状況を理解したのか、由香里はそれ以上の努力をすることを止めた。
「気になるんだ。」
「・・・」
「今日は、帰りましょう?」
それ以上の会話はなく、ホテルを出ると駅へ直行、最寄の駅
で由香里とポケベルの番号を交換して帰宅した。
家に着いたのは、6時頃だったでしょうか。
私が玄関に入ると、妻が迎えに出てきました。
「お帰りなさい。」
「ただいま。」
「お風呂は?、ご飯は食べますか。」
「風呂入るよ。」
「ご飯用意しておきますか。」
「頼む。」
風呂に入りながら、自問自答を始めました、妻が浮気をしたとしても、私も同じ事をしてしまった。
妻に浮気されたからという理由で、それが許されるのか。
この二日間で私は、妻と同じ立場に立ってしまった。
妻は私の不貞を知らない、また私も妻が不貞をした確証を掴んではいない。
その段階で私は、自分の立場を優位にしようという自己保身の行動を取ろうと考え始めていたのかも知れない。
夕食が済むと、私は片づけが済んだら寝室に来るように妻に告げると、2階に上がり子供部屋を覗いた後、寝室で妻の来るのを待った。
ほどなくして妻が寝室にやってきました。
これから何が起こるか分からない恐怖感に慄くかのように、少しうな垂れながら。
「何か話ですか。」
私は、自分の不貞は妻にはばれていない、妻の不貞は確実であることを自分に言い聞かせ、話を切り出した。
「お前、何か俺に隠してないか?。」
「何のことですか?。」
「何か隠していないかと聞いている、同じことは言わないぞ。」
「突然そう言われても。」
私は、出窓からガラムを手に取り、ベッドの上に放り出した。
少し顔色の変わった妻は、タバコについて喋り始めた。
「ごめんなさい、隠すつもりは無かったの、でも貴方が、タバコを吸うのを嫌うかと思って。」
「だからといって、隠れて吸わなくてもいいだろ!」
「ごめんなさい、早く言えばよかったです、タバコを吸うことは許してもらえます?」
「吸うなとは言っていないだろう。」
ちょっと口調が荒くなってきた私に対して。
「貴方が嫌なら止めます。」
少し間をおいて、妻が私に質問します。
「何時気づいたんですか?」
「前にベッドの下に灰皿を隠していたこと有るよな。」
「はい。」
その時妻は、少し安心したような顔をしたように私は思えた。
「ごめんなさい、貴方が嫌なら本当に止めますから。」
「それはそれでいい。」
これからが本題です、私の心臓は鼓動を早めて行き、言葉も上ずってきました。
「他にはないか?」
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