Retaliation 6/22(木) 02:56:56 No.20060622025656 削除
理香に起こされた私は時計を見ました。せいぜい1時間程しか寝ていないと思っていたのですが、実際は2時間近くも眠っていたみたいです。携帯を開き佐々木からの着信のあった時間を見ると私が起こされる30分前と、10分前の2回着信があったようです。
理香「どうしたの?掛け直さなくてもいいの?」
そう理香に言われ「あぁ」と力のない返事をします。あの夢のせいなのか、なかなか佐々木に掛け直す事が出来ませんでした。
(何を躊躇してるんだ?自分で望んだ事だろ?)
そう自分に言い聞かし、理香には「会社からだよ」と言い、窓の外のデッキに出ました。一呼吸し佐々木に電話を掛け直しました。
佐々木「もしもし」
私「あぁゴメン、ちょっと眠っていたんだ」
佐々木「そうか、起こして悪かったな」
私「いや、いいんだ、それよりもどうした?洋子の事か?」
佐々木は数秒程黙り込み、喋りだしました。私はこの無言の数秒間に、「洋子は佐々木と会うのを断ったんだろうか?」と考えていました。しかし佐々木の口から出た言葉は違っていました。
佐々木「あぁ洋子ちゃんの事だよ」
私「で、誘い出せたのか?」
佐々木「あぁ」
佐々木のその言葉を聞いた瞬間にまたまた夢で見た事が頭をよぎりました。心のどこかで私は妻が佐々木の誘いを断ってくれると思っていました。勿論この時点で妻には何も疚しい事はありません。ただ夫の同僚に、それも仲が良い人間から誘われただけなのですから、しかし私の中では、不倫問題があった後に、いえ夫ではない男に誘われれば普通は夫に言うか断るかのどちらかだと勝手に思っていました。その小さな希望も打ち砕かれてしまい、まだ佐々木と寝ると決まったわけではないのに、すでに私の中では妻は佐々木の手に堕ちたかの様になってしまっていたのです。そこで私は恐る恐る、佐々木にどうやって妻を誘い出したのかを聞いてみました。あくまでも平然を装いながら
私「なぁ、どうやって誘い出したんだ?」
佐々木「お前には悪いかと思ったんだけど、お前の事で少し話したい事があるって言ってな」
私「そうか、で洋子はどんな感じだった?」
佐々木「ちょっと考えるように少し黙ってからわかった、と一言だけ言ったよ」
私「で、落せる自信はあるのか?」
佐々木「う~ん、それは会ってみないとな、でも本当に・・・」
私「あぁ、もう決めた事だ。俺の事は気にしないでくれ」
佐々木「そうだったな。スマン、俺も最善を尽くすよ」
私「頼む」
佐々木「報告はどうする?すぐにした方がいいか?それとも・・・」
私「報告は後日、仕事が終わった後にして欲しい」
佐々木「あぁ、わかったよ、それじゃ行ってくる」
私「あぁ」
佐々木との電話を終え、私はまた変な希望を勝手に持とうとしていました。器の小さい男です。
(洋子が佐々木と会うのは、私が関係している話があるからだ、けして佐々木に会いたいからじゃない)
こんな事を考えるという事は私は妻の事をまだ愛しているのか?それとも嫉妬?と自問自答を繰り返していました。
「風邪を引くよ」と携帯を握り締め外に一人突っ立っている私に理香がそう言い、私は部屋に戻りました。
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