桐 11/5(月) 21:13:59 No.20071105211359 削除
その夜、隆一はなかなか眠れないでいた。
理穂からもらったプレゼントのせいで幸福そうにしている江美子に対して、ローターのことはついに問いただすことは出来なかった。
隣りのベッドで江美子は静かに寝息を立てている。その安らかな寝顔を見ていると、それが今朝がた隆一をノーパンで挑発した女と同じ女だとはとても思えない。
(まるで江美子の中に二人の女がいるようだ)
清楚な妻であり、また理穂に対する態度で分かるように良き母としての素質を持った女。そして露出的な服装で男を翻弄し、ローターを身につけて外出する淫らな女――。
(それにしてもあのローターは)
江美子のイメージにはまったく合わない。30を過ぎるまで独身でいた女が全く肉欲がないとは隆一もさすがに思っていない。当然男性経験もあったしオナニーくらいはすることもあるだろう。ああいった「大人の玩具」も最近はネット通販などで女性も買い易くなったと聞いている。ローターの一つや二つ、持っていてもおかしくない。
しかしながら近くのスーパーにそんな大人の玩具をつけたまま買い物に出かけ、人目のある場所でひそかにオナニーに耽るということが考えられないのだ。
世の中にはそういった秘められた性癖を有する女性もいるだろう。だが、あの清楚な江美子がそんな淫らな行為に耽る女だということは隆一には信じられない。
(しかし、麻里のときも俺は同じように思っていた)
隆一が五年前の、麻里の不倫が発覚したときの苦い記憶を反芻していると、枕元に置かれた携帯電話がいきなりメールの着信を告げた。
(誰だ、こんな時間に)
隆一は不安に駆られて携帯電話を取り上げ、メールを開く。それを目にした隆一は激しい衝撃を覚える。
『表題:奥様の雄姿です』
『本文:ご無沙汰しています。さっそくですが、今日の午後、○○ストアで買い物をされている江美子の姿をお届けします。様子がおかしいと思いませんか? 実は江美子はオマンコにしっかりとローターを当てて、激しく感じながら買い物をしているのです。どうです? そういわれて見ればいかにも目が虚ろでしょう? こんな風に暇があれば江美子を調教させてもらっています。 水』
メールには確かに江美子が、見覚えのあるスーパーで買い物をしている写真が添付されている。やや内股で身を屈め、何かに耐えるように眉をしかめている様子は、敏感な箇所に当てられたローターから生じる快感をぐっと堪えているように見える。
隆一が茫然としていると、続けてもう一通のメールが届く。
『表題:江美子ついにいっちゃいました』
『本文:○○ストアの中ではなんとか恥をさらさすにすんだ江美子ですが、耐えられなくなったのか近くの公園のベンチに座ったまま、気をやってしまいました。その時の江美子の姿です。どうですか、実に気持ち良さそうじゃないですか。 水』
次のメールにもやはり江美子の写真が添付されている。公園のベンチに座ったまま股間を押さえるようにしている江美子はぐっと目を閉じ、口を半開きにさせ、あたかもたった今快楽の呻きを発したように見える。白いセーターとグレーのスカート、そしてサブリナカットの黒髪は確かに江美子のものだ。
(こんな……馬鹿な)
逆上した隆一は隣のベッドで眠っている江美子の肩に手をかけ、揺り起こす。
「江美子、起きろ、起きるんだ」
「う、うーん」
江美子はぼんやり目を開く。
「隆一さん……どうしたんですか」
「しっかり起きてこれを見ろ」
「何? こんな夜中に……明日の朝じゃいけないの?」
「ブツブツ言わないで見るんだ」
薄いピンクのネグリジェに身を包んだ江美子は、ベッドの上に半身を起こす。隆一は江美子に携帯の画面を突きつける。完全に眠りから醒めないのかぼんやりしていた江美子の表情が見る見るうちに硬くなる。
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