投稿者:異邦人 投稿日:2004/10/24(Sun) 13:50
相変わらず私の帰宅時間は深夜が多く、家に居るのは寝るときだけ。
そんな生活が続き、妻は完全にアルコール依存症に成ってしまったようです。
私が帰ると、妻の体から発せられる独特のアルコールの匂いとタバコの匂いとが相まってむせかえる様な空気が、寝室中に充満している事もしばしばでした。
そんなある日、由香里のアパートから自宅に戻り何時ものようにシャワーを浴びて寝室に入ると、
部屋の様子が違いました、ベッドの位置は変わっていませんが、備品の位置やカーテンまで変えてありました。
アルコールの匂いもタバコの匂いもしません。
妻「お帰りなさい。」
私「あぁ。」
妻「カーテン古いから取り替えました。」
私「あっそ。」
妻「気に入らなかったら、前に戻します。」
私「どうでも良いよ。」
私の反応の無さに、妻は落胆の色を隠せませんでした。
今の私にしてみれば、この部屋は寝るだけの場所に過ぎなくなっていました。
妻「貴方・・・」
私「何だ。」
妻「1つ聞きたいことがあります、
怒らないで聞いてください。」
私「だから何だ。」
妻「貴方・・・付き合っている人が居るんじゃ・・・」
そう質問それたとき、不思議と冷静な私が居ました。
いや早く妻に気付いて貰いたかったのかもしれません。
かと言って、事後の対策が有った訳でもないのですが。
私「だとしたら。」
妻「・・・」
私「居たとしたら何だというんだ。」
妻「居るんですね。」
私「あぁ。」
妻「何時から出すか。」
私「何時からって、何故だ。
それを聞いてどうする。」
妻「別にどうと言う訳では・・・」
私「もしかして、俺が前からお前を裏切って、
浮気でもしていたと思ったのか。」
妻「そんなことは言ってませんよ。」
私「残念だか、私が彼女と付き合い始めたのは、
お前の不貞に気付いてからだよ。」
妻「そうですか・・・」
私「帳消しにでもなると思ったか。」
妻「そんなこと、思ってません。
ただ貴方が、このまま帰ってこないような・・・」
私「そう成るかも知れないな。」
妻「それだけは、勘弁してください。
お願いします。
この通りです。」
床に頭を付けて謝る妻に対して、冷たい眼差しで見つめる私が居ました、他人がそこに居れば非道な男に見えたかもしれません。
だも私は、それだけ妻に対しての私の信頼を踏み付けにされた気持ちを表さずには居られませんでした。
由香里との事を名前は出さないにしても妻に告げたのは、最近の由香里の態度がそれを望んでいるようにも思えたからです。
妻「その人の事どう思っているんですか。」
私「どうって・・・好きだよ。」
妻は這いつくばって私の足元に来ると、パジャマの裾を掴むと、首を横に振るばかりで何も声にならない様子でした。
その時の妻の心の中に去来する物は何だったのでしょう。
この状況になって、初めて自分の犯した事の重大さに気付いたかのように、
その夜妻が私のそばから離れることはありませんでした。
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