Retaliation 7/3(月) 00:47:42 No.20060703004742 削除
もう一度時計を見て時間を確認すると、私は立ち上がり砂が落ちきった砂時計を回転させました。またもや時間が過ぎるのを待っていると、私はある出来事を思い出していました。
それは2年前、私は大学の同窓会に出席していました。そこでは社会に出てから疎遠になってしまった友人達と久し振りに再会する事が出来ました。そんな中で学生の時によく皆で一緒に遊んだうちの一人の、女友達に会いました。彼女を含むメンバーとは卒業後も定期的に会っていました。彼女の方が先に結婚し、その後すぐに私も結婚しましたがそれでもいつものメンバーで会う時はお互いに参加していました。しかし彼女に子供が生まれてからは徐々に疎遠になってしまいました。彼女の話しは面白くいつも私達を楽しませてくれました。彼女とは異性というよりも同性に近い間でした。同窓会に出席した目的の一つは彼女と会い、思い出話や近況を語り合いたいと思っていたからです。
彼女を探しながらも、旧友達と会うたびに思い出話や近況を話していたので、中々彼女を見つける事は出来ません、そんな中でふと会場の端を見ると、数人の女性が飲み物を片手に談笑していました。その中に私が探していた彼女もいました。少し痩せたようにも見えましたが、相変わらず笑顔が似合う女性でした。その女性達に近づくと私と気付いた彼女が、少し驚いた表情をしながらも、女性達の輪を抜けこちらに近づいてきました。彼女と会うのは数年ぶりでしたが、お互いの近況などを話すと、すぐに思いで話になりました。昔と変わらず彼女の話は面白く、まるで学生の頃に戻った様な感覚になっていました。
私と彼女が話してるのに気付いた、いつものメンバーが一人、また一人と増えていき、いつの間にか定期的に会っていたメンバーが全員揃っていました。そうなると話はこの後、2次会の話題になっています。久しぶりに全員が揃ったという事で勿論全員が2次会に行く事になりました。ふと彼女の方を見ると顔は笑っているのですが、いつもの様なキラキラとした目ではなく、少し悲しげな目をしていました。友人達と少し離れたところで彼女に思い切って「どうしたの?楽しくない?」と聞くと、彼女は「うぅん、大丈夫よ」と答えました。しかし初めて見る彼女のそんな態度にもう一度「本当に大丈夫?何かあったのなら話を聞くよ」と言うと、少し悩んだ後に彼女は「じゃ少しだけ、聞いてくれる」と言いました。私と彼女はそれぞれ別の理由で2次会には少し遅れて行くと伝え、同窓会が行われたホテルにあるBarへ行きました。
Barに着くとそれぞれ軽めの酒を頼み、カウンター席に座りました。注文した酒を少し飲み「どうしたの?」と私から切り出しました。彼女は少し俯いた後、顔を上げ話し始めました。彼女の話はこうです。夫の行動がおかしく変だと思った彼女が調べると、夫が浮気していた。そして彼女に問い詰められた夫は事実を認め謝罪をしたが、彼女はそれから夫を信じる事が出来ず、不安で苦しんでいたみたいです。今日の同窓会も少しでも気分転換になればと思い参加したみたいでした。この話を聞き彼女が少し痩せた事も納得が出来ました。この時の私にはまだ浮気をサレた人間の気持ちが判りませんでした。彼女が少し苦笑しながら「でもズルイのよ、こっちが『離婚しましょう』って言っても謝るばかりで、離婚は嫌だって言うの、なら最初から浮気なんかしなきゃいいのに」そう言った時の悲しげな表情が印象に残っています。この後私達は先に2次会に行ったメンバーと合流し、思い出話で盛り上がりました。その時の彼女は以前と変わらない、話が面白いままの彼女でした。しかし今から思えば、それは少しでも辛さを紛らわし、他の人間に悟られないための強がりだったのでしょう。
砂時計に目をやると、砂が完全に落ちきっています。サウナから出て、シャワーで汗を流し風呂から出ました。脱衣所の時計を見ると既に21時になろうとしていました。
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