弱い男 6/27(火) 06:52:29 No.20060627065229
マンションに戻った近藤は、妻がいないことに気付くとすぐに電話を掛けてきました。
「美雪さんを連れ去っただろ。今から迎えに行くから返してくれ」
夫である私に妻を返せという言葉に怒りを覚えましたが、何も言わずに電話を切ると、暫らくして血相を変えた近藤がやってきました。
「美雪さん、帰ろう」
しかし妻は、俯いたまま動きません。
「どうした?また暴力で脅されたのか?」
私は俯いて立ち尽くす妻の背中を押しました。
「行けよ。こんな男に抱かれた女と、一緒に暮らす気など無い」
「こんな男とは、どう言う意味ですか」
「嘘で固めて、何とか女をものにしようとしている男だ」
「私が嘘を吐いていると?」
「ああ、誰が妻と離婚すると言った?」
近藤は私を無視して、妻の方を見て叫びました。
「美雪さん本当だ。ご主人は嘘を吐いている。美雪さんにはもう愛情は無いから離婚してやると、私にはっきりと言ったんだ」
「美雪から騙し取った金はどうした?別れた奥さんは実家にいたし、子供も病気などしていない」
「何処で調べたかは知らないが、それが本当だとしても私は知らなかった。お金は別れた妻に送った。本当だ」
「残念だが調べさせてもらった結果、お前の浮気で離婚した事も分かったし、他にも可也の借金がある事も分かった」
妻は驚いた顔をして私を見ましたが、近藤はこの期に及んでも言い訳を繰り返していました。
「美雪さん、それは違う。母親がそんな女だと知ったら、一緒に暮らす子供達が可哀想だと思って、私が悪者になってやっているだけだ。確かに借金もあるが、それも別れた妻が作った借金を私が返済しているんだ。浮気も妻がした事で、借金も妻が」
「美雪、そういう事だそうだ。抱かれた男が、誠実な男で良かったな。早く行ってやれ。ここにいても、お前の居場所は無いぞ」
妻は激しく首を横に振って、私から離れようとはしません。
その様子を見ていた近藤は、明らかに苛立っていました。
「美雪さん、私を信じて欲しい。女性に手を上げる様な男には見切りをつけて、私と来て欲しい。必ず私が幸せにしてみせる」
「もう茶番はやめろ。お前の浮気相手だった奥さんの、住所や氏名まで分かっている。何なら、今から別れた奥さんの所に行って、みんなで話を聞くか?」
「別れた妻が、今更本当の事を話すはずがない」
「それなら、何故お前が慰謝料を払うことに決まった?話が本当なら、本来慰謝料をもらえる立場だろ」
「慰謝料など請求されていない。あれは全て養育費だ」
未だに嘘を吐く近藤を殴りたい衝動に駆られましたが、それでは私が不利になってしまうので何とか我慢して、今の彼には殴られるよりも痛い話をする事にしました。
「美雪が身体の関係を認めた。弁護士を通して、慰謝料は請求させてもらう」
「そんなのは夫婦が破綻した後だ」
「夫婦が破綻していたかどうかなんて、他人のお前が決めるな。美雪、俺達は破綻していたと思うか?」
近藤は縋る様な目で妻を見ていましたが、妻は何度も首を横に振りました。
「破綻なんてしていません。全て私が悪いの。私がこんな事をしたから責められて当然です。私が馬鹿な事をしたから叩かれて当然です」
それを聞いた近藤は妻を睨み付け、言葉使いまで変わって行きます。
「お前達夫婦は美人局か!」
「そう思うなら訴えてみろ」
「慰謝料、慰謝料と五月蝿いが、そんな物を払わなければならない様な事はしていない。俺はキスをしただけだ。ただキスをする場所が、唇ではなかったと言うだけの事だ。そうだろ?美雪」
「言わないでー」
「美雪のオマンコに、チンポなんて突っ込んでいないよな?だから俺達の行為は不貞じゃない」
「美雪、本当か?」
妻は大きく頷きました。
「でも、さっきは」
「美雪は口でした事を言っているんだ。毎晩毎晩、美味しそうに俺のチンポを、口いっぱいに頬張っていたからな」
「やめてー」
「旦那の前だからと言って、良い子振るなよ。身体が疼いて寂しいから抱いて欲しいと言うのを、正式に離婚するまで駄目だと俺が断わったら、強引に俺のパンツを脱がせて咥えて来たじゃないか」
「嘘です。私を押え付けて、もう我慢出来ないと言うから。私がそれは出来ないと断わったら、それなら他の方法でもいいから出してくれないと、このまま最後まですると言って放してくれなかったから」
「美雪は仕方なくしていたと言うのか?それなら聞くが、俺の指で何度も何度も感じていたのは誰だ?オッパイを舐めていたら、オマンコも舐めてと言って腰を持ち上げていたのは誰だ?」
「そんな事は言っていません」
「俺の指や舌で感じていたのも嘘だと言うのか?」
その事には反論出来ずに俯く妻を見て、怒りよりも寂しさで押し潰されそうでした。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)