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北原夏美 四十路 初裏無修正

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男とは? 6/27(金) 12:06:36 No.20080627120636 削除
今からでは、予約してあるレストランにはもう間に合いません。断りを
入れます。

結局、妻が帰ってきたのは7時半頃です。手にはバッグと花苗のポットを
持っています。抜けるように白い肌、その顔から首筋にかけてほんのりと
ピンクに染まっているようです。普段なら、妻のこんな小さな変化には
気がつかないでしょう。今は妻のどんな変化も見逃さまいとしているのです。

「遅くなって済みません、携帯を探していたものですから」
「そうか、レストランは断った」
「そうですか、私今から何か作ります」
「もういい、あり合わせのもので食べるから」
「解りました」

台所に向う妻が私の横をすりぬけた時に僅かに石鹸の香りがしたような気
がしました。バッグは台所に持って行きましたが、花苗のポットはリビング
の隅に置いてあります。今までなら、私はポットのラベルなんか見もしません。
そのラベルを見ますと、○○花店と書いてあります。ショッピングセンター
の中にある花屋で、良いものを揃えているのですが、割高な店です。妻は普段
から「安い苗を買って綺麗な花を咲かせるのが楽しいの」と言っています。
ここで買うには何か理由がある筈です。

妻が簡単に食事の用意をします。

「植物公園はどうだった?」
「特にこれと言うものな無かったわ、お食事して、お花を見て散歩して、
プリムラの苗を二つ買って、それだけ」

家から植物公園まで片道40分位でしょうか、往復で1時間20分、妻は8時間
も公園に居たことになります。

「それにしては時間がかかったな」
「美知子さんと芝生の上でお話をしていたの、それから携帯を落とした事に
気が付いて随分探したわ」
「そうか、女の長話と言うが随分と話込んだものだな、プリムラって
あれか」

私はリビングの隅にある二つのポットを指差します。

「え、そ、そうよ」

「外に出してきます」

妻は慌ててポットを手に取り外に運び出しました。妻は明らかに嘘をついて
います。でも何故そんな嘘をつく必要があるのか。

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