BJ 7/24(月) 20:55:50 No.20060724205550 削除
「ね、昨夜は凄かったわね」
近くに寄ってきた明子が囁くように言いました。私は後ろの妻と赤嶺を気にしながら、ぶっきらぼうな口調で「何が?」と答えます。
「分かってるくせに」
「・・・・・」
「奥さん、あんなに乱れることもあるのね。普段の楚々とした感じからは想像もできないくらい。凄くエロティックで魅力的だったわ」
明子はそう言いましたが、実のところ私だってあれほど感じている妻の姿を見たのは昨夜が初めてだったのです。
その日の朝、目覚めると横に妻の姿はありませんでした。しばらくして部屋へ戻ってきた妻に「どこへ行ってた?」と聞くと、
「お風呂に・・・」
短く答えるその様子はいつもの妻でしたが、やはり昨夜の乱れ方を恥じているのか目を合わせようとはしませんでした。
その後、部屋の襖を開けはらって、昨日のようにまた四人で朝飯をとったのですが、昨夜の情事を二人に見られていたかと思うと私自身、多少気まずくなるくらいでしたから、妻はなおさらのことでしたでしょう。喋るのは赤嶺と明子ばかりで、私たち夫婦は黙々としていました。なに、赤嶺や明子だって事情は似たようなものだったのですが。
車がないので観光しようにも足がなく、またこの宿がある一帯の閑静な雰囲気が気に入ったので、午前中は特に何をするでもなく無為に過ごしました。午後になって赤嶺が「辺りを散歩しないか」と誘ってきたので、四人そろって宿を出たのです。
「君たちだって盛り上がっていたんじゃないのか」
私が言い返すと、明子は軽く笑って手を振りました。
「駄目。あなたたちが始めだしたら、あのひと、そっちのほうが気になっちゃって。ほら、あのひと前から瑞希さんのファンでしょ。だからね」
『あのひと』とはもちろん赤嶺のことで、その赤嶺は私たちの背後で妻にあれこれと喋りかけています。妻がそれに対して言葉少なく相槌を打っているのを横目で見て、私はふとあることに思い至りました。
あの日・・・赤嶺が我が家へやってきて、妻に「セックスはお嫌いですか?」「ご主人では満足出来ない?」などと問いかけたあの日のことです。私はそれ以前からうまくいっていなかった妻にはじめて離婚を切りだし、そしてその夜、妻は私のベッドへ忍んできたのです。
あのとき妻はこのままでは離婚してしまう、だからなんとか私を引きとめようとしてあのような行動に出たと説明しました。
しかし。
私は昨夜のことを思い出しました。隣室で睦みあう赤嶺らの声を聞きながら、密かに秘所を濡らしていた妻。そのことを私に知られ、恥じ悶えながら私の愛撫に泣き乱れた妻・・・。
それは私がかつて見たことのない妻の姿でした。
もしかすると妻は恥ずかしさで感じてしまう女なのではないか、と私は思いました。羞恥心が人一倍強いだけに、羞恥を強制されると性感を刺激されてしまう女。もしそうだとするとと、あの日妻がベッドへ忍んできたのは、私を引き止めるだけでなく、赤嶺の言葉による嬲りで火照った身体を鎮めて欲しかったからではないか・・・。
「何を考えているの?」
物思いに耽っている私をおかしそうに見て、明子は不意に腕を絡めてきました。まるで以前からの恋人か夫婦のように自然な仕草で。
「自然にして。奥さんが見てるわ」
明子の狙いが分かりました。今夜実行する予定のスワッピングの布石として、私と明子の親密さを妻へ見せつけようというのです。
私は後ろを振り返らずに、なるべく自然な様子で明子と腕を組み、歩きました。
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BJ 7/24(月) 20:55:50 No.20060724205550 削除「ね、昨夜は凄かったわね」近くに寄ってきた明子が囁くように言いました。私は後ろの妻と赤嶺を気にしながら、ぶっきらぼうな口調で「何が?」と答えます。「分かってるくせに」「・・・・・」「奥さん、あんなに乱れること?...
2012/05/25 10:43 | まとめwoネタ速neo