ドアを開けた妻は私が早かった事に驚きましたが、次の瞬間、私が連れて来たのが佐々木だと知り、何も言えずに固まっています。
「偶然佐々木さんに会ったから、少し話したいと思って来てもらった」
「ええ・・・・・いいですよ・・・・佐々木さん・・昨日は・ご苦労様でした」
「そんな挨拶もまだだったのか?今まで一緒にいたのに」
「いえ・・・・そんな事は・・・・・・」
部屋から出て来たのを見られていると知った佐々木は、妻の言葉を遮るように、ようやく重い口を開きました。
「すみません。私も折角沖縄まで来たのだからもう1泊して行こうと思って、前から泊まってみたかったこのホテルまで来たのですが、あいにく満室だったので諦めて他に行こうとした時、偶然奥様に会いました。それで勧められるまま厚かましく部屋まで押しかけて、お茶を一杯ご馳走になっていたらご主人から電話があって・・・・・・・・。別に疚しい事は無かったのですが、変に誤解されても嫌だと思い、私も奥様も慌ててしまて・・・・・・・・」
佐々木が今まで黙っていたのは、色々な言い訳を考えていたのでしょう。
「そうか、実は俺も嘘をついていた。本当は早くに着いていて、ライトアップされたビーチが余りにきれいなので散歩していた。すると暗闇で中年のカップルがキスしていて、何とそこで良からぬ事を始めてしまい、更に何かしようとしていたので咳払いをしてやった」
妻は泣き出してしまいましたが、佐々木は少しでも罪が軽くなる言い訳を始めます。
「見られてしまったのですね。もう正直に全て話します。昨夜の慰労会で奥様と意気投合してしまい、今夜ここで一緒に泊まる予定でした。こんな事を言っても罪は軽くならないですが、本当に今夜が初めてで、まだセックスはしていません。変な言い方ですが、ご主人が来てくれたお蔭で私も目が覚め、妻を裏切る事にならなくて良かったと、今はホッとしています」
佐々木は頭の回転も速く、口も上手いと思いました。
私を裏切ったのは佐々木ではなくて妻だと分かっていても、妻もこの口に騙されて、上手く言い寄られて関係を持ったのではないかと妻を庇い、妻よりも佐々木を悪者にしようとしている私がいます。
「初めて関係を持つ女に裸同然のビキニを着せて連れ回し、暗闇だと言ってもあんな所で抱き合って指まで入れるか?それに普通初めて関係を持つ女に、徹底的に調教してやるから、俺が望んだ事はどんなに恥ずかしい事でも出来る女になれなんて言えるか?」
「それは・・・・・興奮を高める為の・・・・ただの言葉の遊びで・・・・・・・・・」
「美子もあんな姿を人目に晒して、初めて関係を持つ男なのにあんな所で黙って指まで入れさせて、腰が動くほど感じるのか?フェラしますと言って、跪いてパンツを下げようとするか?2人共この部屋に戻ってからの事を、凄く楽しみにしていたようだから邪魔者は消える。佐々木、俺は帰るから精々明後日までこの淫乱女と楽しめ。その代わり帰ったら、楽しんだ事を忘れるほどの地獄が待っているぞ。帰った翌日に家まで来い。女房を連れて来るのを忘れるな」
「待ってー・・・・行かないで~」
私は振り向きもしないで部屋を出ると携帯の電源を切り、那覇に戻ってホテルに部屋をとりましたが、勢いであのまま2人を残して来た事を後悔していました。
あの後2人は開き直り、本当に楽しんでいるかも知れません。
障害があるほど2人は燃え上がり、今頃激しいセックスをしているかも知れません。
脳裏にネットで見た縛られた妻の姿が次々に浮かび、妻の喘ぎ声までもが聞こえて来るようで、結局眠れたのは明け方になってしまい、チェックアウトぎりぎりの時間に、ホテルの従業員に起こされる始末です。
私は軽いブランチをとった後、気になって恩納村のホテルに戻りましたが、流石にもう1泊するのは諦めたらしく、清掃中の人に尋ねると、新しいお客さんが入ると言われました。
私はキャンセル待ちをして夕方の便で家に戻ると、既に我が家には明かりがついています。
中に入ると、キッチンで家族写真の入った写真盾を両手で握り締めて泣いていた妻は、私に気付いて慌てて床に土下座しましたが、私はそんな妻を無視して寝室に行こうとしました。
「あなた待って。話を聞いて」
「話?離婚の条件か?財産分与と慰謝料を相殺して、お前には何も渡す気はないから、着の身着のままで出て行け!もちろん子供も渡さない。嫌だと言っても今回の事を全て話すつもりだから、お前にはついて行かないだろう。それどころか軽蔑して、一生会いたくないと言い出すかも知れない。何しろ相手は友達の父親だからな。他の話は聞く気が無い。今すぐ出て行ってくれ」
強い事を言いましたが、疲れて寝室でベッドに寝転んでいても、妻の事が気になって眠れるはずがありません。
tag : 妻物語
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