BJ 8/1(火) 23:15:07 No.20060801231507 削除
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いつの間にか私は眠り込んでいたようです。ううーんと唸りながら目を開けた私に、近くで煙草を吸っていた赤嶺がふっと笑いかけました。
「だいぶお疲れだな。もうロートルなんだからほどほどにしとけよ」
そう言う赤嶺も無精ひげは伸び、目の下には隈が出来ています。私は裸のままでしたが、彼も隣で寝ている明子もすでに浴衣を身に着けていました。
「お前は寝ていないのか?」
「いや、少し寝たよ。さすがの俺も今回はくたびれた」
屈託のない笑顔を浮かべる赤嶺に、私は曖昧な笑みを返しました。
ふたりの視線の先には、畳の上にしどけなく裸の寝姿を晒す妻がいます。
その表情は先ほどまであれほど乱れ狂っていた女とは思えないほど安らかで、あどけなくさえ見えました。
煙草を吸い終わった赤嶺が不意に立ち上がって、寝ている妻の傍らに行きました。
気配に気づいた妻が薄目を開けましたが、その瞳はいまだ夢の中にいるかのようでした。
「お目覚めかい。身体の調子はどう?」
「・・・身体中・・ばらばら・・・」
とろんとした口調で、妻が答えました。
「昨夜は凄かったな」
「いや・・・・」
「風呂へ行こう。疲れがとれるよ」
赤嶺はそう言って、妻の身体を抱き上げました。
「裸はいや・・・着るものを」
「分かったよ」
赤嶺は落ちていた浴衣をいいかげんに妻にかぶせました。
「じゃあ、行って来る」
赤嶺はちらりと私を見てそう言うと、妻を抱えたまま室外へ消えました。
私は何も言わずにそれを見送りました。
しばらくして、明子が「うーん」と呻きながら、薄目を開けました。部屋に私しか残っていないのを見てとって、
「赤嶺と奥さんは?」
「風呂へ行ったよ」
「まったく・・・朝から元気ねえ」
それだけ言って、また眠ってしまいました。
しばらくして私は立ち上がりました。
浴場へ入るガラスの扉から、かすかに明け方の光が差しこんでいました。
私は音を立てないように、その扉の傍に行きます。
ガラス扉越しに妻と赤嶺の姿が見えます。他の客の姿は見えません。
赤嶺は妻を抱え上げ、立位で繋がっていました。
あれほどくたびれていたというのに、妻は赤嶺の首へしどけなく抱きついたまま、ふかぶかと怒張を咥えこんだ腰を激しく揺さぶらせています。瞳を瞑ったその表情は、心の底から愉悦を味わっているようでした。
がっちりと逞しい赤嶺の肉体と妻の女らしい細やかな肢体は見事な対比を描いていて、古代ギリシャの神々を描いたヨーロッパの絵画を思わせました。
しばらくそんな二人をぼんやり見つめていましたが、やがて私は静かにその場を離れました。
部屋へ戻って布団を敷き、ひとり眠っていると、妻と赤嶺の戻ってきた気配がしました。
しばらくして隣に妻が滑り込んできました。私は瞳を瞑って寝たふりを続けます。
目が覚めたら、私たちはどうなるのだろう。そんなことを考えながら、私はいつしか眠ってしまいました。
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