俺は男だ! 3/2(日) 06:29:10 No.20080302062910 削除
勤めてから暫らくは私より早く帰り、夕食の用意もちゃんとして、職場での話しも私が煩いと思う程していたのすが、1年位経った辺りからあまり話したがりなくなりました。
私が妻の職場の話を振っても、曖昧にはぐらかすのです。
それどころか、帰宅時間も遅くなる事が増えてきたのです。
私も早く帰れる方ではありませんが、それよりも遅い事がしばしばす。
当然、夕食の用意もしてありません。
子供達が不満を漏らすのも無理ないでしょう。
遅い帰宅時の妻は、私と目を合わせる事を避けるようにまず浴室に向かいます。
『何か変だな。何か有るかもな』当然、疑念が湧き起ります。
ある時、堪りかねた私は妻に問い掛けました。
「初めの約束と違うんじゃないのかな?仕事をしていれば遅くなる事もあるだろう。しかし、こう頻繁では。
子供達が文句を言うのも当り前だと思う。家事に差し支えるようなら考えてもらわないと」
私の問いに、妻は勝気な性格を垣間見せます。
「私はこれでも会社で重宝がられてるの。言っちゃなんだけど、その辺の無能な男よりは仕事が出来るのよ。
確かにこの所遅くなる事が多いけれど、子供達にはちゃんと連絡してあるわ。
貴方だって妻が会社で必要とされていのを喜んでくれてもいいじゃないの」
そう言う妻の顔は、般若の面を連想させるものなのです。
こうなると何を言っても水掛け論になってしまい、気まずい思いをするだけでしょう。
これまでに何度となく経験してきた妻の嫌な一面です。
「・・・約束は約束だ。なるべく早く帰って来いよ」
「貴方に言われなくても分かってるわよ!」
気が強いのにも程があります。何時もこの通り自分の意見を曲げません。
情けない話し、私はそんな妻と議論するのが嫌で大半の事は避けていました。
何処の夫婦もこんなものだろうと自分に言い聞かせて来てはいましたが、これからの長い夫婦生活を考えるとストレスとなっていました。
私もけっして温厚な方でなく、どちらかと言えば我侭なだだっ子だと自覚しています。
『この結婚は失敗だったかもしれない』
こんな時、心の片隅を占める正直な気持ちです。何度そんな事を考えただろうか?
子供達には申し訳ないが、自分達の考え方の違いも語り合えないで、このまま時が経てば必然的に会話のない冷たい関係になってしまうのではないだろうか?いや、もうそんな夫婦なのかもしれません。
それが子供達にとって本当の幸せなのだろうか?
しかし、私の疑念は少しだけ晴れたような気がします。幾らなんでも、妻が不倫に走っていたなら、あんな言い方は出来ないだろう。
甘いですか?甘いですよね。私もそう思います。
でもその時は、それならそれでいい。その時は私の腹は決まっている。
そうなのです。私はこの結婚を失敗だと、もう心の中では結論を出していたのです。
私には少し抜けているところがあっても、もう少し優しい女性が合っているのだと思っています。
私はある決断をしていました。子供達が高校を卒業したら、離婚も含めたこれからの話し合いを持とうと。
私のそんな考えを見透かすように、次の日は私が帰宅すると妻は既に家に居て、珍しく頭を下げてきます。
「貴方、昨日はあんな言い方して御免なさい。悪いとは思っているの。でも、私は素直に認められないのよ。
分かっているんだけど出来ないの。貴方に嫌な思いをさせてると思うわ。本当にごめんね。
それで、昨日の事なんだけど、なるべく残業はしないようにする。今日、部長に御願いしたら了解してくれたの。
でも水曜日だけは残業してくれって。貴方、週に1日だけは許して」
そんな妻の態度に面食らった私は、またしても妻のペースに乗せられてしまいます。
「週に1日くらいならしょうがないな。後の日は俺にはまだしも、子供達の事はちゃんとやってくれよ」
「分かっています。任せてちょうだい。貴方は仕事に打ち込んでね」
週に1度残業で遅くなる。それを許可した私。
もしも妻は私が疑念を抱く様な事をしているのなら、それを了解したのも同然でしょう。
間抜けな話しです。しかし、水曜日の残業と指定されたのなら、証拠を掴むのも容易になったのが事実です。
まあ、機会が来たらそうしよう。疑念がまた頭をもたげますが面倒臭いのです。
離婚と言う言葉が頭に浮かんだ時から、何事にもこんな感じで後回しにしてしまいます。
こんな私に、あの妻はどんな感情を抱いているのでしょう。
きっと、面白みのない情けない、ものぐさな男と映っている事でしょう。
でも初めからこんな男だった訳ではありません。私も言う事は言っていたのです。
しかし、その結末が私の望んでいるものとは違い、気持ちが疲れてしまったのでしょう。
こんなところを他人が見たら、きっとうだつの上がらない駄目亭主に映るのだろうなと思います。
子供達にも、もっと男らしく遣り合えばいいのにと言われるほどですもの。
でも疲れた。本当にそんな事に疲れた。
何時かそんな時が来たら俺も男だ。きちんと落し前は付けると思っていても、中々そんな時は訪れませんでした。
いや、そんな時もきっと逃げてしまうのだろうとさえ思ったものです。
妻の残業の水曜日がやって来ました。
やはり、帰宅は私よりも遅いようです。食事は娘達が用意してくれるので困りはしません。
私は帰宅後の妻の様子を細かく観察してやろうと思っています。
10時をとうに回って妻は帰宅しました。
やはり、私には視線を合わさず浴室へと向います。
「食事はすんだのか?少し話しでもしないか?帰るそうそう風呂でもないだろう」
「後にしてくれる。汗を掻いて気持ち悪いのよ。シャワーを浴びてくるから少し待ってて」
「そんなに汗を掻く季節でもないだろうに」
私は妻に疑われているんじゃないのかと思わせたかったのです。
どんな表情をするだろうか?
「そんな事言ったって、気持ち悪いんだからしょうがないでしょう。
すぐに出るわよ」
妻はその時も私と視線を合わせようとはしません。
シャワーから上がった妻に職場の事を聞くと、やはり余り話したがりません。
勤め初めと違い、今は仕事は楽しいけれど、それだけ責任も持たされて家庭では仕事の話しはしたくないそうです。
男が言うような事を言っています。それにしても、勤めて1年足らずでそんなに責任のある仕事を任されるもなのか?
会社にも色々あるでしょう。ましてや、妻の務め先はそんなに大きな会社ではありません。
自分で言うように、男以上の仕事をするならそんな事もないとは言えませんが。
でも私は疑っています。
そんな目で妻を見ているのですから、それからも言い争いは幾度かありました。
あからもう4年が経ちました。
娘達も大学に通うようになり、私が以前から心に決めていた時期が来ているのです。
妻はと言うと、娘達に手が掛からなくなったのをいい事に、週1回の残業の約束を全く守らなくなっています。
その事を切欠に、妻と互角に向かい合う覚悟を遂に決めました。
残業で遅くに帰宅した妻に私は声を掛けます。
「もう、仕事を辞めてもいいんじゃないのか?俺ももういい年だ。家に帰って自分で食事の用意をするのはきつい。
約束通りに週1回の残業で済まないなら仕事は考えてくれないか?」
「食事の用意なら、あの子達にしてもらえばいいじゃない。あの子達ももう大人なんだからそのくらいさせてよ」
「あいつらにも事情があるだろう。バイトで遅かったり、勉強も忙しい。そう毎回頼んでもいられないよ」
その時妻は言わない方がいい事を口にします。
「そんなに私が仕事をするのが嫌なら、別れてもいいのよ。子供達ももう大学に入ったし理解してくれるわ。
私は離婚してでも仕事を続けたいの」
「そうか。俺達の生活よりも仕事がそんなに大切か。分かった。考えてみるよ」
「えっ?」
妻は私がこんな反応をするとは思ってもいなかったのでしょうか?
さすがに私の目を唖然とした表情で見返しました。
私はそんな妻を無視して寝室に向かいます。
私の表情は妻とは逆で、満面の笑みが浮かんでいる事でしょう。
私から言わなければならない事を妻が口にしたのです。私は何一つ面倒な事をしなくていいのです。
もし、このまますんなり離婚となっても、慰謝料だの何だのと煩わしい事もあるでしょう。
その時は、少しでも有利な立場に越した事はありません。
妻が私が疑っているような事をしているのなら、証拠を掴む事も必要です。
その事については、1ヶ月前に興信所に頼んであります。1ヶ月分ともなれば、かなりのお金も掛かりますが、そのくらいのへそくりは持っていました。
多額の慰謝料を払わずに、まして相手の男から慰謝料を取れる事を考えると安いものでしょう。
私は翌朝、何か言いたげな妻を避け出勤しました。帰りに興信所に寄るのが楽しみです
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2012/05/09 09:40 | まとめwoネタ速neo