桐 10/14(日) 14:15:59 No.20071014141559 削除
「お前だけだぞ。まだ身体にタオルを巻いているのは。素っ裸になっている女性陣に失礼じゃないのか」
「……」
有川のペースに乗せられていることを感じる隆一は苦々しい表情をしていたが、やがて腰に巻いたタオルを外す。堂々とばかりに屹立した隆一の怒張が現れ、正面にいた麻里はひっ、と小さな悲鳴を上げる。
「ほう、相変わらず見事なもんじゃないか」
有川はニヤニヤしながら隆一のその箇所を見ている。
「一緒に風呂に入るたびに、お前のそれには度肝を抜かれたもんだ。普段でも普通の奴が大きくなったくらいはあるからな」
有川はそう言うとちらと麻里の方を見る。
「麻里、どうだ、懐かしいだろう。元の亭主のチンチンは」
「あなた……いい加減にして」
「何を気取っているんだ。久しぶりにお前の裸を見てあんなに大きくなったんだ。うれしいとは思わないのか」
有川はそう言いながら麻里を引き寄せる。
「あなた、駄目っ」
「別に北山だけじゃない。奴ほどじゃないが俺のもなかなかのもんだろう」
有川はそう言うと湯の下から腰を突き出すようにする。赤黒い亀頭がまるで生き物のように表面に顔を出したので江美子はきゃっ、と悲鳴を上げる。
「有川、悪趣味だぞ」
「そんなことを言っても説得力はないな。麻里のあそこを見て堅くしやがって」
有川は声を上げて笑う。
「そう言う俺も人のことは言えん。江美子さんが素っ裸で悩ましい声を上げながら、お前の膝の上で悶えているのを見たせいで、この風呂に入る前からカチカチでな。タオルで隠すのが大変だったぜ」
江美子はあまりの羞恥にこの場から消えたくなる。しかし、湯から出ようとすると再び素っ裸を有川の目に晒さなければならない。その思いが江美子の手足を縛り付けるようにしているのだ。そして江美子をこの場に留めているもう一つの理由がある。
(隆一さんを置いて自分だけが逃げる訳にはいかない)
自分がこの場から去ると、当然隆一は着いてくるだろうが、それでは有川から逃げることになるのではないのかという思いが江美子にはするのだ。
有川が本当に隆一と和解したがっているかどうかは疑問だ。しかし、隆一が麻里とのことを気持ちの上でふっ切れていないのは事実ではないのか。この場から逃げれば、その機会は遠のいてしまう。江美子が隆一と、そして理穂と新しい家族を創るチャンスが手の中からこぼれ落ちてしまうような気がするのだ。
「麻里、来い」
「えっ」
「隆一に仲の良いところを見せつけてやるんだ」
有川は麻里を強引に抱き寄せると唇を奪う。有川のいきなりの行為に麻里は反射的に抗う。麻里の短めの黒髪がはらりと揺れ、額にかかる。
「やめて……あなた」
「何を気取っているんだ。ゆうべは俺の上に跨がってヒイヒイ泣いたくせに」
「江美子さんの前で……なんて事を」
「隆一の前は気にならないのか」
隆一は顔を強張らせながらも、その視線は有川と麻里の痴態に注がれている。そんな隆一に、江美子は胸の奥が痛むような嫉妬を知覚する。
有川は麻里の口を強く吸いながら、湯の下で乳房を荒々しくまさぐっている。江美子は、そんな傍若無人とも言える振る舞いをしている有川の目に焦燥めいた色が浮かんでいることに気づく。
(有川さんは怖がっているのではないか)
再び麻里が自分から去って隆一の元に戻るのではないかと恐れているのだ。有川がずっと麻里のことを愛していたというのは恐らく本当なんだろう。
学生時代に麻里を隆一に奪われた有川は、それが罪になると知りつつ麻里を奪い返した。しかし、麻里は隆一と離婚してからも、家庭を壊したことに対する後悔、特に娘の理穂に与えた心の傷に対する罪悪感から、有川と結婚することはなかった。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)