投稿者:異邦人 投稿日:2004/10/23(Sat) 21:36
後ろ髪を惹かれる思いで由香里のアパートを後にしました。
家に着くと、二階の寝室の灯りが点いていました。
私は浴室に直接行き、シャワーを浴びてから二階に上がりました。
子供部屋を覗くと、二人の子供はすやすや寝息を立てながら眠っていす。
子供達の顔を見た時、私の気持ちの中に言い様の無い罪悪感が襲い、心の中で謝罪しながら子供部屋のドアを閉めました。
寝室に入ると、タバコの匂いがしました。
ガラムの匂いです、もう火は消されていましたが、ついさっきまで吸っていたのでしょう、
部屋には独特の匂いが充満していました。
妻の顔を見ると、酒を飲んだようで赤ら顔で目が据わっています。
無言の私に妻が話しかけます。
妻「お帰りなさい、
遅かったですね。」
私「あぁ。」
妻「お姉ちゃんが、パパはって言うから、仕事と言っておきました。」
私「そうか。」
妻「それと、私達が離婚するのか聞かれました。」
私「何て言った。」
妻「心配ないと言っておきました。」
私「そうか、それでお姉ちゃんは何て言ってた。」
妻「何も言ってませんが、安心したようです。」
私「大分飲んでるのか。」
妻「・・・はい。」
妻は、そう言うと大粒の涙を流しながら俯いていました。
私「何を泣いている。」
妻「・・・私・・・」
私「何だ。」
妻「私、貴方に離婚されたら、
あの子達に何て言ったらいいか。」
私「それは、あんな事をする前に、考えるべきことだろう。
今更言う事では無いだろう」
妻「貴方お願いです、離婚だけは許して下さい。
あの子達の父親でいて下さい。」
私「まだ、離婚するかどうかは決めていない、
俺だってあの子達は可愛い。」
妻「じゃ、このままでいて下さい。」
私「それは解らない、
俺達は、前のような夫婦には戻れない。」
妻「私の事は、前のようには思って貰えないのは解ります、
あの子達の為にこまま・・・」
私「そこまで言うのなら、何であの時思いとどまらなかった。
自分の肉欲の為に家族を顧みないで、都合の良い事を言うな。」
妻「本当に、御免なさい。
二度としませんから、お願いします。
貴方が何をしようと、文句は言いません。
だから、お願いします。
このまま、あの子達のパパでいて下さい。」
妻は何か感じ始めていたのでしょう、私がこの家を出て行くことに以上に神経を過敏にしている様子でした。
私は妻の涙を見ながら、由香里の涙との違いを考えていました。
由香里の涙は、高まっていく思い中で私を独占したいと言う想いから来るものだとすれば、
妻の涙は何なのか、子供に対する反省の念、それ以外は妻の保身としか私には思えませんでした。
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