投稿者:異邦人 投稿日:2004/09/17(Fri) 14:51
その後の私は、仕事も極力速めに切り上げるようにした。
かといって家に早く帰るわけでもなく、探偵続きをしていたのです。
毎日はできませんが、できる限り妻の会社の出入り口を見張り、妻の退社後の行動を掴もうと躍起でした。
この頃になると、喫煙の有無は問題ではなくなっていました。
妻がもしや浮気をしているのではないか、私の気持ちは一気に飛躍していました。
だかそれが現実のものとなって自分に押し迫ってくるのに、さほどの時間はかかりませんでした。
長男が生まれた頃から、私は妻に対して新婚当時ほどの興味を示さなかったのは事実でしょう。
それは妻のほうにも言えることだと思います。
ですが、あのタバコの一件以来、私は妻の言動の細部に渡って、観察集中するようになっていました。
今まで何気なく聞き流していた、言葉が気になってしょうがありませんでした。
妻の行動が気になり始めて、1月程経った頃でしょうか。
それは突然やってきました。
「あなた、今度の日曜休めない?」
「家の仕事か?」
「ん~ん、私日帰りの添乗の仕事入ったから子供見ていてほしいの。無理かな?」
「何とかしてみる。」
私はとっさに承諾に近い返事をしていました。
私の仕事は、日曜がかきいれどきのような仕事ですが。
月に1度位は、土日の休みがシフトで回ってきます。
妻の日帰り添乗という日は、後輩にシフトを交代してもらい、休みを取ることが出来た。
そこで私は考え行動に出ました。
家に帰った私は、妻に予定の日休めない旨を伝えました。
「昨日の話だけど、日曜はやっぱり無理だ、ごめん。」
「そう、お母さんに頼んでみる。」
「すまないな。ところでどこに行くんだ。」
「山形の方よ!」
「誰と、何時から?」
いつもはしない私の質問に、妻は少し怪訝そうに答えました。
「取引先の役員さん達と、社員旅行の下見。」
これ以上の質問を回避するかのように、妻は続けた。
「9時頃会社を出て、夕方までには戻れると思うよ。」
私もこれ以上の質問は、墓穴を掘りかねないと判断し、気をつけて行って来る様に言うと会話を止めた。
当日の朝私はいつもの時間に家を出て、妻の会社の最寄り駅の駅の公衆トイレの影から妻の到着を待った。
この時点では、また素行調査のいきは脱していないが、8時45分頃着いた電車から妻が降りてきてからは、
ただの挙動不審の男になっていた。
日帰りの添乗とは行っても、妻は軽装で荷物も手提げのバック1つだけ。
駅から真っ直ぐ南に歩き、2目の信号を渡って左に曲がって200メートルほど行ったところに妻の会社ある。
時計を見て歩き出した妻は、会社の方向へ歩き出したが、1つ目の信号を左に曲がり、目貫通りの一本手前の道路に入ったのでした。
その道路は一方通行で、角から私が除く50メートル程無効でしょうか、一台のグレーの高級国産車がこちらを向いて止まっており、
妻はその車に乗りました、その車はおそらく数秒後には、私の居るこの交差点を通過していくだろう、
そう思ったとき、重圧に押しつぶされそうになりながら、車内の構成を瞬時に創造していました。
得意先の役員が数名、それに妻が同行で車の大きさから多くても5名位、まさか二人だけということは無いようにと願う自分も居ました。
考えているうちに、耳に車のエンジン音が聞こえて、その車はスピード落とし左折して行きました。
そのとき車の中には、妻が助手席に一人、後部座席には誰も居らず、運転席には私の心のどこかで、そうはあってほしくない人間の顔がありのした。
そうです、やっぱり栗本です。
左折しようと減速した車の助手席では、妻が前髪で顔を隠すような仕草して俯いていました。
自分の顔を他人に見られたくないという行動に他ならない。
一瞬私は吐き気を覚えました、何故かは分かりませんが次の瞬間、冷や汗と同時に歩道の上にしゃがみ込んでいました。
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