桐 10/16(火) 22:48:51 No.20071016224851 削除
「江美子さん、見るのよっ」
再び前を向いた江美子は、視界に飛び込んで来た恐ろしい光景に恐怖の悲鳴を上げる。輝くような白い肌の麻里をしっかり抱き締めて背後から貫いているのは有川ではなく、隆一だった。
「江美子さん、教えて上げるわ、隆一さんから愛される方法を。よく、見ているのよ」
麻里はそう言うと甘い舌足らずな喘ぎ声を上げながら、隆一の上で腰をゆるやかに蠢かせる。
「ああ……あなた……気持ち良いわ……ああ、たまらない……」
「やめてっ」
思わず耳を塞ごうとする江美子の手が背後から押さえられる。振り向くとそこにはいつのまにか素っ裸の有川がいた。
悲鳴を上げて逃れようとする江美子を有川がしっかりと羽交い締めする。
「りゅ、隆一さんっ、た、助けてっ」
江美子は有川の男根が蛇のように股間をくぐって秘奥に迫ってくるのを感じ、隆一に助けを求める。しかし隆一は江美子の声など全く聞こえない風に、麻里とつながりながら熱い接吻を交わし合っているのだ。
「隆一さんっ」
長い接吻を終えた麻里は江美子に挑戦的な視線を向ける。
「江美子さん、おとなしく有川さんに抱かれなさい」
「そ、そんなっ」
「そうすれば私達、もっともっと仲良くなれるのよ」
「い、嫌っ。嫌よっ」
激しく身悶えする江美子の裸身をしっかりと抱え込んだ有川の肉棒の先端が、ついに体内に侵入した時、江美子はつんざくような悲鳴を上げた。
布団の上に跳ね起きた江美子は枕元の時計を見る。和風の客室にふさわしくない、淡い緑色の光を放つデジタルの時計は午前五時を指している。隣の布団では隆一が軽い寝息を立てている。
(夢……)
全裸のまま眠っていた江美子は、洗面所へ行くと汗ばんだ身体をタオルで拭く。
(なぜあんな夢を)
昨夜の出来事が心の中に引っ掛かっているせいだろうか。終わったはずの隆一と麻里の関係に、私はやはり嫉妬しているのだろうか。
(でもどうして私が有川さんと)
夢の中とは言え有川にしっかりと抱きすくめられ、肉のつながりを持ちそうになった江美子は、なにか隆一に対して裏切り行為を犯したような気になった。
(シャワーを浴びようかしら、それとも……)
江美子は裸のまま部屋に戻る。先ほどは静かな寝息を立てていた隆一が、胸元まで布団をはいで苦しげに身体を捩らせていた。
「隆一さん」
江美子は隆一の枕元にしゃがみこむと、布団を直す。隆一の寝息が静かになっていく。
(隆一さんも夢を見ているのかしら)
そう江美子が思った時、寝返りを打った隆一の絞り出すような声が聞こえた。
「麻里……」
その言葉を聞いた江美子はしばらくその場に凍りついたように座り込んでいたが、やがて立ち上がり、浴衣を羽織ると浴室へと向かった。
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