WA 11/21(金) 12:53:22 No.20081121125322 削除
このまま茨城の自分のアパートに帰る気はしません。今日は主人のアパート
に泊まります、会社に電話をしてもう一日お休みを頂くことにしました。
主人がいつも使っているお布団に包まれて眠ります。
水曜日、朝出社すると、所長に呼ばれます。
「来週のバイヤーさんの見学の件だが、金曜日、常務が本社で打ち合わせを
したいそうだ、3時までに本社に行ってもらえればいい」
「はい」
会社の帰りに美容院に寄ります。髪の色は元々栗色なんです、長めの髪に、
内側に軽くカールをかけてもらいます。主人が出張に出てまだ2日目です。
いけないと思っても、この夜は久しぶりに心が浮き浮きます。明日は
常務さんに会える、どんな服を着て行こうかしら、考えながら眠るのです。
その朝、ドレッサーの前であれやこれや迷います。迷った末に選んだ服は
くすんだ緑色したちょっとタイトなスカートと真っ白なブラウスで、
常務さんに頂いたアクセサリーを着けました。2月です、皮のハーフコート
を羽織ります。
事業所でお昼ご飯を頂いて、本社へと向います。本社のある新橋の歩道
の葉を落とした公孫樹の木が寒さを誘います。本社の受付で名前を告げます。
「江村さんですね。ご活躍は伺っています」
私の名前が本社でも知られている、何となく自尊心が擽られるのです。
役員室に案内されるのも今日で二度目です。もう臆する気持もありません。
ただ常務さんにお会い出来るのが嬉しくて・・・逸る気持でドアーを
ノックしました。
「やあー、いらっしゃい」
常務さんは笑顔で迎えてくれました。
仕事の打ち合わせは営業の方を交え2時間程で終ります。常務と二人で
コーヒーを頂きます。もう外は暗くなり始めました。
「もう少し話しておきたい事がある。僕は他の打ち合わせで20分程、
会議室に行くが、待っててもらえるかな」
「はい」
暗くなった外を窓越しに眺めています。街路灯に葉を落とした公孫樹が
照らされていました。中国にいる主人はどうしているかしら、あの人の
事だから私の事など忘れて仕事に打ち込んでいる。あれから一度も電話
もしてくれません。でも真理子さんにはきっとしている。そんな事を思う
と何だか、公孫樹の木も寂しげでした。会議から戻った常務さんにも気が
つかないのです。
「どうかしたのかな」
「いえ、何でもありません」
「寂しそうな顔をしていた」
「実は・・・・」
常務さんの優しい言葉に、主人の出張の事を話します。
「そうか、君も寂しいわけだ。今日、夜は何か予定があるのかな」
「いいえ、帰ってお風呂に入って、ご飯を頂いて、眠るだけです」
「君が良ければ食事を一緒にしないか、旨いところが近くにある」
「いいのですか」
「僕は構わない、今日の予定も終った」
「ご一緒させて頂きます」
「何がいい?和でも、洋でも中華でも」
「お任せします」
常務さんは電話を掛け何処かに予約をしています。
「ラッキーだね。旨いステーキハウスが取れた。
此処はいつも満杯でね、中々予約が取れないんだ。
女神様が居てくれたお陰だね」
冗談めかして言うのです。
「○○ホテルのロビーで待っていてくれるかな。僕は
10分程後で行く」
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