[3581] インプリンティング 51 投稿者:迷人 投稿日:2005/09/13(Tue) 20:25
電話の後、私は稲垣の強気の訳を知りたくて、奥さんの携帯に電話をすると、稲垣夫婦の離婚が
決まった事を知りました。
奥さんは怒りから、親戚や子供達にも話し、銀行へも話しに行ったそうです。
その結果出た処分が得意先への出向で、それも、小さな会社ですが常務として迎えられるそうで
す。
世の中などこの様なもので、悪い事をすればいつか地獄に落ちるなどと言うのは嘘で、悪い人間
ほど上手く立ち回って行くのです。
向かい入れる会社も、稲垣の銀行とパイプを太くしたいのが見え見えで、全て承知で向かい入れ
るらしく、この事で稲垣を脅すのは無理になりました。
妻も銀行を辞めさせたので、稲垣との接点は無くなりましたが、何も怖い物が無くなり、自由に
なった稲垣には恐怖すら覚えます。
妻には事有るごとに散々嫌味を言って虐め、泣かせて来たのですが、思う様にならない稲垣への
怒りも妻に向かい、今までしなかった性的な虐めをしようとしていたのですが、裸になる様に命
じ、周囲に短い毛が生え出した逆三角形の陰毛を見ていると、稲垣を思い出し、嫌悪感を覚えて
しまい触れる気にも成れません。
「なんだ?その陰毛は。久し振りに淫乱な身体を触ってみようと思ったが、汚くてとても触る気
にはならない。でも、折角裸になったのだから、俺をその気にさせる様に、後ろを向いて尻を振
って誘ってみろ。」
妻は逆らわなくなっていて素直に従いましたが、私はその事が面白く有りません。
逆らえば離婚だと言っておきながら、妻が嫌がり、泣きながら私に許しを請う姿が見たいのです。
「いくら俺に言われたにしても、よくもその様な真似が平気で出来るものだ。そこまでして、こ
の家にしがみ付きたいのか?」
妻はそれでも反論せずに、唇を噛んで涙を堪えていました。
私が稲垣と会ったのは、それから3日後の事です。
私にはある考えが有り、弁護士に指定された喫茶店を断り、弁護士事務所で会う事にしたのです
が、これは相手の懐に飛び込み、相手を油断させる為でした。
「慰謝料300万で示談に応じます。ただ一言謝って頂きたい。それで全て水に流すつもりで来
ました。」
すると稲垣は。
「大変なご迷惑と苦痛を与えてしまいました。どうか許して下さい。」
「先日、先生の話を聞いてから後で考えていて『裁判なんかして長引かせずに、早く決着を着け
て忘れ、新しいスタートを切った方がお互い幸せになれるぞ』と言ってもらっていると感じまし
た。私も早くこの事を忘れたいので、これで終わりにしましょう。」
私が握手を求めると、稲垣は恐る恐る手を出しました。
その様子を弁護士は微笑んで見ていましたが、その微笑の中には、自分が説得をして私の考えを
ここまで変えさせたという、稲垣に対する自慢も有った事でしょう。
当然私は、憎い稲垣と握手をする気など無いのですが、目的の為には仕方が有りません。
「判を押す前に、今後妻と二度と連絡を取らない事と、二度と会わない事を書き足して頂けませ
んか?」
「その事は交渉する前に、稲垣さんに確認して有ります。稲垣さん、宜しいですね?」
稲垣は一瞬返事を躊躇いましたが、弁護士の再度の確認に頷きました。
「それと、この約束を破った時の罰則もお願いします。そうでないと、その様な約束は無いに等
しくなってしまいます。私は安心して暮らしたいだけなのです。本当は気が弱いので、何か無い
と不安なのです。」
どの様な罰則規定を盛り込むか聞かれ、約束に違反した時には、5千万を支払うと書き入れて欲
しいと言ったところ。
「それはいくら何でも無茶です。もう少し現実的な額で無いと。」
「そうですか?それはまた連絡を取り合う事も有ると言うことですか?それなら示談にするの
は考えます。追加で書き込んでもらった事も、何の意味もなくなる。もう妻と会わないのなら、
5千万でも1億でも良いと思うのですが?最初から破るつもりの約束なら意味が無い。私は先生
の和解案に従いたかったのですが残念です。裁判所でお会いしましょう。」
私が立ち上がると、弁護士が再度金額を下げる様に提案してきました。
私は稲垣の困る額が良かったのですが、あまり拘っても変に思われるので、結局1千万という事
になりました。
この額ではあまり困らないとも思いましたが、最初からお金が欲しいわけでは無くて、稲垣を出
し抜く事が出来れば、私の心も少しは癒されるのです。
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