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北原夏美 四十路 初裏無修正

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桐 11/10(土) 00:30:42 No.20071110003042 削除
「あのタクシーを追っかけてくれ」
「お客さんの連れですか」
「いや、違うんだ。出来るだけ気づかれないように頼む」
「弱ったな。面倒なことに巻き込まれるのは御免ですよ」

ためらうドライバーに、隆一は一万円札を押し付ける。

「頼む」

ドライバーは無言で頷くと、車を発進させる。隆一を乗せたタクシーは麻里たちの車から2台ほどを間に挟んで走り出した。

車は明治通りを恵比寿へ向かう。山手線の恵比寿駅の近くで住宅街に入り、中層マンションの前で停車する。隆一は麻里たちのタクシーの停車位置を確認すると、ドライバーに追い越して次のブロックで停めるように頼む。

「このまま少し待っていてくれ」

車から降りた隆一は、麻里たちを降ろしたタクシーが走り去るのを確認してから、マンションに近づく。マンションはオートロックがかかっているため中には入れない。隆一はメールボックスのネームプレートに「中条」という名前があるのを見つける。

(麻里のマンションか……)

「中条」は麻里の旧姓である。江美子は麻里と、バーで待ち合わせをしていたと思われる二人の男と一緒に、麻里のマンションに入ったことになる。

(これがラブホテルに入ったとでもいうのならまだ話は簡単かもしれないが……)

麻里のマンションに入ったというのが微妙である。

(俺は何を考えている。ラブホテルなんかに入ったら最悪じゃないか)

隆一が知っている限りでは、麻里は多少親しくなったから問って、軽々に自分の部屋に男を招きいれるような女ではない。逆に、その麻里が部屋に入れたということが、男たちとはなんでもないということを示しているともいえるのではないか。単に場所を変えて仕事の打ち合わせをしているのかもしれない。

(……いや、そんな呑気なことを言っていられない)

一人暮らしの女の部屋に上がりこむということそのものが非常識である。何か親密な関係にあると思われても仕方がない。おまけに麻里も、そして江美子も、隆一が考えていたような貞操観念の強い女ではなくなっているのかもしれないのだ。

(いずれにしてもこれだけでは何の証拠にもならないのだ。江美子にしても、麻里にしても、男たちとなんらかの関係を持っていることの証明にはならないのだ)

麻里──。

(江美子のことはともかく、俺はさっきからどうして麻里のことを気にする。もう自分とは何の関係もなくなった女ではないのか。ひょっとして俺は、麻里がいつまでも独りでいるのは、いつかは自分の元に帰って来るからだと期待していたのか)

自分の今の妻は江美子だ。そんなことはありえない。しかし、どうして麻里のことでこんなに心が乱される。今はとりあえず江美子の身を心配すべきだろう、と隆一は思いなおす。

(ここは住宅地だ。こんなところでずっと待っていては怪しまれる。そもそも男たちはいつ出てくるのか分からない)

隆一はその場から逃げるように、停車したままのタクシーへ戻る。隆一を迎えるようにドアが開く。

「元の場所へ戻ってくれ」
「わかりました」

タクシーは明治通りを渋谷に向かう。六本木通りと青山通りが交差した場所へ戻ると隆一は車を降り、再び地下のバーへ戻る。

「いらっしゃいませ」

バーテンダーは入ってきたのが隆一であるのに気づき、会釈をする。客はそれほど多くない。さっきまで座っていたカウンターの隅の席が空いている。隆一がそこに座ると、バーテンダーがカウンターにグラスを置く。赤い液体が入ったそれは静かに湯気を上げている。

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