樹氷 投稿日:2008/01/10 (木) 12:13
西島氏は続けた。
「今しっかり向き合って行かんと溝が、どんどん深くなるだけや、キチッと手当てせんと修復不能になってまう。夫婦なんてシーソーみたいなもんや。上手にバランスを取り合って均衡を保つんや。アンタの奥さんは、自身の望んだ形では無いにせよ、アンタに全てを見せたんや。アンタも奥さんにアンタの願望、欲望を包み隠さずに、全てぶつけるべきやないのかい?手遅れになる前にや…」
私は返す言葉も無く、ただ、うなだれるだけだった。
西島氏は、うなだれる私の姿に対して、力強く背中を叩き「大丈夫や、きっとアンタの思う、願う通りになるて!しっかりしぃや。そうや、他にもエエもんあるわ…アンタにやるさかい、嫁はんの脚のサイズは、なんぼや?」
「えっ、確か24センチですわ」
「そりゃちょうどエエわ、車から取って来るさかい、ちょっと待っといてや!」と、駐車場に停めた車へ何かを取りに行った。
私は、勢い良く事務所を飛び出して行く西島氏の背中を見ながら、山田君に「凄い人やな…グイグイ引っ張っていかれるわ」
山田君は「悪い人やないで…お前から、事の顛末を電話で聞いて、ワシも片棒を担いだ訳やから責任感じてもうて、西島はんに相談してしもうたんや、したら、お前の来る時に来てくれる言うてな。蛇の道は何とやらや…そうやろ?」
「そりゃそうやろけど…何や圧倒されるわ」
[ドタドタ]と大きな足音とともに西島氏が縦長の袋を片手に戻って来た。「これもやるわ」と、縦長の袋から黒光りしたラバーとPVC素材のロングブーツを取り出した。恐らく太ももぐらいまで長さがあるだろう。
踵の高さも10センチ近くはありそうだ。
「アンタのとこのボンデージに合う筈や、見た目もエエで。それとな…」西島氏は、スーツの右ポケットから何やら小さな小瓶を取り出した。
「これはナ…南米のジャンルに生える木の樹液を精製した物でな、インディオに長く伝わる媚薬や。これを、ひと塗りするとムズムズして来る訳や…まぁ効くか効かんかは神のみぞ知るや!信じる者は救われるて言うやろ。ボンデージのクリトリス当たる部分とディルドの付け根部分に、ベッタリ塗っとき。無臭やし、色らしい色も無いから分からん筈や。じゃあワシ時間無いんで行くけど、アンタ頑張り」と、慌ただしく帰って行った。
山田君はブーツを眺めながら、「確かに、あのボンデージにぴったり似合いそうやな…格好エエわ、良かったやん」
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