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北原夏美 四十路 初裏無修正

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桐 10/28(日) 14:56:44 No.20071028145644 削除
「江美子さんが今後、理穂と付き合って行くためには役に立つと思うの」
「でも、こんな……これは麻里さんにはとても大事なものじゃ」
「私は理穂から距離を置かなければならないの。そのためにはそのノートはむしろ邪魔になるわ」

麻里の意外な言葉に江美子は胸を衝かれた思いがする。

麻里は江美子にわざと自分が昔していたヘアスタイルを勧めたりして、隆一と江美子の間にさざ波を立てたいのではなかったのか。それでは、あれはまったく麻里の悪気のない行為で、麻里は隆一と江美子がうまく行くことを望んでいたというのか。

「ノートの後ろの方に理穂が私によく聞いてくる事柄もまとめて置いたわ。それがあれば、理穂が私にと細々したことで連絡を取る必要はほとんどなくなると思う」
「麻里さんは、それでいいのですか?」
「言ったでしょう、私は隆一さんに今度こそ幸せになってもらいたいの」
「でも……」

江美子はノートに目を落とす。江美子が、麻里と理穂を引き離したいと思っていたのは事実である。しかしだからと言って麻里にとって理穂との思い出が詰まっているノートを本当に受け取っていいのか。

「心配しないで。こんな偉そうなことを言っても実はちゃんとコピーを取ってあるのよ。私も未練がましいでしょう」

麻里はにっこり笑う。

「それで、改めてノートを見返しているうちに思い出したんだけれど……」

麻里はそう前置きして、理穂が幼いころの様々なエピソードを披露する。幼稚園で男の子二人を相手に喧嘩して泣かせたこと。しかしそのうちの一人とはその後大の仲良しになって「大きくなったらお嫁さんになる」とまで言い出して隆一を慌てさせたこと。

ある年の大晦日、いつもは早く寝かせられるのに、その日は特別に遅くまで起きていいと言われたので夕方から大はしゃぎをして、かえっていつもより早く眠り込んでしまったこと。眠ったまま隆一に抱かれて初詣でに行って、初日の出とともに目が覚めてきょとんとしていたこと。

初めて寝返りを打ったとき、つかまり立ちをしたとき、回らない舌で「ママ」と呼びかけたとき──幼いころの理穂のことを楽しげに話し続ける麻里を江美子は認識を改める思いで見ている。

(こんなに理穂ちゃんに愛情を注いでいたなんて……麻里さんは誤解されやすいけど、本当は心の優しい人なんだ。やはり、隆一さんが愛した人だけあるわ)
(でも、それならなぜ隆一さんと別れたのかしら。このノートを見ても、家庭を顧みなくなるような浮気をする人とはとても思えない。隆一さんにとってどうしても許せないことがあったのか)
(それともひょっとして隆一さんの方に原因が……)

「ごめんなさい、昔話ばかりしちゃって。退屈だったでしょう」
「いえ、とんでもないです」

江美子は首を振る。

「理穂ちゃんの話が聞けて、よかったです。隆一さんはあまり話してくれませんから」
「あの人は、理穂の事になると照れくさがるから……本当は理穂のことを溺愛しているのよ」

麻里はそう言うと微笑する。

その後しばらく、江美子と麻里は理穂と隆一の話題で盛り上がった。もっとも、話す量は二人との付き合いが長い麻里の方が圧倒的に多かったが。麻里の口調には二人に対する家族としての愛情や懐かしさなどは感じられるが、隆一への未練や執着というものは窺えない。

いつの間にか江美子はカクテルのグラスを重ねていた。今回はバーテンダーが気を遣ってくれているようで、量を飲んだ割りには酔ってはいない。麻里も気分の良い酔い方をしているのか、饒舌に話しながら時折声をあげて笑ったりしている。

今なら酒の力を借りて聞けるかもしれない。江美子は思い切って、一番聞きたかったことを麻里に尋ねる。

「あの、麻里さん」
「何?」
「隆一さんと離婚した理由はいったいなんだったんですか?」

麻里の目が一瞬、暗闇の猫の目のようにキラリと光る。

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