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北原夏美 四十路 初裏無修正

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Retaliation 7/29(土) 03:08:09 No.20060729030809 削除
夕方、玄関の前に立っていました。

夢の中で見た状況と同じです。しかし今の私は躊躇なくこの扉を開ける事が出来るでしょう。たとえ鍵が閉まっていようが、そしてその奥の寝室で、妻と佐々木が交わっていようが、そんな馬鹿な事を考えながら扉に手をかけました。しかし扉には鍵はかかっていません、少し拍子抜けしてしまいました。

「ただいま」

そう言うとすぐに妻が現れました。

「おかえりなさい」

妻の表情は少し暗く、あまり寝ていない様に感じました。
「昨日は佐々木と・・・」そんな事を考えながらリビングに向かいソファーに腰掛けました。

私「何か変わった事はあったか?」
妻「いえ、何もありません」
私「そうか」
妻「食事はどうしますか?それとも先にお風呂に?」
私「あぁじゃ風呂に入ろうかな」

そう言って風呂に向かいました。露天風呂も良いですが、使い慣れた我が家の風呂もまた良いものです。風呂から上がりテーブルの席に着くと既に料理が並んでいました。その日の料理は私の好物ばかりです。食事中の会話に旅行の話は出てきません、勿論妻が聞いて来る事もなく、私から話し出す事もありませんでした。旅行前の私なら平気で話し出していたでしょう。食事を食べ終わると、妻が風呂に入り私の向かいのソファーに腰掛けました。

会話はするものの妻は確実に旅行の話題は避けていました。そこで私が「旅行」と言うと妻の体はビクッとかすかに反応しました。

私「旅行だけど、何処に行くか決めた?」
妻「えっ、あぁはい」
私「そうか、で何処に?」

妻は私と理香の旅行ではなく、自分と私の旅行の話だとわかり安心したのか、行き先や日程を話してきました。その話が終わると妻はおもむろに立ち上がり、何かを取りに行き、またソファーに座りました。手に持っていたのはレンタルDVDです。

妻「あの、これ借りてきたの一緒に見ない?」
私「あぁ良いよ」

私がそう言うと妻はデッキにDVDをセットし明かりを消しました。驚いたことに私の隣に座ります。見始めると少しずつ妻が私に近寄ってきたのがわかりました。私が気付かない振りをしていると、とうとう私の真横まで近づき頭を肩に乗せてきました。妻なりに私に甘えているのでしょう。そっと右手を伸ばし、妻の肩に手を乗せギュッとこちらへ寄せました。妻の不倫発覚以来こんなに落ち着いて妻と一緒にいたのは初めてかもしれません。まるで不倫が発覚する以前の夫婦に戻ったみたいです。「あぁこんな幸せもいいな」と思いながら妻と理香が私にもたらす幸福の違いを考えていました。そんな事を考えているとDVDが終わったみたいです。しかし動こうとしない妻の顔を見ると、「スゥスゥ」と寝息をたて寝ているようでした。佐々木が眠らせてくれなかったのか、はたまた私と理香の旅行の事を思うと昨夜は一睡も出来なかったのか、そんな事が頭によぎりましたが、正直どうでもよかったです。そっと妻を抱きかかえ寝室に連れて行くとベッドに寝かせました。妻の寝顔はとても幸せそうです。

翌朝、私が起きると既に隣に妻の姿はありません。リビングに向かうと、妻が朝食の準備をしていました。

私「おはよう」
妻「おはよう、私昨日は途中で寝ちゃったみたいね」
私「あぁ気持ち良さそうにね」
妻「ベッドまで運んでくれてありがとう」

そんな会話を交わし席に着き朝食を済ませました。その日は休みだったので、もう一度妻が借りてきたDVDを2人で見た後、ショッピングに出掛け外食をし家に戻りました。久しぶりに夫婦水入らずで過ごし幸せな一日でした。

そして次の日、仕事を終えいよいよ佐々木と会う時間になりました。

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