[3562] インプリンティング 41 投稿者:迷人 投稿日:2005/09/08(Thu) 00:56
稲垣と奥さんの話を聞いていた私は複雑な心境でした。
妻を愛していたのではなくて奥さんを愛していると言うのは、全て失うのが嫌で、奥さんの手前
言っている事だとしても、未だに妻を愛していると言われるよりは、今後の対処がし易いと思え、
私には喜ばしい事なのですが、裏を返せば、妻を真剣に愛してもいずに、私の大事な家庭を壊し
た事になり、それは今迄以上に許せない事でした。
稲垣の話が本当なら、この様な歪んだ理由で家庭を壊されたのかと思うと、強い怒りを覚えます。
「そんな話は帰ってから2人でしてくれ。それよりも、今回の事を聞かせろ。どうやって妻と付
き合う様になった?」
稲垣は転勤が決まる前まで、行き付けのスナックに手伝いに来ていた、バツイチの女に入れ揚げ
ていました。
お金の為に機嫌を取っていると分かっていても、その事が心地良かったと言います。
しかし奥さんは、女の影を感じてから相手は妻でないかと疑い、稲垣を問い詰める様な会話が増
えていき、稲垣にはその事が煩わしく、転勤を期に単身赴任を強く望んだ事で、奥さんもそれま
での自分の態度を反省して、これを許したそうです。
いざ赴任するとそこには偶然にも妻がいて、稲垣は勝手に運命のような物を感じ、奥さんが浮気
をして離婚に成りそうだと嘘をつき、同情を惹いて近付いた様です。
妻は、以前凄く世話に成ったので少しでも恩返しがしたいと言い、外で会っていて要らぬ噂を立
てられては、妻に迷惑を掛けてしまうからと言う稲垣の提案に乗り、アパートへ行く様になりま
した。
最初は稲垣の悩みを聞くだけだったのですが、次第に先に帰る妻が食事の用意をして稲垣の帰り
を待ち、一緒に食事をする事も増え、休日には掃除や洗濯にも行く様になりました
「まるで通い妻じゃないか。智子がアパートに行く様になってから、すぐに抱いたのか?」
「いいえ、身の回りの世話をしてくれていただけでした。」
「以前に関係を持った事の有る男と女が、狭い部屋に2人だけでいて、何も無かったと言うの
か?正直に話せ。」
「すみません。アパートに来る様に成って一ケ月ほど経った頃から、キスの様な事は・・・・・
有りました。私の執拗な要求に負けたのか、渋々ですが応じてくれました。でも、身体の関係だ
けは、ご主人を愛していて娘さんにも顔向け出来ないので、いくら私の頼みでも聞けないと言っ
て強く拒まれました。」
いくら特別な感情をもっていて、以前世話に成ったと勘違いしていたとしても、私が日本を離れ
てから2ヶ月ほどで、簡単にキスを許したのは許せません。
身体は許しても唇は許さないと聞いた事が有りますが、妻の場合それとは逆で、結婚している事
が足枷に成っていて身体を許さなかっただけで、心は完全に許していたように感じてしまうので
す。
私はこの運命の悪戯を怨みました。
私の単身赴任が無かったら、この様な事には成らなかったかも知れません。
多少稲垣との接触はあっても、毎日私の顔を見ていたら、罪悪感からこれ以上は進まなかったか
も知れません。
何より、稲垣と同じ職場にならなければ、稲垣との接触も無かったでしょう。
「それなら、どの様に関係をもつ様になった?」
「それは・・・・・・・・・・・・。」
「はっきりと言いなさいよ。私や智子さんに話した事をご主人にも話なさい。もう、殴られても
殺されても仕方が無いでしょ?全てあなたがしてきた事なのだから。少しぐらいは男らしく、も
う腹を括ったら?」
稲垣は妻と会う度に、以前関係を持った時に見た身体が脳裏に浮かび、服は着ていても裸に見え
たと言います。
稲垣自身も歳をとったせいか、腰の回りに肉が付き、以前よりも肉付きのよくなった妻のウエス
トを見て、乳房も以前より垂れた崩れかけた身体を想像すると、若い娘の身体よりも遥かに興奮
を覚えたそうです。
抱きたいと言って断られたものの、その後も通って来てくれる妻を見ていて、何か方法が有るは
ずだと考え、思い付いたのが子供の事でした。
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