[3573] インプリンティング 46 投稿者:迷人 投稿日:2005/09/11(Sun) 19:10
稲垣に対する奥さんの質問を聞いていた時は、奥さんの前では妻の方を愛しているとは言えるは
ずは無いので、そんな質問は愚問だと思っていても、いざ自分の事に成ると気に成り、やはり同
じ事を聞いてしまうのです。
「ずっと稲垣が好きだったと言う事か?俺よりも稲垣を愛していたのか?」
「いいえ、あなたを愛していました。私はあなたを1番愛していました。」
やはり愚問でした。
私に面と向かっては、私よりも稲垣方を愛しているとは言えない事は分かっています。
仮に妻の言った事が本当だとしても『1番愛していた』では当然納得など出来ません。
1番という事は2番が有るのです。
『あなただけを愛している』でないと、私の心は満足しませんでした。
このままでは、今まで妻に愛情を注ぎ、妻も私だけを愛してくれていると信じて来た人生が、稲
垣の奥さんが言っていた様に、全て無駄に思えてしまいます。
その時はそうでも、今は私だけを愛していると言う言葉を聞きたくて、止めておけば良いのに、
質問を続けてしまいます。
「その時はそうだったのかも知れないが、今回はどうだ?今回は理香の事で騙されていたのだ
ろ?その事で俺と別れて奴と一緒になろうと思ったのだろ?それとも、奴を愛していたのか?」
「理香があなたの子供では無いと言われた時はショックでした。理香の寝顔を見ながら考えてい
て、私は何を悩んでいるのだろうと思いました。普通ならあなたに許しを請い、許してもらえな
ければあなたと離婚して、私一人で理香を育てて行く事になると思います。選択は二つに一つし
か無いと思います。しかし私は彼との再婚も考えている。彼の事が好きでなければ、この様な事
を悩む事自体無いと思いました。悩むという事は、多少でも彼に対しての愛が有るのだと思いま
した。勿論理香があなたとの子供だと分かっていれば、離婚など考えもしませんでした。彼より
もあたへの愛情の方が遥かに大きかった。でも、理香の事考えると、彼の言う通りにした方が良
いと思ってしまいました。」
この話だけでも、可也ショックだったのですが、次の話で私は奈落の底に、突き落とされてしま
います。
「昨日からもう一人の私と話しをしていて、今回も自分を正当化する為に、自分自身に嘘をつい
ていただけで、本当は彼の事が未だに吹っ切れていなかったのだと思い知らされました。私は違
う世界に行ってしまった様な状態でしたが、最初は彼に裏切られたショックからだと自分を甘や
かせていました。しかしそうでは無くて、自分に嘘をつきながら自分を庇っていただけで、彼の
嘘は切欠に過ぎず、彼への愛情から、あなたを裏切っていた事が分かり、その事がショックで現
実の世界に戻れなかった。いいえ、戻ろうとしなかったのだと分かりました。その証拠に、理香
があなたの子供では無いと、彼に言われる前からあなたを裏切っていました。これは彼への恩返
だと自分を偽りながら、あなたを裏切っていました。」
何でも正直に、洗い浚い話そうとしている妻には、それがどの様な事かなど、怖くてとても訊け
ません。
私は、この事については軽く流したくて。
「ああ。稲垣から聞いて知っている。食事を作りに行ったり、掃除洗濯をしに行っていた事だ
ろ?キスまではしていた事だろ?その事はもういい。」
「えっ?彼とキスはしていません。彼と関係をもってからは有りましたが、それまでは要求され
ても断わりました。」
「それなら稲垣が嘘をついていたと言う事か?そう言えばキスとは言わずに、キスの様な事と言
っていたが、キスの様な事とはキスとは違うのか?」
「キスの様な事?あっ・・・・・・・・・・それを今から話そうと・・・・思っていました。」
これ以上まだ何か有るのかと思うと、もう聞きたくないと思いましたが、妻は私に全て正直に話
そうとしていました。
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