

(もしかして、ずっと起きてたの?)
(うん。 ずーっと寝顔見てた)
(そっか…。 眠れない?)
(うん…。)
(こっちに…来る?)
(うんっ!)

彼女は嬉しそうにベッドから降りると自分の枕を持って私の布団に入って来ました。

(へへー♪(笑))

本当に嬉しそうにしています。
その顔がとても可愛らしくて思わず額にキスをしてしまいました。

(おデコなんかじゃ嫌…)
(でも…それじゃ俺が止まらなくなる…)
(嫌っ! ちゃんと唇にして!)

彼女が瞳を閉じ唇を捧げています。
もう歯止めが利きませんでした。 どうにでもなれ。 そう思いました。

私はキスをしながら彼女のパジャマの胸のボタンを一つずつ外しました。
そしてパジャマをそろそろと開きました。
ブラはしていませんでした。
昼間スタジアムで確かめた通り、張りのある形の良い乳房が現われました。
淡い色の乳輪の上に小さな乳首が顔を覗かせています。
私はそれをそっと唇で摘むと舌で味わいました。

(あ…嫌…)

Dカップはある彼女の乳房の弾力を確かめました。
片手はパジャマの下のパンティを潜り抜け、割れ目に指を這わせています。
そこはもう洪水のように溢れかえっていました。
でも彼女の体は震えています。

(怖い…の?)

彼女は硬く目を閉じたまま、コクッと頷きました。

(もしかして…初めて?)

再びコクッと頷きました。
バージンは貰えない…。 何故かその時はそう思いました。

(止めようか?)

今度は首を横に振りました。

私は彼女に対する気持ちを切り替えました。
この娘に最後までしてあげよう…。 そう思い始めていました。

私は彼女の股間まで布団の中に潜り込むと、パジャマのズボンとパンティを脱がせました。
そして大きく太腿を開かせます。

(嫌…恥ずかしい…)

身を捩り股間を隠そうとします。

(綺麗だ…とても…)

ぷっくりと膨らんだ割れ目の周りの恥毛と割れ目の中の綺麗なピンクが対照的でした。

割れ目に舌を這わせました。
彼女の体がビクンッビクンッと反応します。
彼女は手の甲で口を押さえ声を出さないようにしています。

私の舌が花びらに閉ざされた小さな蕾を捉えました。
舌でその周りをなぞるように嘗め回しました。

(あ、嫌ぁ…あっ…あっ…あっ…そこ駄目ぇ…もう…もう…)

彼女は私の頭を掴み、腰を跳ね上げました。
軽く逝ってしまったようです。 ビクッビクッと体全体が脈打っています。

彼女は感じやすく濡れやすい体質なのか、あとからあとから蜜が溢れてきます。
そのサラッとした液体はお尻の方まで流れ落ちています。
私はお風呂で拝借したバスタオルを彼女のお尻の下に敷きました。

彼女の膣に指を入れてみました。
そこは何物の侵入をも拒絶するかのように硬く閉じていました。
何とか指一本は入るが二本は無理…。 そんな感じです。
私は充分な固さに達した怒張を彼女の膣口に当てがいました。

(あ…怖い…)

彼女の手が私の腕を強く握り締めています。

(大丈夫…力を抜いて…。 そう…足をもっと開いて…。 そう…もう少し入れるよ?)
(痛っ! あ、駄目っ止めてっ! お願っ…いっ…あっ…あっ…あっ…あっ…くぅぅぅ…。 あーーー!!!)
(ほら、もう全部入ったよ? 大丈夫? まだ痛い?)
(う…ん…。 少し…痛…い…。 あ、抜かないで! このままで大丈夫…このままで…)
(じゃあ、痛くなったら言って…。 少し動かすから…)

私は充分に濡れた蜜壷からゆっくりと抜け落ちる寸前までペニスを引き抜くと、また膣奥深く挿入しました。
最初引きつるような感触があった膣の中が、まとわり付くような感触に変わり、やがて緊張が解けていくのが判りました。

初めての彼女に激しいことは出来ないと、私は膣奥深く挿入したままにして今夜は道を付けるだけにしようと思いました。
そして再び彼女の小さな乳首を唇に含みました。

経験のない彼女は乳首を舐めるだけでも逝ってしまいます。 膣の痙攣がそれを伝えます。
彼女が強くしがみ付いてきました。

私は自分の欲望を満たすのは諦め彼女の額にキスをしました。
彼女は硬く閉じていた瞳を私に向けました。

(美由さんは…まだ…なんでしょ? 私…我慢できるから…)
(でも…)
(私…ちゃんとひとつになりたい…)
(わかった…。 それじゃまた動くからね。)
(あっ! んっ…んっ…んっ…。 あ、嫌っ! 変…変になっちゃう!)
(そろそろ…逝く…)
(来て! あっ! あぁぁぁっっっ!!!)

彼女は必死に口を押さえて声を漏らさないように我慢していましたが、私にドクドクと放たれた瞬間を膣奥で感じ取って思わず声を出し逝ってしまったようでした。
その声は…ご両親にも届いたかも知れません。

二人は息を切らせながら抱き締め合い、しばらくじっとしていました。
やがて私はペニスをゆっくりと抜くと彼女の横に寝転がりました。
彼女を征服した満足感が心を満たしていました。

(まだ、入ってるみたい…。 何か棒が挟まってるような…変な感じ…)

彼女が笑います。

(そう? でも良かった、とっても。 充分大人の体だった)
(子供扱いしないでっ! もう…。 あ、血が付いてるっ! ほらっ!)

彼女が股間を拭ったティッシュには確かに少し血がついていました。
私は慌てて自分のペニスを拭きました。
やはり血が…。
敷いていたバスタオルにも…。

(はっ! もしかして布団に…も?(汗))

付いています…。

(ど、どうしよう…(滝汗))
(畳んじゃえば判んないよ。 何か言われたら生理の血が付いたって言っておくから)
(んな安直な…。 ま、付いてしまったものはしょうがないか。 でも…本当にバージンだったんだな…)
(ホントにホント、バージンだったの! 学校には男の子居なかったし…。
 でも、良かった、好きな人に上げられて(笑)
 ちょっぴり痛かったけど感じちゃった…(照)
 それじゃ…今度は美由さんの番っ!(笑))

驚いたことに彼女は女子高の女友達や雑誌から得た知識を生かし抜群のフェラを私に披露しました。
初めてだというのに最初からジュポジュポと音を立てるようなしゃぶり方をします。
そして私が逝くと口に咥えたまま射精が終わるまで待ちゴクンッと喉を鳴らして飲み込んでしまいました。

(エヘッ飲んじゃった。 こんな味だったんだね(笑))

私達はその日、夜が明けるまでセックスに耽りました。

(由香里をずーっと抱きしめて離さないでいてね?)

彼女は私の腕の中に潜り込むとしがみ付くようにして、やがて深い眠りについていきました。

私は天井の灯りを見つめながら、この娘との今日一日、明日、またこれから先の事を考えていました。
妊娠の心配も有りました。
でも、その時はその時。 もう責任は取る覚悟はできていました。

(この子の事を…俺はまだ何も知らない…。
 でも、こんな結ばれ方もありなのかも知れない。
 この子が俺を選んだのなら…それに応えてみよう…。
 ただ…俺はこの子を幸せにしてあげられるだろうか…)

そんなことばかりを繰り返し考え始めていました。

彼女の思惑通りに私は掴まってしまったのです。
そういう意味では彼女の計画はパーフェクトでした。

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翌朝、内心ビクビクして朝食をごちそうになっていると彼女の父親が顔を出しました。

「おはよーさんっ! 良く眠れたか? そっか、そりゃ良かった。
 娘の事は君に任せたからな好きにしてくれ。
 おぃっ! 彼氏と同じように俺にも納豆くれ、納豆!」

彼女が父親の分の食事を受け取りにキッチンに向かいました。

父親は私に顔を寄せると囁きました。

(由香里はな。 あー見えてもまだ処女だ、処女。 俺が保障する(笑))

そう言いながら私の肩を叩きウィンクしました。
まさか、もう娘さんのバージンは昨晩貰いましたとは言えません。
曖昧に笑うしかありませんでした。


驚いた事に彼女の父親はジャズ界では名の知れたバンドマンでした。
名家の出で、若い頃に家を飛び出し米軍基地で腕を磨いたと。
フランクな性格で一人娘にも友達感覚で付き合っているのが判ります。
母親の方はと言うと、元クラブのママ。
まさに、この親にしてこの子あり。 そんな感じです。

そんな彼女の父親から、いっそ寮を出て明日からウチに住んだらどうだと言われました。

「そうしなさいよ。 パパ以外に男手が有ると私も助かるし」

母親までがそう言います。
両親揃って自由奔放というか、なんというか…。

もはや逃げ道は無い…。

私は先程からテーブルの下で私の股間を握っている彼女との結婚を覚悟せざるを得なくなりました。
第二章【初めての浮気】

①【汗ばむ手のひら】

 会社の中で彼女との関係が知れ渡るのにそう時間は掛かりませんでした。
 私達は婚約し、彼女のたっての希望で翌年の初夏の頃、彼女が20歳になる前に挙式することになりました。

 その年の冬、組合主催のスキーバスツアーに彼女は一番仲の良い同僚の恵美を伴い参加してきました。
 恵美は短大卒新入社員でバーベキューにも来てた子です。由香里とは2つ違いでしたが職場が同じということもあり親しくしてたようです。
 スキー場行きの夜行バスに彼女は窓側の席を恵美に譲ると二人並んで座りました。
 私は由香里の真後ろの席に座りました。
 私の隣の窓側には、私の先輩が居ましたが出発する頃にはビールで出来上がってしまい、イビキを掻いて寝てしまっていました。
 車内は補助シートまで使用する程の盛況です。あちらこちらから笑い声が絶え間なく聞こえてきます。
 私は彼女のシートの背もたれに腕を組むとアゴを乗せ、恵美を交え三人で話し込んでいました。
 スキー場へは明朝着く予定です。
 午前零時を回りバスのルームランプが消されました。
 しばらくして、何処からとも無く寝息が聞こえてきます。
 彼女の隣の恵美も寝てしまったようです。

 しばらくして由香里は私の手を取ると、スキーウェアの中に導きました。
 そしてセーターの胸の上に私の掌を乗せました。そしてスキーウェアの上から私の手を押さえました。
 セーターとブラの下で乳首が硬くなっているのが判りました。私は乳首の辺りを摘み指でなぞりました。
 そんなことを繰り返しているうちに彼女は『ん…』と言って背を反らせました。吐息を漏らしています。
 感じやすい彼女は、それだけで軽く逝ってしまったようでした。
 私は彼女の髪を撫でながら、やがてそのままの格好で眠ってしまいました。

(ん…?)

 私がいつの間にか背もたれの前に垂らしていてた手に何かが触れたような気がしました。
 私の手を暖かい手が包み、やがてスキーウェアの中へとそれを導きました。
 なんとそれは恵美の手でした。
 彼女は横向きになり私の目から視線を逸らすことなく見つめています。
 ビールを飲んでいたせいでしょうか。歳に似合わぬ妖艶な眼差しをしていました。

 やがて、体に掛けていたスキーウェアの中、ゆったりとしたセーターの襟元に私の手を導くと乳房に直に触れさせました。
 彼女はノーブラでした。
 私の掌がしっとりと汗ばむ硬く尖った突起を受け止めました。
 私の心臓と同じく恵美の鼓動もドクンドクンと脈打っているのがわかります。
 恵美はウェアの上から私の手をそっと押さえて握りました。

 恵美に私と由香里の先ほどの行為を見られていたのです。
 その手の動きは(私にもして)と言っているようでした。
 今更手を引っこめることもできず、掌で恵美の豊かな胸の隆起の先端を転がすように揉んでしまいました。

(んっ…)

 しばらくすると、私の手を強く掴み小さな吐息を漏らしました。彼女も軽く逝ってしまったようです。
 恵美は私の手を抜き取ると由香里の方にそっと戻しました。
 そして何事も無かったかのように私に背を向けると窓の方を向いてしまいました。

 私はしばし呆然としていましたが、やがてシートに深く腰掛けると自分の掌を眺めました。
 私の掌は、まだ汗ばんでいました。

(大変なことをしてしまったかも知れない…)

 私は掌で浮気をしてしまったのです。
 このスキーツアーはただで終わりそうも無い。そんな予感がしました。
 そして、その予感は的中することになるのです。

②【リップクリーム】

 早朝、民宿に着くとそれぞれの部屋割りに従い荷物を降ろし、民宿で用意したおにぎりと味噌汁という簡単な朝食を済ませると、再びバスに乗り込みスキー場へと向かいました。

 私は、先輩達を含む馬鹿仲間と共にスキーを楽しみたかったのですが、スキー初心者の由香里と恵美、そして総務課の真理子の面倒を見るはめになりました。
 真理子も恵美同様、由香里とは同期入社でしたが、四年制大卒ということもあり由香里達は年上の彼女を姉のように慕っていました。

 残念なことに真理子だけはスキーが2回目と言うことで、やっとボーゲンができる程度でした。
 私達はファミリーゲレンデで特訓をすることにしました。
 多少は滑れる由香里も恵美も、チマチマとした基本から練習する真理子に付き合うのに飽きたのだと思います。
 一時間もすると『真理ちゃんを宜しく』と言い残すと、さっさとリフトに乗り山頂へと向かってしまいました。

 ファミリーゲレンデには私と真理子だけが取り残されました。

『ごめんなさい。美由さんも皆と一緒に上に行きたいでしょ?』
『いや、気にしなくていい。こうなったらアイツ等より上手くさせてやる(笑)』

 私は自分のストックを雪に刺すと彼女の腰を持ち、彼女のスキー板を挟み込むようにして、パラレルターンの練習を繰り返しました。以前、彼女に教えた者の教え方が悪かっただけなのかも知れません。あるいは、彼女のカンの良さに救われたのか…。
 体重移動と踏み込みのタイミング、それを体に覚え込ませると彼女は面白いほど上達の度合いを早めていきました。

『スピードが乗りすぎたと思ったらボーゲンにして! 怖がらないでっ! 腰を引かないっ!』
『自分の行きたい方向だけを見てっ! 体より気持ちの方を先に行かせる感じでっ!』
『上手な人の姿勢を真似してごらん。スキー板が勝手に体を運んでくれるから。』

 こんな指導方法でも充分でした。
 午後になる頃には、彼女はコブさえ無ければ中級コースの斜面でも充分一人で滑り降りることができるようになっていました。
 何より、彼女自身がそのことに一番驚いていました。

『すっごく楽しい!』
『そうか。 じゃ上級コース行ってみるか? 度胸さえありゃなんとかなる(笑)』
『はいっ! 先生が一緒なら(笑)』

 私達はリフトで他愛の無い会話を交わしながら、山頂へと向かいました。
 さすがに上級コースを上から見下ろした時、真理子は少し怯えたようでした。
 スキーはある意味、恐怖心との戦いなのかもしれません。
 彼女にとって唯一の救いは、ここの上級コースは他のスキー場に比べると比較的斜度が緩いということでしょうか。

『斜滑降でゲレンデを斜めに横切る。ゲレンデの端に付いたらキックターン。それの繰り返しで下まで行くから。大丈夫、君なら出来る。じゃ、あそこで待っているから真っ直ぐ向かって来て。エッジを効かせていれば滑り落ちることも無いからね。』

 私が先に滑り出しました。そして、ゲレンデの反対側の端に着くと彼女に向かいストックで合図をしました。
 彼女は度胸もある子でした。大きく深呼吸をすると、躊躇うことなく私に向かって滑り出しました。

『同じ事を何回か繰り返せばこの斜面を抜けられる。ここより急な斜面なんかこのスキー場には無いんだから、きっと自信が付くと思う。』

 私達はタラタラとした滑りではあるけれども、とりあえず上級コースを制覇することができました。

『私、こんな急な斜面を一度も転ばずに降りてこれたんだ…。』

 彼女は上級コースを下から見上げ、狙い通り多少の自信をつけてくれたようでした。

『どうする? もう、由香里達と合流しても大丈夫だと思うんだけど。 君がここを滑って降りたって知ったら驚くぜぇ(笑)』
『う…ん。でも、先生さえ良かったら、もう少しだけ教えて欲しいな。』
『そっか…、じゃ、中級コースに抜けてみようか。 きっと、ここを滑り降りた今なら、何てこと無い斜面だと感じるはずだ。』
『うんっ!』

 私達は普通なら30分くらいで滑り降りることができる麓のセンターハウスまでの道のりを、真理子のペースに合わせ二時間くらい掛けて降りてきました。
 スキーに自信を付けた子が皆そうであるように、センターハウスでコーヒーを飲みながら休憩している間も、真理子はまだ滑り足りないようでした。
 私は彼女を連れ、集合時間までの時間に戻るにはちょうど良い所要時間の、緩斜面が続く林間コースへと向かいました。
 林間コースはダラダラとした緩い斜度が続く道幅の狭いコースで、それが不評なのか、私達以外その前後には誰も滑っていませんでした。
 彼女は私の後に続き、私がペースを上げてもそれについて来られるだけの上達振りを示してくれました。
 途中途中ゆっくり滑りながら、お互いの股間をすり抜けて滑ったり、ストックを繋いで引っ張って滑ったりと、一通りのスキーでの遊び方も教えて上げることができました。

 そして、あともう少しで林間コースを抜けようとした時です。

『先生、待って!』

 真理子が私を呼び止めました。彼女はスキー板のビンディングを外すと、私の元に走って来ました。

『今のうちに今日のお礼しておかなくちゃ(笑)』

 あっという間もなく、私の唇に彼女のつけていたリップクリームが残りました。

『もっとお礼したいけど由香里に悪いから。それじゃ後もう少しだけ、私にお付き合いください。』

 彼女はクスッと笑いながら、わざとらしくお辞儀をしました。そして自分の板のところに戻ると、また私を呼びました。

『先生! ビンディング留めて!』

(あのな) 私は苦笑しながら自分のビンディングを外すと彼女の所まで戻りました。

『もうっ! ワガママばかり言うと置いて行くからなっ!』
『大丈夫。 先生だけは私を見捨てたりしないから(笑)』
『ばか。 さ、ここにブーツを乗せて。 靴底の雪を落とさないと。』

 私は彼女の足元に跪くと、その片足を自分の太腿の上に乗せ、ブーツの靴底に噛み込んだ雪をこそぎ落とし始めました。

『もう、大好きっ!』

 突然、彼女が無理な姿勢で抱き付いてきました。その弾みで、二人とも山側の新雪の中に倒れ込むことになりました。
 そして、気が付けば再び彼女に唇を奪われていました。
 私は反射的に唇の中に彼女が差し入れてきたものを舌で受け留めてしまいました。

 その時は、由香里のことも思い起こすこともありませんでした。
 男の性からか、ただ目の前の真理子が愛しい、そう思っていました。

 彼女の普段の姿からは想像は付かない激しさで口付けは繰り返されました。
 私の手は、当然のように彼女の胸を、そのスキーウェアの上から確かめていました。

『あ、駄目…欲しくなっちゃう…』

 彼女のその言葉で我に返りました。彼女の体を最後にぎゅっと抱き締めると言いました。

(ごめん、帰ろ。 きっとみんなも戻り始める…。)

 彼女はコクッと頷き、私の体の上から体を起こしました。
 私は起き上がると、まず、彼女の体に着いた雪を払い始めました。

『ね、いつか…』
『ん?』
『ううん…。 あっ! 先生の背中、ど下手なスキーヤーみたいに雪だらけだよ(笑)』
『あのな、それに気付いたら払えっつの。てゆか、その先生っての、やめてくれ(苦笑)』
『やだ。ずっと言う(笑)』

 私達がセンターハウスに戻った時、集合時間までは、まだ小一時間ありました。
 大半のメンバーもまだ戻って来てはいないようです。
 由香里と恵美も居ませんでした。どうやら皆、リフトが止まるまで滑り続ける気のようです。

『それじゃ先生を開放して上げよっかな。滑って来たいんでしょ?』
『んー、どうしようかと思ってさ。』
『行って来て。 私、寂しいけど待ってる(笑)』
『俺が行きにくくなる事言うなよ(笑) んー…悪いっ! ちょっくらテッペンまで行って戻ってくる。』
『はいはい、気をつけて。 私、センターハウスから見てるから。』

 私は待ち行列も殆ど無くなったリフトを乗り継ぎ、ひたすら頂上を目指しました。

 日が暮れ始めようとしていました。
 灰色の空を見つめながら、真理子のことを考えていました。そして恵美のことも。
 みな、由香里繋がりの子達ばかりでした。

 入社してから今まで、私が会社の女の子達に近付く事などまったく無かったのです。
 きっかけはおそらく、彼女達が入社した直後に開催された組合主催の新入社員歓迎パーティーの夜の事だと思いました。
 彼女達三人が悪酔いした上司にセクハラされていたのを助けてあげた、ただそれだけのことです。

 最初、パーティー会場の片隅で、由香里がスカートを捲くり上げられ小さな悲鳴を上げました。
 真理子は胸を鷲掴みにされました。やがて恵美に抱きついたりと…。
 そんな酔っ払いは、どこにでも居るものです。普段お人好しに見える人ほど豹変するものなのかも知れません。

 私は彼女達を見知った振りで声を掛け、その上司らしき男から遠ざけました。
 そして、人目に付かぬ様、無言でその上司の腕を取ると有無を言わさずロビーへと連れ出しました。
 辺りに誰も居ないのを確認すると襟首を掴み直し、吊るし上げるようにして玄関に、そしてそのまま外へと放り出しました。

『いいか、お前のような奴は酔いが覚めるまで二度と入って来るな。』

 誰の上司だろうと私には関係ありませんでした。
 私はそのことで会社をクビになるなら、所詮その程度の会社なんだと簡単に諦めていたと思います。

 何か喚いているその男を無視してドアに施錠するとロビーを振り返りました。
 彼女達は恐る恐るといった感じでロビーに出て来てしまっていました。

『ごめん。あの人も普段は好い人なんだけどな。』

 はっきり言って他部署の奴の事など知りはしませんでしたが、そうフォローするしかありませんでした。

『君ら、お腹空いてない? それとも何か飲む? タダなんだからさ、遠慮しないで飲み食いしないと損だよ?(笑)』
『私、お腹ペコペコ(笑)』 確か由香里がそう言いました。
『それじゃ、誰かに持って来させよう。』

 彼女達を促し会場に戻りました。
 そして、職場の後輩の何人かに頼み彼女達にオードブルと水割りを届けさせました。
 後輩達はそのまま彼女達の相手をしてくれました。

 その日を境に、彼女達は廊下ですれ違う時、私に挨拶をしてくれるようになりました。
 私と同期入社の女の子以外でそんなことしてくれるのは彼女達が初めての事でした。
 彼女達と私を結ぶ線といっても、ただそれだけのことだったのです。

 リフトが頂上に着きました。

(急がないと集合時間に間に合わない…)

 恵美の乳房と真理子の唇の感触を振り払うように、私はコースに飛び出していました。
−−−③恵美

私達は民宿に戻りました。
風呂を済ませれば、すぐに食事を兼ねた宴会です。
そして、宴会が済めば三々五々、いくつかの部屋になだれ込み深夜までトランプその他のゲームが始まるでしょう。

私は先輩に合図され、食事をさっさと済ませると宴会場を抜け出しました。
スキーツァーの夜は先輩達と恒例の麻雀大会が始まるのです。

しばらくして宴会を終えた由香里と恵美がその麻雀部屋に顔を出しました。
麻雀を覚えたての由香里も先輩達に誘われるままコタツ麻雀に参加してきました。
恵美は私の横に座りコタツ布団の中で私の膝に手を乗せながら私の配牌を一緒に見ていました。

由香里が入ったことで打ちまわすペースも遅くなり賭け麻雀特有の緊張感も無くなりました。
半荘1回に一時間以上も掛かり数時間後には皆の睡魔もピークに達しました。

やがて誰が言うとも無くその場に寝転び眠りについてしまいました。
コタツ2卓を置いた麻雀会場は雑魚寝状態です。
もう男女の部屋に分けた意味などありませんでした。
由香里は私の左側の席のまま、恵美は私の直ぐ隣で、コタツに潜り込むようにして横になりました。

あちこちから寝息が聞こえる頃、由香里が私の方に体を摺り寄せてきました。
私にキスをすると私の手を胸に導きました。
私はセーターの下に手を差し入れるとブラを外し生の乳房を揉みました。
そして、セーターで隠すようにして由香里の乳房を吸いました。
やがて彼女は、私に背を向けるとヒップを私の股間に押し付けてきました。
私はコタツ布団の下で彼女のジーンズとパンティを降ろすと、その位置を確かめました。
そこは充分に濡れています。

私はファスナーを降ろしペニスだけを出すと彼女の背後から挿入しました。
ゆっくりとした動きで彼女の膣奥まで味わいました。
きつめの膣壁にこすられ、あっと言う間に射精感に襲われました。
彼女は手の甲を口に当て声を押し殺しています。

私の射精に合わせるように彼女の膣も収縮を繰り返しました。
私も彼女も声を殺したまま逝ってしまったのです。
二人して余韻を楽しんだ後、服装を正すと、由香里はこちらに向き直り私の胸に顔を埋めるようにして眠ってしまいました。

どれくらい経った頃でしょうか。

(ん?)

いつの間にか仰向けに寝ていた私は、下腹部に違和感を感じ目を覚ましました。
なんと恵美が私の股間に手を当てていたのです。
そして私が目を覚ましたのを確認すると耳元で囁きました。

(私にもして…)

またあの濡れた瞳で私を見つめながら…私のジーンズのファスナーを下ろしていきました。
そして私のペニスを取り出すと布団の中に潜り込むようにしてそれを唇に含みました。
私は慌てて由香里の方を見ました。
スースーと寝息を立てて寝ています。

スキー疲れと夜遅くまでのゲーム疲れが重なり、皆、熟睡しているようでした。
そう。 私と恵美の二人以外は。

私はその刺激に耐えられなくなりました。
恵美の履いていたスエットとパンティを降ろしました。
そこはもう充分に潤っています。

(いいのか?)

彼女はコクッと頷きました。
コタツ布団を胸まで掛けたまま私と恵美は繋がりました。
彼女は尻を強く押し付け私を膣奥深く迎え入れようとしています。
ヌルヌルとした触感がペニスを包み込みます。
私はゆっくりと大きなストロークで子宮口まで分身を送り込みました。
やがて彼女の体内の奥深い所がペニスを締め付けるのを感じました。

(やばい! 俺も逝っちまう!)

私は慌ててそばにあったタオルを掴むと股間に押し当てました。
間一髪、恵美の膣外で射精を受けることができました。
恵美は背を向けたまま肩で息をしています。
やがて落ち着きを取り戻すと辺りを見回しながら立ち上がり、私の手を引き部屋の外に連れ出しました。

廊下に出ると恵美は私を振り返りざまに抱き付き、そしてその唇を重ねてきました。

(ごめんなさい…。 私…)

彼女がポロポロと涙を零し始めました。
私はどうして良いか判らずに、ただオロオロとその肩を抱いていました。

(お願い…。 もう一度…抱いて…)

その民宿の廊下の突き当たりには布団部屋がありました。
引き戸を開けるとシンとした冷気に包まれました。
私は恵美をその部屋に導くと後ろ手に引き戸を閉めました。
恵美が抱き付いてきました。
まだ涙ぐんでいます。

(ごめんなさい…。 二度と…。 もう忘れるから…)

私は積み上げた布団の上に恵美を横たわらせると、そばにあった何枚かの毛布を掛けました。
そして恵美のスエットとパンティを脱がせました。
そして大きく股間を開かせるとその花芯に顔を埋めていきました。
由香里とのサラッとした粘液とは違うヌルッとした濃い味がしました。
恵美はスエットの襟を噛み締めて声を殺しています。
私はジーンズを降ろし怒張を恵美の中心部に当てがい一気に貫きました。

(あっ! そんな、いきなり! んっ…んっ…んっ…あっ…)

恵美のまとわり付くような感触を味わいながら激しい突き上げを繰り返しました。
恵美が私の背に手を回したまま強く抱きしめてきました。

(お願い…。 私の中に出して…)

しばらくして射精感が押し寄せてきました。

(あぁ、もう我慢できない…逝くっ!)
(中にっ! 中に出して! お願いだから中に…あぁ…)

私は恵美の中に激しい放出を繰り返しました。
恵美がビクンビクンと間欠的な痙攣を繰り返しています。
私は挿入したまま恵美の乳房を揉みその頂点にある乳首を唇に含みました。
恵美は仰け反りながらそれに応え続けました。

全てを放ち終わり、恵美の収縮も収まった頃、恵美がポツリと言いました。

(良かった…これで…)
(ん?)
(思い出ができちゃった(笑))

先ほどまでの妖艶な瞳が一変してあどけない笑顔に変わっています。

(二人だけの秘密だね。)
(そうしてくれると助かる…。 由香里が…怖い…)
(由香里には悪い事しちゃった…。 でも…私の方が最初に好きになったんだよ? でも…盗られた…)
(恵美は…)
(ん?)
(滝口と結婚するんだろ?)
(うん…。 彼もそのつもり…。 でも…彼は美由さんの代わり…)
(そっか…知らなかった…。 さ、皆に見つからないうちに戻ろ)
(うんっ!)

彼女はもう一度私にキスをすると、先程の部屋には戻らずに女子の為に用意した部屋に戻っていきました。
私は新しい毛布を手に取ると、由香里の眠る部屋に戻りました。
由香里の体に毛布を掛け、小さな寝息を立てる由香里の髪を撫でました。

(ごめん…。 俺は君を裏切ってしまった…)

自分はいずれこの罰を受けることになるだろう。

由香里が目を覚ましました。
私が見つめている事に気付くとクスッと笑い私に囁きました。

(も一回…する?(笑))
(いいよ?(笑) どこで?)
(ど・こ・で・も!(笑))

そう言って私を引き寄せると私の耳を噛みました。
そんなことで自分がしたことの罪が許されるなら何度でも抱くさ。

私は彼女の体を抱き寄せていました。

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恵美はその後二ヶ月ほどして、結婚のため入社1年を待たずして早々と退職していきました。
退職の挨拶に私を訪れた時、すでに妊娠している事実を知らされました。

(まさか…(汗))
(違う…と思う)
(そんな曖昧な…)
(嘘よ、嘘(笑) 心配しないで…。 それじゃ…)

『色々とお世話になりました!』

恵美は私にウィンクすると回りに聞こえる声で挨拶をすませ部屋を出ていきました。
翌年、彼女から親子三人の写真入りの年賀状が届きました。

『スキーツアーではお世話になりました。 親子三人幸せに暮らしています、どうか「安心」してください。』

その安心の部分を強調したハガキの意味は、おそらく私と彼女しか解らない…。
私はほっと胸を撫で下ろしました。

自分のした事を棚に上げ、女が怖い生き物だと思ったのはこれが最初の出来事でした。
第三章①離婚

由香里に私と言う婚約者ができたと言っても所詮は18歳の女の子でした。
料理学校へ通ったり花嫁修業をしながら、一方では父親の影響を受け幼い頃から時から出入りしていたライブハウスやディスコに私を頻繁に誘うようになりました。

そんな時の彼女は会社に居る時の雰囲気とは打って変わって服装もド派手で化粧もケバい。ノーブラなんて当たり前という感じ。
ライブで歌ってる時のアン・ルイス(古い?)のようだと言えば想像が付くでしょうか。

そんな世界に足を踏み入れたことなど無かった一介のサラリーマンの私にとって正直ビビりの入る世界です。
彼女の父親の存在が大きいのか、彼女は何処に行っても『顔パス』でした。そのせいで彼女に手を出す男も居なかったようでした。

由香里は本当に自由奔放な子でした。
セックスを知ってからというもの貪欲にそれを求めてきました。
そしてそれは会社でもお構い無しに。

欲しくなれば私の席に時間と場所を指定した暗号文で書いたメモを置いていきました。
昼休み、休憩時間と、時間はいくらでもありました。
場所も、屋上、図書室、非常階段と、人気のない場所はすべて利用しました。

彼女のお気に入りは、エレベーターの機械室。
機械の音で人目を気にせず声を上げることができるからです。
セックスのパターンは、最初に彼女がしゃがみ込み私をフェラで立たせた後、パンティを膝まで下げた彼女を私が背後から犯すというスタイル。
10時、12時、15時と一日に三回したことも何度かあったのです。

結婚式まではそんな生活が続きました。

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やがて由香里は退職し、私達はありきたりの結婚式を挙げ、ありきたりの新婚生活を始めました。

年齢的にもそんな時期だったのかも知れません。
私の職務上の責任も増え、仕事に忙殺される日々が続きました。

結婚して6年ほど経った頃、私は新しいプロジェクト立ち上げの為、単身で1年ほど旅立つことになりました。
由香里の相手もままならないまま数ヶ月が流れました。
私の留守中、後輩達が何かと気遣い由香里の相手をしてくれてるようでした。
由香里からも後輩達から海に山にと誘われたことの連絡が入りました。
その都度私は、行って楽しんで来ればいいと返事をしました。

その後も何度か飲み会やら何やらと呼び出しを受けては出掛けたようでした。
後発で出張先に来た後輩から、由香里さん寂しいみたいだよ、と言われました。
その時、その本当の意味が、私にはまだ判っていなかったのです。
海水浴だのキャンプだのと由香里が参加して来た事を聞かされてはいましたが、由香里本人からはその事を話さなくなりました。

半年ほどして現地の準備作業も一段落し、久しぶりに家に帰れるだけの休暇が取れました。
私は由香里に電話を掛けました。

「あ、俺。 今度の週末に帰れると思う」
(うん…。 わかった…)
「何だ。 嬉しくないのか?」
(あのね…)
「ん?」
(別れて欲しいの…)
「はぁーぁ? 誰とぉ?」
(私…と…)

タチの悪いジョークかと思いました。

「何バカな事言ってんだよ」
(もう決めたの…)
「決めたって…。 別れてどうするつもりだ?」
(どうもしない。 ウチに帰ってしばらく暮らす…)
「もー、電話じゃ話しにならない。 いいか? 帰ったら話しよう。 いいねっ?」
(うん…。 でも… 私の気持ちは変わらないと思…)

私は突然別れを言い出した由香里に腹を立て、ガチャンと思いっきり受話器を叩きつけました。
日本に向かう飛行機の中、私の頭の中は混乱するばかりでした。
プロジェクトもまだ中盤、これからますます時間がとれなくなるというのに…。

私と対峙した由香里は、ただただ、私を非難し続けました。

『寂しかったのっ! でも…あなたは仕事のことばかりで何も構ってくれなかったっ! 私、寂しいのは嫌なのっ!』

取り付く島がありませんでした。

人は誰でもそうかも知れない。
会社を辞めると決めた人間は、辞める理由だけを探し始める。
できないと言い出した人間は、できない理由だけを上げ連ねる。
そして別れると決めた由香里は、些細な事も別れる理由に上げ始めた。
どいつもこいつも、どうして継続するためにはどうあれば良いかを考えようとはしないのか。

彼女は慰謝料も何も要らないから、とにかく別れての一点張りでした。
理由にならない理由を、どんなに上げ連ねられても、離婚の申し入れを受け入れる訳にはいきませんでした。

やがて彼女の口から決定的な一言を聞かされました。

「私…、他に好きな人ができたの」

私が悪いのなら改める。 それは何度も説得した。
でも…、私より好きな人が居ると言うなら話は別だ。
それはそのまま、私より幸せにしてくれる人が居ると由香里が判断した結果なのだから。
由香里にとって私は、その何処の誰とも判らない男に比べると存在感の無い格下の存在なのだ。

「わかった…。 君の思い通りにすればいい」

私はその日のうちに離婚届に判を押しました。
離婚届けを由香里に渡してから何日かして、私の元に彼女の父親から電話が入りました。

(君は由香里に一銭も慰謝料を払わないらしいな。 なんて情けない男だ)
「お義父さん。
 私は由香里から慰謝料も何も要らないから別れて、と、そう言われました。

 でも… 分かりました…。
 私から持っていけるものがあるなら何でも持っていってくださって結構です。
 マンションも売り払えば幾らかになるでしょう。
 全部由香里に渡します。

 彼女にそう伝えて下さい」

愛だとか恋だとか、人を信じる気持ちの拠り所を失って、ただもう何もかもが面倒臭くなっていました。
早く仕事に逃げ込みたい一心でした。
そうすれば…きっと何もかも忘れられる…。

(情けない男…)

そんな自分に追い討ちを掛ける様に、彼女の父親から言われた一言はショックでした。
自分に落ち度が有ったかどうかは別にして、確かにその通りじゃないか。
これ以上、何を失うことを恐れているのか。

欲しいと言うなら、すべて持っていくがいい。
元々大したものなど何も持っていなかったのだ。
そう。
愛さえも…。


私は一人暮らしするには充分な広さのアパートに移り住みました。
7年暮らしたマンションや車など、売れるものは全て売り、由香里に送金すると無一文になりました。
無一文になり心身共にどん底に落ちれば、あとは登るだけ。
世間では良く聞く話でしたが、それを身をもって体感しました。
それはもう、本当に身軽になった気がしました。

私には由香里と暮らした7年間という月日の重さだけが残りました。
−−−②制裁

翌日私は、総務課に由香里を配偶者から外すよう届出を済ませました。
総務課を出た時、私を追いかけてきた声に呼び止められました。

『美由さんっ!』
「え? ああ、君か…」

声の主は真理子でした。

「由香里と離婚したんですか?」
「うん…まあ…」
「幸せそうだったのに…」
「由香里にはそうでもなかったみたいだ」
「これからどうするんですか?」
「どうするって、どうもしないさ…。また一人に戻っただけだ」
「そう…。 ごめんなさい、立ち入ったことを聞いて」
「いや、いいんだ。 それじゃ手続きの方宜しくな」
「あっ、今はこの住所に?」
「あ、ああ。 次にマンションでも買うまでの仮住まいさ。 その時はまた総務課に住所変更の手続きに来るよ」
「はい。 お待ちしています。 気を落とさないでくださいね」
「ありがと。 そんなことを言ってくれたのは君だけだ(笑)」

3週間の休暇の間にバタバタと離婚の手続きを済ませ、私はプロジェクトに戻りました。

プロジェクトは何とか軌道に乗り、私は延べ1年間の出張を終え会社に戻ることになりました。
会社に戻ると早速後輩から由香里の相手は例のアメフト部の男だと聞かされました。
でももう…、そんなことはどうでも良いことでした。

相変わらず猛暑は続き、それからしばらくは身も心も抜け殻のようになった日々が続きました。


そんな夏の土砂降りの雨の晩、インターホンが鳴りました。
由香里がずぶ濡れでそこに立っていました。

「ど、どうした…? 良くここが判ったな。 さぁ入れ」

彼女はコクッと頷くと部屋に入りました。
青白い顔をして体を震わせている彼女にバスタオルを掛けると、彼女の為に風呂を沸かし始めました。

「入るといい。 着替えも用意しておくから」

私は彼女にバスタオルとスエットの上下を用意するとミルクを温め始めました。
風呂から上がっても彼女はバスタオルを頭から被ったまま、押し黙ったままでした。

「由香里の好きな甘いホットミルクだ。 きっと体が温まる。 飲むといい」
「私…」
「何も言わなくていい(笑) 今は俺が悪かったと思っている。
 もう心の整理は付けたんだ。 君は君の選んだ人と幸せになるといい(笑)」

彼女がそれを聞いて堰を切ったように泣き出しました。

「私…私…遊ばれただけなのっ!」
「え?」
「あなたと別れたら結婚しようって…そう言ってたのにっ!」

泣きながら途切れ途切れに語る由香里の話ではありましたが、おおよその見当は付きました。
アメフトの男は由香里に振られた腹いせに、私の留守中、由香里にトラップを仕掛けたのだと。

そして…由香里の体だけでなく心まで弄んだ…。

「そっか、わかった。 今日は遅いから泊まっていくといい。 明日の朝、君を送っていく」

泣きじゃくる由香里をベッドルームに案内すると、由香里は私の体にしがみ付いてきました。
でも…、私にはそれに応える術がありませんでした。

私はソファに横になると隣の部屋で一晩中繰り返す由香里の嗚咽を聞いていました。

翌朝、少し早めに身支度を整えると、私のベッドから出ようとしない由香里をなだめ自宅へと送り届けました。
そしていつも通り会社に出勤しました。
そして不在の部長の席に辞表を置くとアメフトの男の所へ行きました。

「話がある」

男は私を見て全てを悟ったようでした。
人気の無い階段の踊り場で、私はその男に対峙しました。

「俺の言いたいことが解るか?」

男が首を振りました。

「無口なのか…。 そうか、そりゃ良かった!」

ニヤニヤと笑うその男の口元を見て、一気に怒りが全身を突き抜けました。
私はその男のネクタイを腕に巻きつけるようにして引き付けると足を払い階段下へと投げ飛ばしました。
男は一回転して1、2メートル下の踊り場の床に叩きつけられました。

「実は俺も口下手なんだ」

私は階段を降り、男の顔を見下ろしました。

「今のは由香里の体の痛みの分、そしてこれが…」

アメフト男の腹を蹴り上げました。

「由香里の心の痛みの分だっ! 取っとくといい」

私はしゃがみ込むと苦痛と恐怖にゆがむ男の太い首を掴みました。

「安心しろ、俺の分は今回は無しだ。 俺にも悪い所があったからな。
 怪我は…してなさそうだな…。
 アンタが頑丈な体で良かった。 それだけは礼を言う」

男の頚動脈を親指と人差し指で軽く押さえると男は簡単に気を失ってしまいました。

(貴様は男のクズだ…)

完全に頭に血がのぼっていたのです。
生まれて初めて私の方から喧嘩を売った上に、相手も体育会系で体も一回り以上大きい相手でした。
スキだらけの相手ならともかく、そうなればお互い手加減もへったくれも無いだろうと会社を辞める覚悟が先に立っていました。

本当にバカだったのです。

-------------------------------------------------------------------

由香里はあの日以降、何度か私の留守にアパートを訪れたようでした。
手紙や食べ物などが時折届けられていました。
そしてそれらに私が応えることはありませんでした。

(もうあの頃には戻れないんだ…。 俺のことなど忘れてくれ…)

やがて私は、由香里には何も告げぬまま新しいマンションへと引越しを済ませました。

アメフト男はあの後、誰かに助け起こされたようでしたが、階段から落ちて気を失ってしまったと私との一件は伏せたようでした。
さしたる理由も無い私の辞表も、結局は受理されることはありませんでした。

(俺は運が良かっただけだ…)

私は今更ながらにアメフト男に怪我をさせずに済み、新しいプロジェクトに没頭する毎日を取り戻せたことに感謝していました。
−−−③台風一過

その日は昨日までの暴風雨が嘘のように治まり、青い空が一面に広がる爽やかな朝で始まりました。
住み替えたばかりのマンションにはカーテンも無く、その日も日差しに目を焼かれるようにして起きることになりました。

気が付けばネクタイも取らず、ズボンを脱ぎ散らかしたままで寝てしまったようでした。

(昨日は打ち上げだって言って台風が来てるのも構わずしこたま飲んだんだっけ…。
 ん?
 あっちゃあ、買ったばかりのシルクのスーツも濡れて皺くちゃのままかよ…(泣))


(ピン、ポーン♪)

時計を見ると朝7時前。
今日はまた随分早いなと思いながら、ノロノロと立ち上がるとドアを開けました

(ふぁい…おは…よ…)
『あー! また、そんな格好してるっ! どうせ洗濯物も溜まってるんでしょ? それも脱いでっ! 一緒に洗濯しちゃうから』
「これ脱いだら、他に着る物無い…よ?」
「ちゃんと買ってきました! はい。 これに着替えて」

私に両手いっぱいの紙袋を渡すと彼女は持参したエプロンを締め、テキパキと掃除、洗濯をし始めました。
やがてそれが済むと買ってきた食材を食卓の上に広げ始めました。

「待たせてごめんね? 今すぐ作るから待っててね」

どこか遠くで聞き覚えのあるフレーズ…。
それが何故か耳に残りました。

「あ、そう言えばあの人ねー。
 由香里との事とが噂になって女子社員から総スカン喰らって居辛くなったみたい。
 昨日、総務の私の所にも辞表が回って来た」
「ふーん」
「ふーんって…。 由香里に関わることよ? 気にならないの? アイツに腹が立たないの?」

彼女は料理を盛った皿をテーブルに置くと私の目を覗き込むようにして聞いてきました。

「由香里のことは…もう忘れた」
「そう…。 あっ! 今日は買い物に付き合ってね。 色々と買い揃えないと…この部屋、何も無いんだもの」
「別に何も要らないよ。 一人暮らしには、これ…」

彼女は私の唇を指で塞ぐと、

「それって、私が居るから他に何も要らないって…。 そういう意味だよね? ね?」
「あ、あぁ。 たぶんそう…だと思う。 いえ、おっしゃる通り…かと…(汗)」

彼女が私に飛びついてきて唇を重ねてきました。
優しい…私の身も心も包み込むような甘い口付けでした。

彼女と初めて口付けをしたあのスキーツアーの時、彼女はまだ『女の子』という感じでした。
あれから7年近くの間に彼女は『女』を感じさせるまでに変貌を遂げていました。

彼女はある日突然、不自由してませんかと食材を抱え、私のマンションを訪れました。
そんな彼女を、どうして素直に受け入れることができたのだろう。
そしていつの間にか私の心の中に住み着いた彼女に、私はすっかり頭が上がらなくなっている…。

(あっ!)

そうかも知れない…。
長年使っていたメガネからコンタクトに代え、髪もショートカットにした真理子は…どことなく別れた時のひとみに似ている。
私の事しか考えていないような言動もまた…。
あれから10年。
私だけが歳を重ねた。
でも、私の心の中のひとみは別れた時の29歳のままだった。
ひとみは私の心の中で時間を止めて存在していたのだ。
そして目の前の真理子もまた、それくらいの年頃に。

良く見れば確かに似ている。
でも真理子はひとみなんかじゃない。
そう。
二度と手放したりしないのだから。

「ねぇ聞いてる? 私、今日は泊まっていくね? だって…こっちにも溜まったものがいっぱいあるんでしょ?(笑)」

彼女はそう言ってクスッと笑うと私の股間に手を添えました。
第四章①暴力の衝動

女性が結婚もせず7年も会社に居れば、いわゆる『お局さま』として扱われ、周りの女子社員からは浮いた存在になってしまうのが普通かも知れません。
ですが、私の部屋を訪れるようになった真理子の場合は少々違いました。

彼女は持ち前の聡明さで総務全般の業務に精通していました。
後輩の子達にも慕われ、彼女は常にその中心に居ました。
総務部全体を見回しても彼女無しには業務が立ち行かなくなるほど彼女は重用され、女子としてはめずらしく責任ある役職を与えられていたのです。
今で言う総合職の先駆け的存在でした。

私自身も社内行事であるスキーやキャンプの日程、予算の関係で彼女と二人で打合せをする機会は多かったのです。
当然のことながら彼女自身もそれらイベントには必ず参加し私をサポートしてくれました。
夜遅くまで打合せをした時などの帰りがけには共に食事をしたり自宅まで送り届けたことも何度かありました。
他の男性社員に比べれば、私は彼女とは一番親しい存在だったのかも知れません。

社内での言動を見る限りでは彼女の性格は由香里とはまったく正反対のものだったと言えます。
聡明でありながら奥ゆかしく、つつましい。
女房にするならおそらく一番と呼べるタイプでしょう。
ただ、女は少々足りないくらいでちょうどいいと思っている男達にとっては彼女の聡明さは男に引け目を感じさせ、近寄りがたい印象を与えてしまうようでした。

実際に話をすれば、冗談にも機知に富んだ受け答えをし、とても気さくな一面があるにも関わらず、女性ばかりの職場という環境のせいもあったかも知れません。
彼女に特定の相手が居るという噂は聞いたことがありませんでした。

由香里と婚約した数日後…だったかと思います。
彼女に因むちょっとした事件、というか出来事がありました。

その日も、彼女と秋季キャンプの日程について打合せを済ませた後、いつものように駅前の繁華街で食事を済ませ、私の車に向かいながら歩いてしました。
彼女はいつも半歩後ろをついて来る。
そんな子でした。

「あ、そうそう。 由香里と婚約したんですってね。 おめでとうございます(ペコリ)」
「あ、うん。 ありがと(照)」
「幸せにしてあげてくださいね? 彼女、同期で一番早く婚約したから、みんなも注目してるの(笑)」
「そ、そか。 責任重大か、俺」
「そうですよ、責任重大(笑) でも…ショックだったぁ」
「何が?」
「だって美由さん、女の子に興味無いって態度してたし、まさか会社の子と一緒になるなんて思っていなかったから」
「自分でもそう思ってる。 なんでこんなことになっちゃったのか不思議だ」
「私が一番チャンスが多かったのにな…。 ね、私にも美由さんみたいな人、現れるかな?」
「ぉぃぉぃ。 由香里といい、君といい…。 君ら、何か変だぞ。 何でそんなに俺のことが…」
「だって、元ファンクラブの一員だもん(笑) 恵美ちゃん入れてたった三人のファンクラブだったんだけど(笑)」
「何だそりゃ…しかも「元」かよ(苦笑) 君らの考えてるこた、良く解からん」
「悔しいけど相手が由香里じゃ仕方無いかなって。 で、ファンクラブも解散(笑)」
「君には俺なんかより、もっといい人が見つかるって」
「そうかなぁ…。 あ、嫌っ!」
「ど、どした?」
「お尻…掴まれた…」
「え? 触られたんじゃなくって、掴まれたぁ???」

私は、今にして思えば、どっちでも良いようなトンチンカンな質問をしていました。
見ると酔っ払い達が通り過ぎざまに彼女のお尻を握ったようです。

「いい女連れてるからって、道の真ん中でカッコつけて歩いてんじゃねえぞ、おい。 姉ちゃん、俺とオメコしよー。」

酔っ払い達は上機嫌のようです。 私は彼女の肩を抱えその場を立ち去ろうとしました。

「黙ってないで何とか言え、コラ」

そのうちの一人が私の腕を掴んできました。
私の腕を掴むその手を見つめながら、暴力の血が静かに沸騰するのが判りました。

(抑えろ…。 相手はたかが酔っ払いだ…)

「だいぶ酔っちゃってるようだし、それくらいにして勘弁してくれませんか」
「キャッ! やめてっ!」

別の男が酔いに任せ彼女の胸を揉みながら口を尖らせキスを迫っていました。
他の二人がそれを見て、はやし立てています。

(四人…か。 まったくサラリーマンっていう奴ぁ…)

『痛てっ!』

男のアゴを掌で押し上げ腕を払うと彼女にまとわり付く男の襟首を持ち、そのまま後へ引き倒しました。

『走れっ!』

私は彼女の腕を掴み引き寄せ、その体を抱えるようにして走り出しました。
近くの駐車場に停めてあった車に辿り着くと彼女を乗せエンジンをかけました。
男達に取り囲まれ余程怖い思いをしたのでしょう。
彼女は青ざめた顔をして涙ぐんでいました。

「大丈夫? ケガは無い?」
「怖かった!」

彼女が私に抱きついてきました。
体が小刻みに震えています。
私は彼女の背に手を添えました。

「ごめん。 怖い思いをさせてしまった。 俺がもっと気をつけていれば…」
「あ、ごめんなさい。 いえ、もう大丈夫です。 でも、驚いたぁ。 一時はどうなることかと思った」

彼女にやっと笑顔が戻りました。

(彼女を先に庇うべきだった…)

自分の状況判断の甘さを悔やみました。

(それにしても…)

私の怒りは収まりそうもありませんでした。
嫌がる真理子の尻や乳房を掴んだ事が許せなかった。
酒の勢いを借りて人の嫌がることを平気でする奴らが許せなかった。

「ごめん…ちょっと待ってて。 さっきの店に忘れ物をしたらしい。 取ってくる」
「あ、はい」

私は彼女の好きそうなジャンルのカセットをかけると上着を脱ぎ、先程の酔っ払い達が居た場所に戻りました。

酔っ払い達は相変わらず道行くアベックやら女性にちょっかいをかけては気勢を上げていました。
私は一番後ろを歩いている、先ほど彼女に抱きついていた男の後襟を掴むと、吊り上げるようにして横の路地に押し込みました。
そして、その男の首を掴むと腕を伸ばしたままコンクリートの壁に押し付けました。

「いい加減にしとけ。 お前らもどっかのサラリーマンだろう。 もうこれ以上他人に迷惑を掛けるな。 俺はお前らのように酒を飲むと気が大きくなるような奴らが一番嫌いなんだ」

男は首を掴んだ手を振り解こうと必死で私の腕を掴みもがいています。
私は腕を取ろうとした男の手首を掴むとそのまま外側に捻り上げました。

「ったたた!」
「わかったか? これに懲りたら今日は大人しく帰れ。 いいか」

男は一転して怯えた目で私を見つめるとコクコクッと頷きました。

「おーぃ、小便かぁ…? あ、コイツ!」

他の三人に見つかってしまいました。
私は掴んでいる男の首をさらに強く壁に押し付けました。

「奴等に俺に手を出すなと言え。 これ以上俺を怒らすなと」

男は爪先立ったまま首を縦に振りました。 
私は男を解放すると三人に向かってその男を突き飛ばしました。

「コイツは今日はもう帰ると言ってる。 お前らもそうしろ」
「ふ、ふざけるなっ!」
「お前か…。 酔っているから大目に見てやってるんだ。 粋がるのはやめとけ」
「何ぃっ!」

私に殴りかかろうと男が踏み出した足を、地に付く前に体の内側に払うと男はその場で一回転して転がりました。

地面に肘を打ち付けてしまったようでした。
うずくまったまま肘をさすり唸っています。
残る男達は何が起きたのか解からずに、ただ口をパクパクさせているだけでした。

「いい歳しやがって…。 悪いがお前らの相手をしてる時間が無い。
 タクシーを呼んでやる。 今日はもう帰れ」

片手に一人ずつ後襟を掴み引っ張るようにして路地から出ると、通りかかったタクシーを拾いました。

「お前もそいつを連れてサッサとコッチに来い!」

男達はすっかり酔いも覚めてしまったようです。
スゴスゴとタクシーに乗り込みました。

「運転手さん、コイツらを天国まで」

どこかに『天国』という店が本当にあったのかも知れません。運転手は頷くとドアを閉めました。
私はタクシーが走り出すのを見届けると、彼女の元へと歩き出しました。

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いったい、いつからだ、時折暴力の衝動に自分が抑え切れなくなってしまうようになったのは…。

学生時代、自分達から喧嘩を仕掛ける事は無かったが、売られた喧嘩は皆喜んで買っていた。
当時は喧嘩もスポーツ感覚で、実戦の練習代わりとばかり、皆思う存分投げ飛ばしていたのだ。
弱い者、足手まといになる者を先に逃がしておいてから喧嘩に戻る。
そんな事、基本中の基本だぞと先輩達にはそんなことまで嫌と言うほど叩き込まれた。

その頃付き合っていた「ひとみ」がチンピラに絡まれているのを見た瞬間、私の体が勝手に動いていたことがあった。
気がつけばそのチンピラは私の足元に転がっていた。
「ひとみ」にその時、怪我は無いか、もう喧嘩なんかしないでと、散々泣かれた。
私は愛する人に二度と心配させるようなことはしないと、そう誓ったはずだった。
だが、時としてその抑制が効かなくなる。
相変わらず、自分の身近な人間が酔っ払いやチンピラに絡まれ侮辱された時など、二度とそんな真似が出来ぬよう完膚なきまでに叩きのめしたくなる…。

いつからか私は、せめて自分の体の中に暴力の血が逆流するところは、私を知る者達の前では決して見せまいと思うようになっていました。

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車に戻ると彼女は私の上着を掛け、音楽を聴きながら眠ってしまったようでした。

(この子も「ひとみ」と同じように泣くのだろうか)

静かに寝息を立てる真理子の横顔を眺め、そんなことを思いながら私は彼女を起こさぬよう静かに車を出すと、彼女の住むマンションの方角へと車を向けました。
−−−②Mの素質

当初は週末の土日休みだけを利用して私の元へ通っていた真理子も、私がマンションの合鍵を渡した以降は毎晩のように部屋を訪れるようになっていました。
やがて彼女が自分のマンションに帰る回数が減り、半分同棲のような生活が始まりました。

当時は現在のように携帯電話や社内LAN、インターネットも有りませんでした。
私はワークステーション間の簡単なメッセージ交換機能を真理子に教え、社内の誰一人にも気付かれる事の無い交際を続けました。

会社での清楚でつつましいイメージとは裏腹に、彼女はベッドでは一変し淫靡で激しいセックスを求めてきました。
私から由香里とのセックスについてあれこれ聞いては、それに対抗するようにして私を喜ばせようとするのです。
私との肉体関係が深まるにつれ、その瞳にも淫靡な光が宿り、いつのまにか大人の色気を漂わせるようになっていました。

「最近、色っぽくなったね。 誰かいい人いるんじゃない?」

今ならセクハラで訴えられるような言葉も、ちょくちょく掛けられるようになったと彼女は照れていました。

彼女は私が望む事は何でもしてくれる女性でした。
確か、社内で私が由香里とセックスしていたことを告白した翌日のことだったかと思います。
場所と時間を指定したメッセージが届きました。

『Message(XX)ヨサンハ¥3,021,500ニナリマシタ』
『Message(XX)リョウカイデス』

暗号といっても単純なもので、メッセージに含まれる数字の先頭から何桁かが場所、最後の4桁は時間を表します。
私は15:00ちょうどの休憩時間に三階の302会議室に向かいました。

『使用中』

私は構わず扉を開け中に入りました。
会議卓の向こう側に彼女は何かの資料を持ち立っていました。
テーブルの上にはコーヒーが用意されていました。

私は部屋に入ると後ろ手にドアをロックしました。

「いいのか? こんなトコ使って」
「大丈夫。 今日は予約が入っていないこと確認してあるから…。 ね…見て…」

彼女はタイトスカートの裾を持ち上げました。
黒いガーターベルトが覗きました。さらに裾を持ち上げると綺麗に剃られた割れ目が露出しました。
タイトスカートを完全に捲り上げイスに腰掛けると両足を肘掛の上に乗せました。
そして両手を使い、その花びらを押し広げました。

「舐めて…」

私は真理子の前に跪くと花びらを頬張りました。
そこはすでにヌルヌルと濡れています。
私は舌を陰唇の中央部に差し入れました。

「あぁ…いい…。 あ、そんなに奥まで…あ…ん…」

彼女はベストとブラウスのボタンを外し乳房を露出しました。

「ね… こっちも食べて…」

私は硬く尖った先端を甘噛みしながら舌の先で転がし、やがてそれを頬張りました。

「あ…嫌…そんなに強く…
 ね… 貴方のも…食べたい…」

彼女は私が立ち上がるとベルトを緩めトランクスとともにズボンを降ろしました。
そして私の屹立したペニスを根元から先端へと舐め上げました。
濡れた瞳は私の目から視線を外さないよう見上げています。
やがて先端部を唇で捉えると喉奥深くまで飲み込んでいきました。

(んっ…んっ…んっ…)
「もう…我慢できない…入れる…」

彼女はテーブルの上に浅く腰を掛けると、テーブルに後ろ手を突き、両ひざを高く持ち上げました。

「真理子を…いやらしく犯して…」

私は彼女の膣口にペニスの先端を押し当て、ゆっくりと埋没させていきました。
彼女は私の肩に両手を回し抱きつくようにして囁きました。

(今日は…真理子の○○○○に好きなだけ出して…)
(いいのか?)
(安全日…だから…)

彼女は手を口に当て声を漏らさないようにしています。
背徳感がさらに快感を呼んでいるようでした。
彼女は強く、弱く、深く、浅く、何度も逝き続けました。
私が射精感と共に思いっきり彼女の子宮を突き上げた時、彼女のそれが始まりました。

(あっ来るっ! 出ちゃうっ! 逝くっ! 来てっ! 逝くっ! 逝っ…くっ!)

『あっ! あぁぁぁっっっ!!!』

彼女は私の脈動を膣奥で捉えると、一際強く私の体を抱き締めながら絶叫しました。

私は慌てて彼女の口を塞ぎました。
私のペニスが激しく噴出している生暖かい液体を捉えています。
やがてそれは、私の下半身をも濡らしていきました。
太腿からズボンまでがおびただしい噴出物で濡れています。
彼女はやがて落ち着きを取り戻すと私の体を離しました。

「あっ大変っ! ごめんなさいっ! 何か拭く物…(汗)」

彼女は何処からかペーパータオルを一掴み持ってくると私のズボンを拭き始めました。

「ごめんなさい…(照)」
「今日はまた、一段と激しかったな(笑)」
「嫌っ! そんなこと言わないで(笑)」
「君のガーターベルト姿…。 凄い興奮した」
「貴方を喜ばせたくて…恥ずかしいけど買ってみたの。 気に入ってくれた?(照)」
「ああ、素敵だ。 これからはいつでもノーパンで居て欲しいな(笑)」
「貴方がそうしろと言うなら…」
「もう一度、剃っちゃった所を見せて。 このイスに片足を上げて…そう…指で開いて…」
「嫌…恥ずかしい…」
「綺麗だ、とても。 ホントに全部剃っちゃったのか(笑)」
「貴方はそれが好きだって…」
「じゃあ、今度はアナルで楽しませて貰おうかな。 君をもっと苛めてみたくなった(笑)」
「嫌… あんまり真理子を苛めないで…」

彼女のベストの襟元からノーブラの乳房を掴むと乳首を強めに摘みました。

「痛い?」
「ああ、嫌…。 でも… ジンジンきちゃう…」

真理子にはMの気がある…。
そしてそれは、私しか知らない彼女の秘密の部分、でした。

そう確信した時、私の性癖にも変化が現われました。
いわゆる衆人環視の中での露出などの恥辱行為は彼女と出逢って初めて体験できたことでした。
真理子を満員電車で痴漢達の『囲み』の中に放置したり、映画館の痴漢の餌食にしたこともあります。
彼女はその一つ一つに股間から愛液を滴らせながら応えていきました。
普段の彼女の持つ雰囲気と、痴態を演じる時のギャップが大きければ大きい程、私をよりいっそう興奮させてくれました。

私はただ、彼女の妊娠と性病への感染だけを心配していれば良かったのです。
−−−③転機

そんな私達の間にも転機が訪れました。
真理子が女子総合職一期生として抜擢されたのです。
彼女には一年間の海外研修が課せられました。

「引き止めてはくれないの? 貴方が会社を辞めろと言うなら…私…そうする」
「君はもっと高いところを目指すべきだ。 能力もある。 きっといい管理職になれる」
「私、そんなもの望んでいない。 ただ貴方と一年も離れて暮らすのが嫌なだけなの」
「君の為だけじゃない。 君の後に続く女子社員の為にも頑張って欲しいと思っているんだ」
「貴方はそう言うと思った。 いつも仕事をする上では男も女も関係ないって言ってたものね」
「君は女子社員の希望の星になるかも知れない。
 仮に俺を飛び越し上司に納まったとしても、君が上司なら俺は喜んで最良の部下になる道を選ぶ。
 嘘じゃ無い」

本音でした。
資質さえあれば学歴、性別を問わずどんどん登用すべきだというのが私の持論だったからです。
常日頃から、柔軟な発想も出来ないボンクラ男性社員など何人居ても何の足しにもならない事を嫌と言うほど見てきました。
これからの社会には彼女のような有能な女性の力が欠かせなくなる。
そう信じていたからです。

「俺とのことなど後回しでいいんだ…。 君にこのチャンスを潰して欲しくない」

彼女は深い溜め息つくと私の体の上に乗ってきました。

「ねぇ…今夜はもっとしてくれる?
 真理子の唇も…あそこも…お尻も全部壊れちゃうくらい…愛して欲しいの…」


彼女は研修の準備に忙殺されたのか、その日を境に私のマンションを訪れる事も無くなりました。
数日後には海外研修に旅立つ彼女の為に、同僚、友人、後輩達がささやかな壮行会を行ってくれる事になりました。

「え? 俺も?」
「真理ちゃんが是非にって。 いいじゃないですか、私達ともまんざら知らない仲じゃないし」
「いや、でも…」
「はい、美由さん参加っと。 じゃ場所と時間、決まったら連絡しまーす」

女性ばかりの壮行会に何故か私も招待されることになりました。
私は幹事の子に彼女への花束を預けると一番隅の席で会の進行の邪魔にならないことだけを心がけ座っていました。

会は和やかに進みました。
彼女は一人一人にお酌しながらお礼を述べて回っていました。
ただ、私の所のテーブルだけはお酌をしに来る事はありませんでした。
私を明らかに避けているのがわかります。
最初から最後まで、彼女には無視されっぱなしでした。

最後に彼女はたくさんの花束を後輩達から受け取り涙ぐんでいました。
彼女がスピーチを求められました。

彼女は少し酔ってるようでした。

「最後になりましたが私が上級職を目指す事を一番に賛成し、私の背中を押してくれた美由さん」
「わぁー、美由さん、立って! 立って!」

どこからかヤジが飛びました。
私は雰囲気に飲まれ立ち上がりました。

「私は貴方を恨んでいます」

てっきりお礼の言葉が続くと思っていた周囲は爆笑に包まれました。

「貴方が引き止めてくれれば私がこの研修に参加する事はありませんでした。
 まだ、間に合います。 引き止めてはくれませんか?
 私を今すぐお嫁さんに欲しいと言ってはくれませんか?」

皆が一斉に私を見ました。
私と彼女の関係を、その時始めて知った子ばかりのようでした。

「真理子…さん。
 俺は君が女性初の管理職になることを心から望んでいる。
 君にはその能力が充分ある。 そして君ならきっと乗り切れる。
 怪我や病気に気を付けて…研修が終わったらまた元気な姿を見せて欲しい」

「そう言うと思ったっ! 美由真のバカっ!」

彼女が子供のように泣きじゃくり始めました。

「さ、最後まで聞いてくれっ!
 どうしても無理だったり…嫌だと思ったら…その時は俺の所に帰って来てくれ。
 いつまでも待ってる。
 会社が必要とする以上に…俺には君が必要なんだっ!」

誰かが私の背中を押しました。
私はイスを避けながら彼女のそばまで進みました。

「何で今すぐと言ってくれないの?(泣) 貴方なんて最っ低…」

そう言うと私に倒れ掛かってきました。

遅かれ早かれ同じことでした。
彼女との関係が皆に知れるのは構わないと思っていましたが、まさかこんな時に、こんな所でとは思っても見なかった私は、ただただ狼狽していました。

ありがたい事に同席した子達は、私と真理子の関係を好意的に受け止めてくれたようでした。
ささやかな壮行会は泣き上戸の真理子を私が抱いて受け留めた所でお開きにしてくれました。

「それじゃ美由さん、真理ちゃんを宜しくね?」
「気を遣わせてすまん。 彼女は送って行く」

私はタクシーを停め彼女を乗せました。

「あなたがお嫁さんにしてくれるって言った事、私、信じてるから。 浮気なんかしたら承知しないから…」
「君がマンションの合鍵を持っているうちは浮気などしない(笑)」
「ん、わかった…。 それじゃ…貴方のマンションに…連れ…てって…」

タクシーの中で彼女はそう言うと、私の膝を枕に眠ってしまいました。

出発までの三日間を私のマンションで過ごし、彼女は異国へと旅立ちました。

私には絶対に見送って欲しくないと、そう言い残して。
−−−④真理子の選んだ道

彼女はすでに自身のマンションを引き払い、帰国のたびに私のマンションで過ごすようになりました。

一年間の研修期間が終了すると同時に、彼女は再び海外へと旅立つ事になってしまいました。
語学力と管理能力を買われ、本社と海外支社との連絡調整部門に配属されてしまったのです。

二人の関係に何も変化はありませんでしたが、彼女は仕事に忙殺され1年に一度くらいしか帰国しなくなりました。
たまに交わす国際電話での会話でも、結婚については何も口にしなくなりました。
今の二人の情況では、それが無理だと判っていたからだと思います。

そんな関係が、さらに三年くらい続いた頃、彼女から現地に恋人が出来たとメールが届きました。
彼女は国際結婚をし現地に永住する道を選んだのです。

彼女を失うことに一抹の寂しさはありましたが、彼女が会社を辞めない限り、同居を前提とした結婚など望むべくも無いと半ば諦めてもいたのです。
私はそれも彼女にふさわしい生き方だと思いました。

後日、彼女から手紙が届きました。
中から彼女の子供達の写真が出てきました。
彼女に似て可愛らしい子供達だなと、その時は単純にそう思いました。

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真さんへ。

貴方のことだから私に恋人ができたと言っても、引き止めもしなければ怒る事もないと思いました。
だから安心してこちらで結婚する事を決める事ができました。
彼は私の二人の子供達を自分の子のように可愛がり、そして愛してくれています。

来年になったら二人の子供を連れて一度帰国するつもり。
その時は子供達に逢ってくれるかな。

ね、写真を見て!
お兄ちゃんの方が真太郎、妹の方は真美という名前にしたの。

真太郎はやんちゃばかりして私を困らせるのよ?
でもね、真美は私に似て、おしとやかでとても美人なの!
そうそう、真太郎ったらね、真美が虐められたり泣かされたりすると
飛んで行って助けてあげているわ。まだちっちゃいくせにね。
そんな所は真さんそっくり。わかるかなぁ。

私ね、真太郎に恋しちゃってるかも知れない。二度目の恋。
真太郎がする事や考えている事、手に取るように解かるでしょ?
だから、そんなところに貴方の面影を見つけるのがとても楽しいの。

真美は、んー、きっと貴方が惚れるような女になると思う。
甘えん坊で泣き虫さんだからきっと貴方はほっとけないと思うわ。
いつもそばに居て守って上げたくなる。そんな子。

本当にごめんね。貴方の子供が欲しいと思ったの。
私が貴方に黙って子供達を産み、育てた事は許してくれないかも知れない。
だけど、この子達には何の罪も無いの。
今度逢う時は私の代りに、力いっぱいこの子達を抱き締めてあげてね。
そして、どうか許してあげてね。

子供達のこと黙っていて本当にごめんなさい。

追伸
貴方の部屋の鍵、同封しておきます。
もしも私を許してくれるなら、その時は扉を開け子供達に逢ってください。

                        貴方の妻 真理子
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私は写真に写る二人の子供達の顔すら滲んで見えなくなっていました。
鍵なんていくらでも作ってやるさ。
今すぐ飛んでいって抱き締めてあげたい。

そうだ…今ならまだ…起きているかも知れない!

私は差出人の国際電話ダイアルナンバーを押し始めました。

-------------------------------------------------------------------

私の子供達とは、彼女が日本に里帰りした時に逢う事ができました。
5歳と4歳の可愛い盛りでした。
抱き上げ、抱き締め、頬擦りし…そして男泣きに泣きました。
自分と血が繋がっている者が居る…そう考えただけで訳も無く涙が溢れてきたのです。

そしてもう…、いつ死んでも悔いは無いと思いました。

子供達は私に抱かれキョトンとしていましたが、人見知りしない子達で、すぐに私と仲良くしてくれました。

彼女はとても幸せだと言っていました。
彼女は、夫には『本当の父親は死んでしまった』と伝え、子供達にそれを聞かれれば同様に答えるつもりだと。
妊娠できるうちに子供が欲しかったのだと言っていました。

そんな彼女ほどの勇気も無く、私がしたことと言えば、いくつかのおもちゃを買い与え、二十歳になったら好きに遣って貰いたいと子供達名義の郵便貯金の口座を開き積み立てを始めただけです。
彼女は、それを快く受け取ってくれました。
ほんの少しですが肩の荷が下りた気がしました。

これまでを読まれた方は、私がいつも垂れ流しのように思われるでしょうが、登場する女性達とのセックスは本人から求められたり安全日だと言われない限り、膣外射精ばかりです。
コンドームは殆ど遣いませんでしたが、妊娠させてしまったのは後にも先にも真理子一人です。
彼女から安全日だからと言われ、結局は妊娠させてしまったのです。
今はそれを感謝していますが。

彼女が初回の妊娠をし、その後一年と数ヶ月ほどして再び逢った時、お恥ずかしい話ですが彼女が妊娠、出産を経た後だとはまったく気付きませんでした。
今にして思えば、少しふっくらとした印象があったかも知れません。
俗に言う、ゆるくなるとか体型が崩れるとかいう所もありませんでした。
というか、久しぶりに会えた嬉しさで、そんなことを疑問に思う事ことすらありませんでした。

そして、彼女は二人目を身篭りました。彼女を抱いたのもその時が最後になりました。

子供達とは、その後二回ほど遠くから見つめるだけで直接会う事はしませんでした。
物心付く前に会う事を止めなければいけないと思ったからです。

彼等は継父の元で幸せそうでした。
それでいい。
それで充分だと思いました。

何かあればきっと真理子の方から何か言ってきてくれる。
自分が何かできることがあるとしたら、きっとその時だろう…。

そう思って自分の気持ちに整理を付けました。
最終章①そして真由美へ

現在の妻、真由美も、私に二人の子供が居ることは知っています。
そのことを知っているのは、私と真理子、そして真由美とその両親、おそらくその五人だけでしょう。

真由美とは見合い結婚ですが(厳密に言うと少し違うかも知れませんが)、彼女には最初にその事実を話しておきました。

「子供達のこと、気にならない?」
「あぁ…もう忘れる事にしたんだ」
「子供達のこと考えると、少し可哀そう…」
「俺は鈍感で冷たい人間なんだ。
 こんなのがあの子達の父親でいいはずがない。
 あの子達だけじゃない。
 俺はきっと何人も哀しませる事を繰り返して来た…。
 君の事も幸せにしてあげられないかも知れない…」

この言葉を彼女がどう受け留めたのか、それは今でも判りません。
彼女はその日のうちに私に子供が居ることを御両親に伝えたのだと思います。
見合いの結果は破談でした。
バツイチなのはともかく、籍に入っていないとは言え二人の子供が居ると判れば…。
真由美の両親の判断は当然だったと思います。

ただ、真由美本人の判断は違いました。
彼女はその後も何度か連絡をくれるようになりました。
共に食事をしては他愛のない会話を繰り返し、やがて私と彼女は結ばれました。
彼女は私のマンションを度々訪れては私の生活を何かと支えてくれるようになりました。
週末などに彼女が泊まる機会が増え、やがてある日を境に彼女は家に帰らなくなりました。
彼女を抱いた後、その日も帰るそぶりを見せないので聞いてみたのです。

「今夜も帰らなくていいのか?」
「帰った方がいいの?」
「いや。 君を帰したいと思ったことなど一度も無い」
「でしょ? 親にはもう貴方と暮らすと言ってあるの」
「許してくれた?」
「ううん聞いてない。 手紙を置いてきただけだから」
「それって…家出って言うんじゃないのか(汗)」
「略奪? 強いて言うなら、誘拐監禁?(笑)」

笑い事では有りませんでした。
彼女は全てを捨てて家を飛び出してしまっていたのです。

私は翌日、彼女には黙って彼女の実家を訪ねました。
玄関先に立ったまま、ただもう頭を下げるしかありませんでした。
応対に出た彼女の母親に続いて、彼女の父親も玄関先に現われました。

「この度は誠に申し訳ありません」
「君一人か? 真由美はどうした」
「来てはいません。私一人です」
「とにかく娘を連れて来なさい」
「それは…、できません」
「何を言ってる。 悪いと思っているなら、とにかく一度娘を帰しなさい。 話はそれからだ」
「いえ、帰せません。 今日は許して貰うことだけをお願いに来ました」
「あの子は大事な一人娘だ。 君なんぞにやるわけにはいかん」
「私のことを許して貰おうとは思っていません。 今日は真由美さんのしたことを許して貰いに来ました」
「何? 君は自分の事は棚に上げて真由美のために来たとでも言うつもりか。 そんなもの順序が逆だろう」
「私のせいで彼女はお二人にご心配をお掛けしました。 彼女がしたことを許して貰えないと私は彼女に合わせる顔がありません」
「私達の気持ちなど二の次かっ! 娘を許そうが許すまいが君には関係無いことだ」
「私が彼女にそうしろと言いました。彼女は…」
「もう、いいっ! 君の話など聞きたくも無いっ! 帰ってくれ!」
「はい。 でも…また来ます」
「ふざけるなっ!」

『美由さん!』

立ち去る時、彼女の母親に呼び止められました。

「ね、あの子元気?」
「はい」
「貴方もバカね、わざわざ主人を怒らせに来るなんて(笑)」
「すみません」
「一人で来たこと、あの子には内緒なんでしょ?」
「はい」
「貴方…私達のことが気になるの? 真由美と二人で楽しく暮らせばいいのに」
「彼女には、お二人に心配をお掛けするような真似はして欲しく無いと思いました」
「嬉しいことを言ってくれるのね(笑)」
「彼女がお二人と仲たがいすることになれば辛くなります」
「あの子が知ったら喜ぶわ。 私もね(笑)」

彼女の母親は、そのまま私と並んで歩き始めました。

「でも、いいの?」
「はい?」
「わかるでしょ? あの子は言い出したら聞かない子。 貴方もきっと苦労するわ(笑)」
「そうでしょうか。 自分は彼女と居るとホッとします」
「そう?(笑) 幸せにしてあげてね」
「大切にします」

「ね、あの子…、貴方に父親のこと何か言ってた?」
「いえ、別に…」
「そう…。 あの子がうちを飛び出したのは、たぶん私のせいだと思うの」
「え?」
「あの子、本当の父親の顔を知らないの。 貴方がその父親に良く似ているって最初会った時、私が言ったから…たぶんそれで…」

「あの子の本当の父親は、あの子が小さい頃に死んだわ。
 それからは女手一つで育てて…。
 今の主人とは、あの子が大人になってから再婚したの。

 あの子が主人のことをお父さんと呼んだ事など一度も無いわ。
 いつも他人行儀。

 主人にも…あの子にも…可愛そうなことをしたわ…』
「そう…だったんですか…」

「貴方…顔立ちとか、物腰とか…あの子の実の父親にとても良く似ているわ…。
 今日みたいに後先考え無いところも(笑)」
「すみません」
「謝ることじゃ無いわ(笑)」

「あの子ね。
 置き手紙に貴方のことばかり書いて行った…。

 貴方、あの子に車道側を歩かせたこと無いんですって?(笑)
 最初は何で時々体の位置を入れ替えるのか判らなかったらしいわ(笑)
 お年寄りに席を譲るのも自然に出来る人だって。
 電車の中でいきなり腕を取られて一緒に立たされたって(笑)

 貴方とテーマパークに遊びに行った時のことも書いてあった。
 入り口であの子が見知らぬ奥さんから二人分の優待券を貰ったことがあったでしょ?
 あの子がその奥さんに何か買ってお礼をしようとしたら貴方に止められたって。
 自分がされて嬉しいと思った事は別な人に違う形で返していけばいいって言われたって。

 あの子、貴方のそんなところが、とても好きになったみたい。
 貴方が何があっても自分を守ってくれる人だと思ったんですって(笑)

 今日…私もそう思ったわ…」

彼女は立ち止まり、そして私の顔を見つめました。

「あの子ね…貴方に父親の姿を探しているんだと思うの」

そして帯止めから何かを外しました。

「これ…あの子の父親の形見の品。 貴方から渡してあげて…」

それは小さな、犬を模した象牙の根付でした。
彼女は私の手を取るとそれを私に委ねました。

私の手はすべてを許してくれるような暖かい手に包まれました。

「ね、あの子の為に長生きできる? それだけは約束して」

答えようのない答えを求められ、私はただ黙って頷くしかありませんでした。

「あの子に、たまには顔を出しなさいと伝えてね。 主人のことは私が何とかしてあげるから(笑)」
「はい(笑)」

後日、彼女を伴い再び訪問することになりました。
彼女と二人、心配を掛けたことだけは御両親には謝っておくべきだと思ったのです。

彼女は、何時まで経っても顔を出さない継父の部屋に、私を制すと一人で入って行きました。
しばらくして出てくると自分の部屋から当面必要な小物類を私の車に運び込みました。
彼女は母親を抱擁し「心配しないで」と言うと、私に「さ、帰ろ」と言いました。
母親も私に頷きました。
私は一礼すると彼女の家を後にしました。

「もっとゆっくりしてこなくて良かったのか?」
「うん。 お父さんにお母さんのこと頼んでおいたから。 二人には私の方がお邪魔虫なの(笑)」
「そっか。 君はご両親にとってお邪魔虫か(笑) それなら遠慮なく貰っておこう(笑)」
「そうよ? 遠慮なく貰って(笑)」

その夜遅く、私は彼女の継父から電話を受けました。
その電話は、真由美の父だと名乗ったきり無言の電話になりました。

やがて重い口を開くと、

『真由美が…今日…』

そう言ったきり、また長い長い沈黙に戻りました。
やがて再び言葉は繋がっていきました。

「真由美が私のことを…初めて…お父さん…と…呼ん…で………れた。…私に、お母さんを宜しく……と…」

もうその声は言葉にはなってはいませんでした。

(グッ…ウウッ…)

受話器から父親の嗚咽と共にその心情が溢れ出してきました。

私はただ受話器を強く握り締め、ええ、ええ、と相づちを打つことしかできませんでした。

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彼女が両親との関係を修復できたとはいえ、一度は私の為にすべてを捨てた事実は私の心に強く残りました。
その時から私の新たな【ビギニング】という物語が始まりました。
彼女のとった行動が、それまでの私の価値観を根底から覆してしまったからです。

私の為に全てを捨てた彼女に、私は、私の持つ全てのものを委ねることを決めました。
私の生命保険の受取人を全て彼女の名前に書き換えました。
そして、マンションを売り払い、戸建住宅を購入することを決めました。
家も土地も全て彼女の名義にして、可能ならいずれはそこに彼女のご両親を呼び寄せようと思ったのです。
彼女の持ち家なら両親も気兼ねをしないで済むはずです。
結果として彼女の両親は、まだまだ二人だけで暮らしなさいと言いながらも私のそんな判断をとても喜んでくれました。

信じられないでしょうが、未だに彼女とは式どころか婚姻届すら出していません。
私は、結婚とは心と体が重なり合い、喜怒哀楽のすべてを共感するところから始まるものだと信じています。
私は過去の結婚の失敗から、式だとか届出だとかの形式に囚われる無意味さを痛感していました。
もちろん、彼女が望むなら印鑑などいくらでも突くつもりでいましたが、不思議なことに彼女自身も彼女の両親も、それについては何も求めることはありませんでした。

彼女は言いました。

「ウチの親、この家の名義の一件以来、貴方のすることを無条件に信じてるみたい。婚姻届け出さないのも何か理由があるんだろって(笑)」

その通りでした。
私は、現在の会社を退職したその時には、一人娘である彼女の戸籍に入ろうと考えていたのです。
一人娘を私に嫁がせた彼女の両親を安心させるためにも、是非そうしたいと考えていたからです。
それなりの役職に着いてしまった現在、今の制度が変わり夫婦別姓でも認められれば話は別ですが、それまでは今の名前のままで働きたいと思っていました。

昨年、私達二人は家の買い替えを行いました。
いわゆる二世帯住宅というやつです。
どうせ彼女の両親を迎えるなら、より暮らしやすい環境を整えてあげたい。そう思ったからです。

二人の関係に何かあれば、私が体一つで出て行けば済む。
そんな私のスタンスは相変わらずです。
もちろん、そんなことに成らないよう気を付けたいと思っていますが、とにかく彼女には、これ以上何も失わせたくはないのです。

現在の妻、真由美との生活は13年にも及び、過去に出逢った他のどの女性よりも長い付き合いになりました。
婚姻届も出していないため、彼女は法的に見ても、とても近くて遠い存在です。
彼女のことは全て判っているようで、実のところ全然掴めていません。
とにかく世間から見れば不思議な関係が続いています。
解かっているのは私が彼女を深く愛している。 ただそのことだけです。

気付かれた方も多いと思いますが、私のペンネーム【美由 真】は、そんな愛する妻の名前【真由美】をもじったものです。
彼女は、私にいつも新鮮な驚きを提供してくれています。
良い意味で、私を打ちのめしてくれます。
そんな彼女とのことは、また別の機会にお話することになると思いますが、彼女は私の過去の全てを包み込むようにして、私を支え続けてくれました。

「パパ(最近、妻は私をそう呼びます。 そのあたりの経緯はまた別の機会に)と一緒じゃなきゃやだ」

いつも彼女が口癖のように言う言葉は、本当は私から彼女に一番伝えたい言葉でもあるのです。

(君と共にでなければ、これから先の人生など何の意味も無い…)

私のこんな想いは、これから先も彼女は耳にすることも無ければ、目にすることも無いと思います。
彼女にとっては、そんなことは当たり前の話で、何を今さらと笑われるだけだと思うからです。
−−−②後書きに代えて【完】

ビギニングⅡ最終章でも触れましたが、我が家は昨年、引越しを行いました。
その際、私が過去に出逢った女性達の想い出の品々がいくつか出てきたのです。
それらは写真や手紙であったり、当時良く聞いていたレコードであったり、と。

レコード以外は妻には見せる必要などまったく無い物ばかりです。
妻がそれを見たり読んだりすれば、あの時「ひとみ」が言ったように、妻は傷つくかも知れない。
そう思ったのです。

私はレコード類のみを残し、それらの一切を処分することにしました。
そしてその代わりに、私は彼女達との間に生まれたエピソードの一つ一つを書き留め、ネット上に保管しておこうと考えました。
そうしておけば、いつでも、どこからでも、そして好きな時に、また彼女達に会うことが出来ます。
私は妻の目を盗んでは彼女達のことを書き綴りました。

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当時の事を振り返る時、彼女達との間に生まれた小さなエピソードの一つ一つを鮮明に覚えているのなら、それはそのまま私の心の宝物なんだろうと思いました。
それが喜怒哀楽のどれに繋がる記憶であっても、やはり宝物であることには変わりはありません。
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ビギニングⅠの冒頭で書いた言葉です。

作品と言っても、私には小説としての体裁を整えることなどできません。
私が書き起こしたものは、彼女達の事を忘れないための単なる覚書きになってしまいました。

彼女達との出会いや別れのシーンばかりが思い起こされ、結果として、自分が想い出しては切なくなるエピソードばかりを羅列することになってしまいました。


たまに、ネットなどで彼女達と同名の名前の方を見かけると、その方の顔や声、性格まで手に取るように解るような気がします。
もちろん、錯覚に決まっていますが。

そんな私にとって一番辛かったのは彼女達の名前を仮名にすることでした。
音感が変わると、まったく別な人のように思えてくるからです。

私は音は変えずに文字だけを置き替えることにしました。

やがてそこに、彼女達が姿を現しました。


「なぁ、覚えてるか? これ… 君のことを書いてみたんだ」


その言葉を伝えたい人が、私には居ます。

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