黒熊 9/1(金) 22:39:51 No.20060901223951 削除
「どうしてッ!?…何が駄目なのッ!?」
「駄目なのッ…わたし…わたし…もうこれ以上あの人を裏切れない…判
ってッ…私は主人の事を愛しているのッ…誰よりも主人の事をッ…」
妻はソファーの背凭れに斜めに身体を預けたまま、両手で顔を覆って「ワ
ッ…!」と泣き声を上げます。
「そんなのないよッ!…ねッ?…ほら…」
男は釈然としない表情のまま再びビデオのリモコンを取り上げ、何やら操
作をしています。そしてテレビの画面に、また新たな映像が映し出されま
した。
『…アアッ!…イッ…イイッ!…気持ちいいッ!…アアンッ!…こ、こん
なのッ…初めてよッ!…アアッ!…わ、わたしッ…も、もうッ!…アアア
アッ!!』
スピーカーから聞こえる音声は、先程の善がり声よりも更に卑猥さを増し
た、狂ったような妻の嬌声でした。
そして画面には、自分の脚を男の腰に絡み付けて、自ら卑猥に腰を振りた
くる妻の姿が映し出されているのです。
「ほら…僕たちはもうこんなに愛を確かめ合ったんだよ?…どう見たっ
て、お互いに愛し合ってる二人じゃないかッ…ねッ?…旦那さんなんかよ
りも…きっと僕のほうが由紀子さんにはピッタリなんだよ…」
男が話し掛ける間にも、妻は顔を手で覆ったままイヤイヤと首を振ってい
ます。
それでもスピーカーからは妻の狂ったような善がり声が響き渡るのです。
『…アアッ!…ダメッ!…アアンッ!…そこッ!…そこッ!…アアッ!
…イイッ!…イイのッ!…気持ちいいッ!…アアアアンッ!…こ、こんな
の初めてッ!…アアンッ!…ダメッ!…ダメェッ!…アッ!…イ…イク
ッ!…イクッ!…イクイクッ!…アアアッ!…イクゥゥゥゥゥッ!!』
「ほらッ…由紀子さんも思い出してよッ…僕たちあんなに愛を確かめ合
った仲じゃないかッ…ねッ?…旦那さんとじゃ、あんなに気持ち良くなれ
ないんでしょ?…由紀子さんは、僕とじゃなきゃ駄目なんでしょッ?」
妻との激しい性交の場面を見せながら、男は執拗に詰め寄ります。そして
再び妻の手を取ると、自分の股間へと導くのです。
「ああッ…だ、だめッ…お願いッ…違うのッ…あれは…あれは…違うのッ
…お願いッ…もう…これ以上は…赦してぇッ…」
そう言って拒絶の言葉を吐きながらも、妻は男に促されるままに男の股間
を摩り上げるのです。その仕草は、まるで男を受け入れようとしているよ
うに私には見えました。
そして私はこの時、完全に妻を失ったような感覚に襲われたのです。もは
や妻はこの男から離れられないのだと、私は本能的に感じたのでした。
「由紀子さんッ!」
再び男が妻の身体に圧し掛かっていきました。
「駄目ッ!…だめぇッ!…お、お願いッ!…もうこれ以上は駄目なのッ!
…お願いッ、判ってぇッ!」
「そんなの関係ないよッ!…僕が由紀子さんの全てを受け止めてあげる
からッ!」
目の前で起こる出来事に完全に打ちのめされていた私ですが、妻に圧し掛
かる男の姿を見て雄の本能が呼び覚まされたのでしょうか。私は不意に激
しい怒りに全身を震わせていました。
それは男に対するものなのか、それとも妻に対するものなのか、あるいは
両方に対するものなのか、その時の私には判りませんでした。
しかし、私は全身から湧き上る怒りに任せてサッシ窓を力強く押し開けた
のです。
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