3番目の夫 7/25(火) 20:18:58 No.20060725201858
十月の半ばを過ぎたある夜の事 八時過ぎに家の電話が鳴りました。
『きっと旦那様だわ!』
そう思った母が『ウキウキ』と受話器を取ると
「おお、幸子か?元気か?」
と聞き覚えの無い声がしたのです。
『だれ? 旦那様じゃあ無いし「幸子か?」なんて
なれなれしいのは誰かしら? 叔父さんでもないし???・・・』
「子供達は元気か?」
そのとたん母の頭から『スー』と血の気が引くのでした。
「あっ・・あなた?・なの?」
母にとって 今一番聞きたくない人の声でした。
「どう・した・の?」
口の中がからからに乾いてきます。
「ははは、やっとこの飯場にも電話が引けたんだ。これからは何時でも
声が聞こえるぞ、ははは」と父が電話の向こうで嬉しそうに笑います。
「ちょっと待って・・・ジュンちゃん 父さんよ」
と母は慌てて 嫌な物を捨てるように
そばでテレビを見ていた子供に受話器を渡すのでした。
『どうしましょ? 電話が来るなんて・・・これから夜
旦那様と会っている時に電話が来たら・・・どうしましょ?・・・』
母の心臓は『どきどき』脈打ち 頭の中が真っ白になるのでした。
そのうち子供が受話器を切るのを見て
「お父さん、何だって?」
「十円玉が無くなるって あと日曜日の夜に電話するって」
それから父は毎週 日曜日に電話を寄こす様になるのでしたが、
母は用件だけ話すとすぐに子供達に受話器を渡すのでした。
父の声を聞いていると 何故か母は不安になるのでした。
其の事は、母にとって確実に破局がせまり来る
前触れのように感じられたからでした。
その証拠に あれ以来佐藤からの電話は一回も無いのです。
佐藤に会ってさえ居れば安心出来たのに
それさえも出来ずに母は益々不安になるのでした。
十月の終わりになっても いつもの呼び出しの電話はありません。
十一月の一日になっても 二日になっても佐藤は現れません。
母は毎日、今日は佐藤が来てくれると思い
毎朝、自らの女唇に『ペッサリー』を埋め込むのでした。
そうしては夜、入浴の時に役に立たなかった『ペッサリー』を
引きずり出し 洗いながら涙するのでした。
母が居ても立ってもいられない気持ちで三日目を迎えた夜に
ひょっこりと佐藤が家に来ました。
玄関に立った佐藤を見た母は、嬉しさのあまり抱き付きたい衝動に
駆られますが、子供達の手前 それもかないません。
佐藤はあごをしゃくって母に外に出るように合図します。
佐藤はそのまま納屋の奥の作業場に母を連れ込みました。
その真っ暗な中で佐藤は母に尺八を命じます。
母は喜んで 夢にまで見た佐藤の男根を口に咥え
たっぷりと味わうのでした。
その後で 男根を勃起させた佐藤は、母をテーブルに手を付かせ
いつもの様にスカートを捲り パンティーを引き下ろすと
後ろから荒々しく突き捲るのでした。
久しぶりの快感に母はすぐにアクメを迎えますが、
佐藤はそれからも長い時間を掛け 母の女唇の奥深く
汚らしい精子をたっぷりと吐き出すのでした。
その上 母が会えなかった理由を聞いても「又、電話する」とだけ
言って、佐藤は作業台に給料袋を投げ出すと
そそくさと帰って行ってしまうのでした。
この時のセックスが、この年最後の佐藤との逢瀬になろうとは、
この時の母には想像すら出来ないのでした。
佐藤の電話を待ちながら 悶々とした日々をすごしていた母ですが、
あっという間に半月が過ぎてしまいました。
母が父からの電話が有った時に それとなく聞き出した所
前年に群馬のスキー場に設置したリフトの内 二機に不具合が
相次いで発生し改修か架け替えか?と言う緊急の事態が起こり
佐藤はその収拾におおわらわだったのでした。
その上 来年着工予定の新潟の仕事が、他の業者に取られそうに
なったりと十一月、十二月は次から次へと問題が起こり
佐藤の会社は存亡の危機に見舞われていたと言うことでした。
〔 私が思うに 約半年間に渡って母とセックスばかりしていた付けが、
この時、いっぺんに回ってきたのではなかったかと思うのです。 〕
十一月の終わりの父から電話で『佐藤は相変わらず忙しくて東京に
帰れないらしい。だから今月の給料を渡せないので郵便為替で
送ろうか?』との話がありましたが、幾らか蓄えも有ったので
父が帰る十二月に一緒でよいと母は返事をしました。
しかし母は給料の事よりも 今月も佐藤に会えないという事の方が
ショックでした。
『ああー、旦那様に会いたい! 旦那様に会って思いっきり抱かれたい!
ああっ義男が帰ってくる前に 一度でいいから旦那様に抱かれて
旦那様だけの女だと言う事をこの身に焼き付けたい・・・』
母は毎日、一人になると佐藤の事を思い 身をよじり涙を流すのでした。
しかしそんな母の願いも空しく十二月も半ばが過ぎ
いよいよ父が二十七日の夜 帰って来る事になるのでした。
明けて二十八日は、毎年恒例の隣組による餅つきの日だったのです。
この頃、この辺りの田舎では正月用の餅を、隣近所が協力して暮れの
二十八日に臼と杵でみんなでつくのが慣わしとなっていたのです。
父はその日に合わせて帰ってくるのでした。
暮れも押し迫って来ると 何かと用があり 忙しく立ち回っている内に
母の気持ちも次第に落ち着いて来るのでした。
もともと物事をあまり深く考えない性格の母は、一月半以上も佐藤に
会えないで居る内に佐藤の呪縛が解け掛かって来たのだと思われます。
物事を楽な方へ楽しい方へと流され易い浅はかな母も
『一生、義男と会わずに佐藤の女で居たい』と言う絵空事が、
現実問題として無理である事を実感せざるを得ないのでした。
しかし それでも母の中では、
『義男と今まで通り上手くやっていけるかしら?』
『旦那様からの呼び出しがあったら何と言って出かけようかしら?』
『でも義男と夫婦として生活は出来そうだけれども 出来れば
抱かれたくないわねー・・・もし抱かれたら?・・
旦那様に嫌われないかしら?』などと思っているのでした。
お正月用の食料や いろいろな物を買ったり 揃えたりしている内に
いよいよ父が帰って来る日を迎えるのでした。
その日は朝から父が帰って来るという事で子供達もはしゃいでいました。
そんな様子を見ていると 母もなんとなく心が騒ぐのでした。
「今日は、お父さんが帰ってくるからお寿司を取りましょうか」
と子供達を喜ばせたのも 嬉しさ半分、義男の為に手料理を
作りたくない気持ちも半分と複雑な思いの母でした。
そして、とうとう夜の七時過ぎ 九ヶ月ぶりに父が帰って来たのでした。
その日が母にとって忘れることの出来ない喜びと歓喜、悲しみと絶望が
いっぺんに訪れる破滅の日になろうとは、
浅はかで淫乱で自分勝手な母には想像すら出来ないのでした。
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