樹氷 投稿日:2008/01/10 (木) 18:23
私は再び、衣装部屋と寝室にボイスレコーダーを仕掛けて、妻の不在時に私が帰宅した形跡を消して、マンションを出た。
私は会社に戻り、車を置いて、行きつけの小料理屋で苦い酒を飲んでいた。
時計の針は8時を指している。
軽く痺れるような酔いの力を借りて、私は携帯を手に取り、自宅に電話をかけたのだった。
数回の呼び出し音の後に妻が出た。
私は、[飲んでいる旨を伝え、夕飯も必要ない事を告げた]
そして、「今日は、スポーツクラブどうやった?楽しかったかい?」
「うん…楽しかったで、パパがプレゼントしてくれたスイムウェア、メッチャ評判エエしな。みんな欲しがってるんやで、山田さんのとこ… 」
ここで、あの夜を、ボンデージを、思い出したのか、黙ってしまった。
受話器越しに、気まずい沈黙が流れた…
私は、酔いの力を借りて意を決して言った。
「クロゼット開けて見てや…ワシ、2時間ぐらいで帰るよってな…」
「えっ?何?クロゼットって何なん?」
「見れば分かるわぁ…」
私は電話を切った。
心臓が、押しつぶされそうだ。
背中に流れる汗がベタついている。
[賽は投げられたのだ…
もう後戻りは出来ない…何が起ころうとも…]
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)