Retaliation 6/18(日) 04:12:01 No.20060618041201 削除
自宅に戻ったのは夕方過ぎです。周りの家は既に明かりが灯り、今晩の夕食であろう香が所々から漂ってきます。ふと我が家の窓を見ると明かりが点いていませんでした。「妻はまだなのかな?」と思いながらも玄関のドアを回すと鍵がかかっていました。そこで私は鍵を取り出し、ドアを開けました。「ただいま」薄暗い家に私の声が吸い込まれす。リビングのソファーに鞄を置き辺りを見回します。特に変わった様子もありません。テーブルの上に何か紙が置いてありました。電気を点けてなかったので、テーブルに近づき手にとって見ました。「離婚届」その緑の紙は紛れもなく離婚届けでした。しかも妻の記入欄の方には既にサインがされていました。
離婚届けの他にもう一枚紙がありました。そこには「貴方ゴメンなさい、離婚して下さい」と妻からの書き置きが残っていました。それを見た瞬間に腰が抜けたみたいに「ストン」とその場に座り込んでしまいました。「何故?何故?離婚届が?この旅行の間に何があったんだ?」そんな事を考えていると、どこからか声がしてきました。
ウゥ‥んアァ‥アァ…ダッダメ
「洋子?」その声、いえその喘ぎ声は洋子のものでした。その声がする方に歩いて行くと、寝室のドアが少し開いています。声はこの中から聞こえてきています。隙間から中を覗くと。女の背中がこちらを向き、上下に揺れていました。そう男の上に跨り必死に揺れる洋子の姿でした。その時「逝くぞ」と男の声がしました。「佐々木?」その声の主は佐々木でした。一段と洋子の動きが激しくなり、「アァッアァ」と洋子も背中が弧を描き逝ったみたいです。そのまま前に倒れこみ佐々木に抱かれる形で「ハァハァ」と肩で息をしています。そう私と理香が露天風呂で最後に抱き合った様にです。
佐々木「どう?良かったかい?」
洋子「うん」
佐々木「でもいいの、その・・・」
洋子「さっきも言ったでしょ、もう決めたの」
佐々木「そう」
そんな会話が聞こえてきました。本来ならばここで飛び込んで行くところでしょうが、私にはそんな勇気がありませんでした。がっくりとうな垂れながらリビングまで戻り、ソファーに座り込みました。
何故か携帯を手に理香に電話をかけていました。
理香「はい、もしもし」
私「あっ私だ」
理香「・・・何?」
私「いや、ちょっと話がしたくて」
理香「・・・あの、もうかけてこないで」
そう理香に言われ電話を切られました。私は呆然としました。「一体どうなってるんだ?理香は?私だけが何も進めずに留まっているのか?」そんな情けない事を考えていると、また何処からか声がしてきました。「・・・ん、○さん・・・○○さん・・・○○さんっ」
ふっと周りが暗くなり、ゆっくりと目を開けると理香が私の顔を覗き込んでいました。「はっ」と目を開け辺りを見回すと、そこは自宅ではなく理香と泊まりにきた旅館でした。
「夢か・・・」どうやら私は露天風呂から上がった後に眠っていたようです。しかしあの夢は思い込みのせい?それとも予知夢?そんな事を考えながら、理香が持ってきてくれた水を飲み干しました。理香から私が寝てる間に着信があったと言われ携帯を渡されました。そこには「佐々木」の名前が表示されていました。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)