川越男 9/29(火) 23:58:40 No.20090929235840 削除
息子の部屋の前に立ちノックをしますが案の定妻からの返答はありません。
昨日までならここで引き下がる所ですが、今日こそはこのままの状態から一秒でも早く抜け出すことを心に決めている私は引き下がる訳にはいかなのです。ノックの音にも自然と力が入っていきます。
「果歩・・・いい加減止めにしないか・・・こんな子供じみたまねしたって一緒だぞ?問題を先送りするだけでなんの解決にもならない・・・」
「・・・・・・」
「お前だって分かっているだろう?このまま引き篭もってだんまりを続けられないって事は」
「・・・・・・」
「今すぐに無理と言うなら時間を置く・・・1時間後、寝室へ来てくれ」
「・・・・・・」
本心ならドアを蹴破って引きずり出したい所ですが、それをやって妻が更に頑なになってしまうと考えた私は妻の良心に賭ける事にしたのです。
元々は嘘の嫌いな真面目な女です。そこに私は惚れたのです。
そこだけは信じていたいのです。
息子の部屋から微かにすすり泣く声が聞こえてきましたが、それ以上は語らず黙って息子の部屋の前を後にし寝室へ向かいました。
部屋に入り、着替えをすましベッドに腰掛けこれからの事を考え憂鬱な気分になっているとベットサイドに置いてある写真立てが目に留まりました。
隆の小学校入学式の時、三人で正門の前で撮った一枚・・・そこに写る三人はそれぞれが幸せな笑顔でいます。
真ん中で両親に挟まれている我が子の笑顔は世界一尊い物・・・
[俺達夫婦の都合で隆の笑顔を奪ってしまっていいのか?俺さえ・・俺さえ我慢すれば・・・クソッ!!]
心の葛藤を抑えきれず、思わず投げつけてしまった写真建てがベットの上で悲しげに私を見ています。
「・・・・・・」
私は決断を下そうとしています。
それがどれだけ大変で過酷なものになるのか分かっています。
しかし、写真の隆のあの笑顔を壊してはいけない・・・その為ならどんな事でも耐えよう・・・
そう思い、写真建てを直そうと手を伸ばした時でした。
[なんだ・・これ?]
投げつけたせいか、写真建てのカバーがずれ中から紙の様な物が飛び出しています。取り出して見てみるとそこには、『ごめんね ゆるしてね』と書かれています。
[なんだろう?]
そう思い、裏返して見た私は一瞬で凍りつきました。
[隆・・・ごめんね・・・パパ、無理みたいだ・・・]
それは、エコー写真でした。
コメント
つまり、旦那の子じゃないって事、だと思う。
地獄に落としてスッキリしたいけど、この話しは、まもなく未完成で終わりなんだ。
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