川越男 10/7(火) 10:37:47 No.20081007103747 削除
その日の夜、興信所からの連絡で、翌日の正午までに調査結果をまとめて渡すと報告がありました。
私は『昼一番で伺います』と答えました。
明日は、午後から仕事を休まなければならないようです。
-やっとハッキリする-
これまでの苦しみが報われるのか、それとも、新しい苦しみに見舞われるのか… それはわかりません。
しかし、何にしろ【一歩】になるのです。再構築か別れかの。
何れにしろ、今日までは我慢です。(早く隆の顔が見たいな…)そう思い、玄関を開けました。
「隆ぃ~、ただいまぁ」
そう呼べばあの天使が最高の笑顔で迎えてくれる…その筈でした。が、現れたのは、私が今最も顔を見たくない妻でした。
「…お帰りなさい」
予想に反し、迎えに出て来た妻は、最近までの冷たい感じではなく、何か恭しい感じでした。
「………」
私は、そんな妻を無視してリビングへ。しかし、すぐに違和感に気付きます。
「おい!隆は、隆はどうした!」
何時もリビングでアニメのカード?かなんかで遊んでいる隆がいません。
「…隆は、美樹さんの所にいるわ」
「はぁ?何で美樹の所に居るんだよ」
※美樹は、私の実妹で、隣町に結婚して住んでます※
「あなたとゆっくり話がしたかったから…」
「はなし?フン、何の話があるんだよ…今更」
‘今更’と言う私の言葉に妻の顔が青ざめます。
この時点では、私は何も言ってません。ずっと無視してましたから。
なので妻がどのタイミングで突っ張ってる場合じゃないと気付いたのかは知りません。知りたくもない。
「ご、ごめんなさい、私、まさかこんな事に…あなたが…こんなに怒ってるなんて…」
「怒る?勘違いしてるぞ。別に俺は怒っちゃいないし」
妻の顔が一瞬にして明るくなりましたが私の次の言葉で更に青ざめます。
「怒りなんてものはある程度感情(相手に対して)があって初めて意味があるけどな。ない相手にはそれこそ意味がない。そう言う事だ」
「そんな事言わないで!ねえ、謝るから!もうあんな態度、取ったりしないからぁ…」
最後は泣き声でした。しかし今の私にはその行為にも疑いの目で見ています。今この場を取り繕う為に打算で泣いていると。そんな事を疑うような夫婦になってしまいました。
「まぁ、どっちにしても明日だな」
「…明日?」
「そう。明日全部聞くよ。許す許さないは明日お前と話してから決めるよ。その代わり言っておく」
妻は泣き腫らした目を私に向けています。
「嘘はつかない方がいいぞ……終わるからな!」
私はそれだけを告げ、床に崩れ落ちる妻を残してリビングを後にしました。
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