投稿者:異邦人 投稿日:2004/11/10(Wed) 01:23
貪る様に求め合った私たちが、二つに離れた頃には、外はもう暗くなっていました。
お互いの息が整った頃、話の続きをし始めました。
私「由香、話の続きは。」
由香里「あのね、告げ口するようで嫌なんだけど、
お姉ちゃんに聞いた話だからね・・・」
私「何を聞いたの。」
由香里の言葉に何か嫌な予感がしました。
なんとなく妻のことだろう事は予想がつきましたが、聞きたい気持ちとは別の感情が心の何処かに頭を擡げ始めました。
由香里「落ち着いて聞いてね。
お姉ちゃんも確証はないらしいんだけど。
麻美さんね、栗本さんだけじゃなかったみたいよ。」
私は、由香里の言葉を飲み込むのに暫しの時間を必要としました。
私「・・今何て言った。」
由香里「だからね、確証は無いらしいんだけど、
麻美さん、栗本以外にも付き合っていた人がいたらしいの。」
私「・・何で、お姉さんが知ってるの。」
由香里「その人、お姉ちゃん達の会社の人らしいから。」
私「誰だそいつ。」
私は何時しか、由香里に対する口調が荒々しくなっていました。
確証は無いにしろ、私にして見れば一度ならずも二度までもという感じで、妻に対する怒りを由香里にぶつけていました。
由香里の話を要約すれば、妻の会社に妻と同期の阿部という男性社員がいる、その男とは私も何度か面識があった。
妻が過去に一度出産と育児のため会社辞めた時期に、由香里の姉がその阿部と付き合っていた時期が有ったらしい。
妻が再雇用された時期に、何度か妻と阿部が二人きりでスキーやハイキングと称して出かけた事が有ったというのである。
その頃には、由香里の姉も阿部とは付き合いを止めていたので、とがめる事が出来ずにいたらしい。
とは言っても、過去に付き合いのあった男ですから、由香里の姉としても多少の嫉妬心からか、
忠告の意味も含めて、阿部に対して人妻と関係してはいけないと言うと、阿部は肉体関係を否定したらしいが。
由香里の姉の目には、二人の関係が同僚以上に見えて仕方なかったらしい。
その話を聞いたときの私は、茫然自失、徐々に妻に対しての怒りが頭の中を支配しました。
由香里「やっぱり、話さなければ良かったかな。
ご免ね。」
私「・・・いや、ありがとう。」
由香里「大丈夫、本当にごめんね。」
私の頭の中では、妻に対しての詰問の数々が渦巻いていました。
私は一人起き上がると身支度を始めました。
由香里「帰るの。」
私「あぁ。」
由香里「さっきの話、確証は無いんだからね。
私から聞いたなんて言わないでね。」
私「解ってるよ、大丈夫。」
由香里の部屋を出て、家に着いたのは11時近くだった。
私は何故か駆け込むように家へ入り、二階の寝室へ上がった。
ドアを開けると、妻がベッドに横たわりガラムを吸いながらこっちを見ていました。
ドア閉めバックを机の脇に置き、クローゼットの前に立った私は、さっきの話をどうやって妻に切り出そうか考えながら、
気持ちを落ち着かせる為大きく息を吸いました。
部屋の空気は、ガラムとアルコールの匂いが混じりあった独特の匂いがしました。
妻「遅かったのね。
また、彼女のところ。」
私「あぁ。
だったらどうした。」
妻「別に何も。」
私「また、栗本から教えてもらったガラム吸ってるのか。」
妻「タバコくらい良いでしょ。
別に浮気してる訳じゃないんだから。」
酒の力も手伝ってか、妻の口調も少し棘があるように思えました。
私「そうやって、ガラム吸っているのも、
まだ、栗本の事を忘れられないからじゃないのか。」
妻「あの人の事はもう関係ないわ。
そんなに言うなら止めれば良いんでしょ。」
妻の口調は段々荒くなっていきました。
私「まあいい、
お前に確認しておきたい事がある。」
妻「何を。」
私「栗本のことはもう解ったが、
それ以外に、俺に隠している事は無いか。」
妻「何のこと、タバコだってこうやって貴方の前ですってるし。」
私「そんな事を聞いてるんじゃない。」
妻「他に何も無いわよ。」
私「本当に心当たりは無いんだな。」
妻の顔が青ざめていくのが、ハッキリと解りました。
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