川越男 10/2(木) 01:16:10 No.20081002011610 削除
「もしもし、電話があったみたいだけど」
妻の言い方はまるで『何か用?』と言わんばかりのものです。 私は電話で怒鳴りたい所でしたが、会社は目の前。会って言った方がいっぺんに済むと思いグッと堪え一言。
「中に入ってから話す」
「はぁ-?意味わかんない」
「…もう着くから切るぞ!」
「えぇっ!!ちょっ、ちょっと!着くってどこに…」
妻の話の途中でしたが電話を切り会社の駐車スペースに車を止めます。その間にも妻からの着信がありましたが無視して事務所に入りました。
私は一瞬、お得意の軽いパニック状態になりました。
ここに、妻以外の事務員はいません。私の知る限りですが。
なのに、目の前には見知らぬ女性が妻の机に座り事務仕事をしています。
「えっ、あのーどちらさん?」
何とも間抜けな第一声でした。もっと気の利いた言い方もあったろうに…(笑)
「えっ、あの~ここの事務員ですけど…」
「はあ?そんな話聞いてないぞ」
「あの~あなたは?」
「俺はここの責任者、社長だけど」
「あっ、初めまして~木村です。先月からお世話になっています」
「はぁ?先月からって…待て待て、そもそも事務員なんて募集した事なんてないぞ!」
「えぇっ!聞いてないんですか?」
「聞いてないって…事務員雇ってた事すら今知ったのに…」
その木村さんと言う女性は困った顔をしている。取り敢えず私はその木村さんから事細かに話を聞きました。
その話に私は怒りで軽いめまいを覚えたほどでした。
彼女の話を纏めると、名前は木村淳子さん(以下木村さん)歳は42歳。勤めたキッカケは妻の友人の紹介で、木村さんは旦那さんが仕事に行って空いている時間に仕事がしたかったらしく、良いタイミングでこの話が転がってきたようで、その友人に『面接も兼ねて一度顔見せしないか?』との誘いに二つ返事承諾し、2ヶ月前の暮れにここでその友人立ち会いで会ったらしい。
その時に、細かい内容や勤務日数、勤務時間、時給などの条件を提示され、思った以上の好待遇にまたまた二つ返事で承諾をしたらしい。(上記の条件は後々説明します)
果歩が社長の奥さんと聞いて、当然社長自身把握しているものと思っていたので何がなんだか解らず戸惑っていると…
木村さんの話を聞いていくつかの疑問が浮かびました。
私達は、一度会社を出ると余程の事がない限り退社時間まで帰社しません。
それは、取引先の殆どが長距離の隣県や東海、東北方面です。なので、万が一トラブルが起きた場合今日の私のように一度事務所に連絡をする事になってます。(従業員には私に連絡がつかない場合妻に連絡をするように伝えています)
しかし、私の記憶ではここ1ヶ月の間、会社に電話した時必ず妻が電話にでてました。その事を聞くと、木村さんは驚くべき事実を話し始めました。
「私は、奥様に電話には出るなと言われていたので」
「えっ、どう言う事?」
「会社に掛かってくる電話は奥様の携帯に転送されるので、私は事務仕事と来客の対応だけでした」
--なるほど、完璧な計画的犯行なわけだ--
「妻物語」ってこーゆーのだよ。
楽しみ!