男とは? 7/29(火) 11:15:38 No.20080729111538 削除
「あの圭介が。文書を偽造して、脅迫紛いの事までして。
何と言う事をしたんだ」
暫くの沈黙の後、社長は正座して頭を床に擦り付けるように土下座をします。
「北上さん、この通りだ。許してくれ」
「社長、貴方に謝って頂こうとは思っていない。
頭を上げて下さい」
「私の気が済まない、私で良ければ存分に殴ってくれ」
「いや、それは出来ない」
「圭介の処遇は私に任せてもらえないか、あんな偽文書まで
作っている。社長としての管理責任もある。社長として会社と
して責任持って対処する。それに慰謝料の方も考えさせてくれないか。
申し訳ない、慰謝料などと言う言葉を使って」
「彼の処遇はお任せします。しかし慰謝料は私と彼の問題だ。
私の方で話をつけます」
「解った。圭介を呼ぼう」
社長が内線で津岡を呼び出します。津岡は私が訪問している事を未だ知りません。
応接室に入った津岡は私を見て呆然と立ち尽くしています。その第一声は、
「北上さん、あんたは個人的な問題を会社に持ち込むのか」
「津岡、何を言っているのだ。嘘ででっち上げた会社の事を
出したのはお前の方だろう。あの書類がなければこんな事はしない」
私がそう言うが早いか、津岡社長は
「馬鹿、お前は何を言っているのか解っているのか。
先ずはお詫びするのが、当り前だろう」
と津岡の頬を思い切り叩きます。
「見下げ果てたヤツだ、お前は。そんな男じゃないと思っていたぞ」
津岡は渋々、頭を下げ一言、申し訳ないと言いました。
「それがお前の謝り方か。済まない、北上さん、この通りだ」
津岡社長は再度、土下座をして詫びてくれます。
「社長、もう結構です。彼は席を外させてください」
津岡は部屋を出ざまに言うのです。
「由里子は初めはいやいやだった、しかし最後はいつも尻を振って
善がっていたぞ」
「この野郎、人の女房を呼び捨てにしやがって。
それがここで言う言葉か」
さすがに私も切れました。津岡の顔に腹に拳をみまいます。
その後、社長とは代理店の話をします。市場の動向、大量販売店の意向、
織り交ぜて話します。
「こう言う時期が来るとは思っていた。只、何らかの緩やかな終結を
考えて頂きたい」
「勿論です」
代理店のその後の事は社長と営業部に任せる事にします。私の本題は別に
あります。妻との事を考えなければいけません、仕事の方が楽なのです。
頭と心が痛みます。
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