KYO 6/18(日) 16:12:08 No.20060618161208 削除
男たちのとんでもない会話を聞きながら、私は腹が立つよりは妻の
ことについての不安で胸が押し潰されそうになっています。じりじ
りしながら里美が電話をかけるのを待っていると、ようやく里美か
らメッセージが入りました。
「お待たせ」
「どうだった」
「○○さんの奥さん、急用が出来たって言って1時前に早退したそ
うよ」
「なんだと」
私は全身の力が抜けていくのを感じました。
長尾との不倫関係については、オンライン会議の場で男たちから聞
いているだけでしたので、半信半疑といったところもありました。
仮に妻が長尾と関係を持っていたとしても、無理やり持たされてい
たのを不倫といわれているのかもしれない。仮に不倫関係であって
も、もう完全に終わっていることだ。そんなことで私は自分を誤魔
化してきたのです。
しかし今日、妻が長尾と会っているとしたら不倫関係は終わってい
ないということになります。画面の中では藤村さんの嬌声が響いて
きました。
「ああっ、尚子、いっちゃう、いっちゃいますっ」
「実にはしたない奥さんだ」
「どうせいくのなら西岡先生の名前を呼びながらいきなさい。わか
りましたね」
「は、はいっ」
藤村さんは切羽詰ったような声をあげるとブルッ、ブルッと裸身を
震わせます。豊満な乳房が波打つように揺れました。
「ああっ、け、啓太郎さんっ、尚子、いっちゃいますっ」
藤村さんはほざくようにそう言うと、蜜壷に含ませた黒いバイブを
しっかりと喰い占めながら昇天しました。
妻も今あんな風に、長尾の肉棒を食い占めながら何度も何度も気を
やっているのだろうか、と思うと居たたまれない気持ちになります。
「……里美、後を頼む」
「え、えっ? またなの」
「すまない……」
「いいけど……どうするの? 仕事?」
「いや、今日は会社には悪いがとても仕事をする気になれない」
「わかったわ……それじゃあ」
私はオンライン役員会からログオフしました。藤村さんの痴態をこ
れ以上見ていると妻のことが生々しく連想されて、耐えられそうに
ないのです。
私は部屋を出るとアシスタントの女性に、今日はこれから客先を回
ってから直帰するといって会社を出ました。もちろん客先回りの予
定などは在りません。
私の足は自然と家に向かいます。しかし、帰ったからといって妻の
不倫の証拠をつかめるわけでもありません。妻は通常のパートがあ
る日の予定通りに帰宅することでしょう。そして時間に妻に電話を
かけたのはあくまで私ではないのです。妻と長尾がホテルから出て
くるところでも押さえない限りは無理です。
(ホテル……)
ふと、私の頭の中にひらめきました。たしか里美の話によると、妻
と長尾は厚生部の懇親会がある日、一次会が終わったら抜けてラブ
ホテルで落ち合ったといっていました。今日も同じホテルを使うの
ではないでしょうか。
(里美が何か手がかりを持っていないだろうか)
私は里美の携帯の番号すら知りません。ライブチャットとメッセン
ジャーだけが里美との接点なのです。私は会社に引き返し、不思議
そうな顔をして私の顔を見るアシスタントの女性に「忘れ物だ」と
告げると、部屋に入ってPCを立ち上げました。
「どうしたの? ○○さん?」
「里美、絵梨子と長尾が行ったラブホテルについて何か覚えている
ことはないか?」
「いきなりそう言われても……」
「場所とか、名前とか」
「そんなことは言っていなかったわ……待って」
里美は何か思い出したようです。
「確か……コスプレをさせられたとか言っていたわ。それに変な椅
子に固定されて虐められたって……」
「何っ」
私は妻が破廉恥な格好をさせられてSMで使うような椅子に縛り付
けれている姿を想像し、頭がかっとなります。
「ちょっと検索してみるわ……○○さんの息子さんの学校の位置か
ら考えると、
C駅周辺が有力ね……あった、これかも」
「どこだ」
「ホテル十番館、コスプレ衣装のレンタルとアダルトグッズ、拘束
椅子まであるわ」
里美のメッセンジャーに表示されたホテルのURLを開きます。地
図と住所が載っているページをプリントすると、私は里美へあわた
だしく礼を言い、再び会社を飛び出しました。
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