管理人から

管理人

Author:管理人
管理人がおすすめするカテゴリに★印をつけました。



アダルトグッズのNLS








最新記事


カテゴリ

北原夏美 四十路 初裏無修正

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
BJ 7/25(火) 01:11:35 No.20060725011135 削除
そうしてまた夜がやってきました。
「ああ、いい気持ち。ここは本当にいいところだわ」
畳の上に仰向けに倒れながら、明子はしみじみとした口調で言いました。その顔は酒でほんのり赤く染まっています。
「静かで、ゆったりできて、何もかも忘れて開放的な気分になれちゃう。こんな気持ち、大学のとき以来よ」
そう言うと明子は潤んだ瞳で、私を見上げてきました。
「こらこら、大学時代の焼けぼっくいに火がついたんじゃないだろうな」
酒を飲んでいた赤嶺が横から茶々をいれると、明子は余裕の表情です。
「いいじゃない、――さんとは本当に久しぶりに会ったんだから。ね」
そう言うと明子は悪戯な顔になり、「ごろにゃーん」などと言いながら、猫の真似をして私に抱きついてきました。
「おいおい、本気で酔ってるな」
「にゃーん」
私はなかば本当に慌てて明子に言いましたが、彼女はなおも猫の真似をしてしがみつき、離れません。
妻を見ると、向こうもこちらを見つめていたようで、慌てて目を逸らすのが見えました。そのまま妻の手がグラスに伸びます。普段、酒を飲まない彼女にしては珍しく、妻はその夜は多く飲んでいました。傍らに妻がいるのに、はしたなく夫に絡んでくる明子や、そんな明子にデレデレ?している私を苦々しく思っているのでしょうか。表情の読めない女なので、よく分かりません。

なおもしばらくの間、部屋でだらだらと酒を飲んだ後、私たちは床につきました。
そして一時間後。ごそごそと起きだした私を見て、妻はいぶかしげな表情になりました。
「どうなさったんですか?」
「風呂に入ってくる」
この宿の風呂は二十四時間入れるのです。
「そうですか」
何も知らない妻はまた瞳を閉じました。

室内を出ると、玄関にはすでに明子がいました。すべて打ち合わせのとおりです。私たちは目と目で合図をした後、その場にしゃがみこみました。
しばらくして―――。
「奥さん、起きていますか」
室内から赤嶺の声が聞こえました。
「・・・はい」
小さな声で妻が答えるのが聞こえました。続いて襖の開く音がします。
「そちらの部屋に――は・・・いませんね」
最初に「奥さん」と妻だけに呼びかけているので、よくよく考えるとおかしな赤嶺の言葉です。妻は緊張を含んだ声で、
「主人はお風呂へ行っております」
と答えました。
「やっぱりね・・・明子もいま風呂に行っているんですよ」
「・・・・・」
「我が妻ながら大胆な女ですな。主人を残して、他の男と逢瀬とはね。そしてあなたのご主人も」
「・・・お風呂へ行っているだけでしょう」
「混浴風呂にね。そしてこの時間なら他の客はいない。奥さんだって昼間のあのふたりの様子を見たでしょう」
暗闇の中で思わず明子と目が合います。明子は含み笑いをしていましたが、私は妻が気になってそれどころではありませんでした。
「――もひどい奴ですね。こんな美しいひとを置いて、他の女と」
「・・・それ以上、寄らないでください」
妻の声は震えています。
「聞いてください。私は何も残された者同士、傷を舐めあおうと思っているわけではありません。私はあなたが好きです」
赤嶺の言葉を聞いて、それが演技だと分かっているにも関わらず、私の胸はざわめきました。
「はじめて会ったときから、あなたに惚れていた。あなたが――の、私にとって唯一親友と呼べるあいつの妻だという事実が憎かった。私はわるい男です。他の男だったら、私はどんな手を使ってでもあなたを奪いとったことでしょう。でもあいつだけは裏切れない。だが――あいつはあなたを裏切った」
「ああ・・・・」
吐息まじりの妻の呻きが聞こえました。
「泣いているのですか?」
「・・・・・・」

妻のすすり泣く声がします。

私はそれ以上聞いていられませんでした。自分が望んでしたことにも関わらず、いざ妻の泣き声を聞くと、心が痛んで仕方ありませんでした。

もういい、何もかも嘘だ、すべて茶番だったんだ、だから泣かないで。

私はもう少しでそう叫びながら、部屋へ飛び込むところでした。そうしなかったのは、そのときわずかに室内の明かりが灯り、障子の曇りガラス越しに、座りこんだ妻と彼女を抱く赤嶺の姿が映ったからです。

「泣かないでください」
私が言うはずだったセリフを赤嶺が言いました。今まで彼の口から聞いたことがないような、優しい声で。
「心配しないで。大丈夫」

私は―――
私は静かに外へ出ました。先ほどとは別の意味で、弱い私は妻と赤嶺の会話をそれ以上聞いていられなかったのです。

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


まとめtyaiました【よき妻 13】
BJ 7/25(火) 01:11:35 No.20060725011135 削除そうしてまた夜がやってきました。「ああ、いい気持ち。ここは本当にいいところだわ」畳の上に仰向けに倒れながら、明子はしみじみとした口調で言いました。その顔は酒でほんのり赤く染まっています。「静かで、ゆったりでき?...
2012/05/25 22:14 | まとめwoネタ速neo

 | ホーム | 


  1. 無料アクセス解析