和君 5/27(水) 20:51:25 No.20090527205125
加奈は時間通りに,部屋を訪ねて来ました。
部屋に入ってきた加奈は,会釈した女性を見て訝しげに尋ねました。
「和君,彼女誰?」
それはそうでしょう。彼女にしてみれば別れたとはいえ,長年一緒にいた夫だった男のホテルの
部屋を訪ねるのです。心の隅に何らかの決意があったとしてもおかしくありません。
私は二人の女性を紹介しました。
「彼女が元僕の妻加奈さん。こちらの女性は清水君の元妻の美千代さん。
二人とも初対面だったよね。話には出ていたと思うけど」
「何で清水君の奥さんがここにいるの?和君とどういう関係?」
不思議がっている加奈をソファに座らせると
「これから話すこと,加奈の胸だけに収めておいて欲しいんだ。
清水君には聞かせたく無い話だから」
次に私は美千代の目を見ながら静かに尋ねた。
「美千代どうする,聞きたくない話や辛い話が一杯出てくるから何なら席外していても良いぞ」
美千代は目に一杯涙を溜めながら震える声で私に訴えた。
「ここに居ます。一緒に居させてください。私もう捨てられたく有りません」
私は加奈の向かい,美千代の横に座りました。
彼女は私の上着の裾を掴みながら小さく震えてます。
私は美千代の手を握って,諭すように言いました。
「落ち着け。どこも行かないから」
「本当に」
唖然として私たちのやり取りを見ている加奈に
「加奈,ごめんね。彼女清水君に捨てられてから少しナーバスになってるんだ。
俺にも捨てられんじゃないかって」
「清水君に捨てられるって何? 和君にも・・・私にも解るように説明して。
それに美千代さん,あなた妊娠してない?まさか和君の子供じゃないよね」
いつもは冷静な加奈が興奮気味に質問してきます。
「加奈落ち着いてよ。一つ一つ説明していくから」