[3565] インプリンティング 42 投稿者:迷人 投稿日:2005/09/09(Fri) 00:26
妻も私と同じ様に、血液型からだけではなくて稲垣の話す状況からも、娘は稲垣の子供だと思い
込み、翌日には体調が悪いと言って銀行も休み、アパートに来る事も有りませんでした。
妻はその翌日も銀行を休んだので、夜稲垣が電話をすると。
「この事は主人には黙っておいて下さい。お願いします。」
「それは出来ない。これは全て私の責任だ。今ご主人は大事な仕事をしておられるし、とても電
話などでは話せる事ではないから、話すのは帰国してからになるが、何の責任もとらずに、この
ままにはしておけない。」
「それは困ります。」
「困るといわれても、このまま私の娘を他人に育ててもらう訳にはいかない。どちらにしても、
今後の事を話し合いたいから、明後日の土曜日にアパートまで来てくれ。」
妻は言われた通りに、土曜の朝アパートに来たそうです。
「おまえは嘘の天才か?どうしてその様な言葉がすらすら出て来る?第一娘がO型で無かった
ら何と言って騙すつもりだった?」
「智子さんは忘れているようでしたが、赴任してすぐに聞いていて、3人の血液型は知っていた
ので、他の血液型の事までは考えなかったです。」
初めて妻がアパートに来た時に家族構成を聞いて、子供は関係を持った後に出来た娘が一人いる
だけだと知り、自分の子供では無いかと心配になり、他の話しに紛れてそれと無く血液型を聞き、
自分の子供では有り得ない血液型だったので、ほっと胸を撫で下ろしたそうです。
しかし妻は、久し振りに稲垣と話せる喜びで舞い上がっていたのか、一人暮らしの男のアパート
に来た事で緊張していたかで、話した内容を忘れてしまっていたのでしょう。
稲垣の嘘はその場の出任せでは無く、全て用意周到に準備された物だと分かり、妻がああ言えば
こう言う、ああすればこうすると色々なケースを想定し、妻を落としていったのだと思います。
「その事と、身体の関係をもつ様になった事とは、どの様な繋がりが有る?」
土曜の朝から話し合っていても、このまま私には隠しておきたいと言う妻と、私に話すべきだと
言う稲垣の話は平行線のままで、次第に妻はどうしたら良いのか分からなくなり、取り乱してい
ったそうです。
しかし稲垣にとってはこれも予定通りの事で、妻を抱くという目的を達成させる為に、妻が自分
では判断出来なくなり、自分自身を見失って行くのを待っていたのです。
「2人で責任をとろう。理香ちゃんの為に、何もかも捨てて責任をとろう。」
「えっ?どういう事?」
「ご主人には悪いがお互いに離婚して、2人で理香ちゃんを育てて行こう。理香ちゃんに対して
責任をとろう。今は理香ちゃんの幸せだけを考えよう。」
「私には出来ません。主人と別れるなんて出来ません。」
「私だってそうだ。離婚を考えてここに来たが、やはり妻にはまだ情が有る。それに、智子と違
い私は子供達とも別れる事になる。しかし、今は自分の幸せや自分の都合を考えている時では無
いと思う。私の子供達と違い、理香ちゃんはまだ小さい。理香ちゃんさえ大きくなれば、私はご
主人に殺されても良いと思っている。理香ちゃんが1人で判断出来る歳になるまで育てるのが私
の責任だと思う。智子も自分の幸せや世間体、罪悪感など全て捨てて、理香ちゃんの事だけ考え
て欲しい。」
「それなら今迄通り、私と主人で・・・・・・・。」
「それでいいのか?智子はそれで平気なのか?ご主人は何も知らずに、自分の子供だと疑いもせ
ず一生懸命働き、自分を犠牲にしてまで一生懸命愛情を注ぐ。智子はそれを平気で見ていられる
のか?俺にはとても出来ない。それに血とは不思議なもので、血の繋がりが無いといつかギクシ
ャクしてくるものだ。まさか自分の子供では無いなんて気付かないかも知れないが、お互いにど
こかしっくりと来なくなる時が来る。理香ちゃんも最初は戸惑うだろうが、いつか私の事を分か
ってくれる様になる。それが血の繋がりだ。本当の親子3人で暮らそう。」
しかし、妻にはすぐに返事が出来るほど、簡単な問題では有りませんでした。
「他の生き物を見てみろ。子孫を残し、子孫を育てる事が最大の目的で、その為だけに生きてい
るものも多い。鮭もそうだ。子孫を残す為にぼろぼろに成りながら激流を登り、子孫を残すと死
んで行く。私の人生もそれでいいと思っている。ご主人に怨まれようと、妻や子供達に軽蔑され
ようと、世間に非難されようと、理香ちゃんさえ立派に育てる事が出来ればそれでいい。私の幸
せなどどうでもいい。智子はどうだ?」
その後妻は一言も話さずに帰っていったそうですが、何も話さず、何も反論せずに帰った事で、
妻を自分のものに出来ると確信したそうです。
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