KYO 7/4(火) 22:32:59 No.20060704223259 削除
「……里美はレズじゃなかったのか?」
「男の人が全然駄目って言うわけではないのよ。セックスは出来れ
ばしたくないけれど」
里美は私の耳元で甘く囁きかけます。
「私は○○さんの愛人、っていうことにしておくと良いわ。不倫し
た奥様に対する復讐として夫が愛人を作り、その若い愛人と一緒に
罪を犯した奥様を責め上げる。考えただけでぞくぞくするシチュエ
ーションだとは思わない?」
里美という娘は相当変わっていると思っていましたが、ここまで来
ると私の理解の範囲を越えます。しかし、私は里美の熱気に当てら
れたのか、「目には目を」の言葉ではないですが、あの犬山達の異
常性に対抗するためには、それを超える異常性を持つ里美の力を借
りるしかない、という気分になって来ました。
「……わかった。里美の条件を呑むから協力してくれ」
「そう来なくっちゃ」
里美が喜色を露わにし、私の頬にキスします。その時私の携帯電話
が鳴りました。発信人を見ると例の興信所の男です。
「10分前に橋本が、女と一緒にホテルにチェックインしました。
聞いていた特徴から、相手は江藤という女性に間違いないと思われ
ます」
「写真は?」
「任せておいて下さい。ばっちり撮っていますよ。この蒸し暑いの
にべったり腕を組んで、どこからどう見たって不倫カップルですよ。
いつもの浮気調査もこれくらい楽だといいですね。引き続きホテル
で張ります」
「頼む」
私は電話を切りました。
「いよいよね……」
心なしか里美の表情も緊張してきたようです。その時、ノートPC
の画面が待ち受け状態から変わり、道岡のクリニックの一室が映し
出されました。部屋の中にはすでに道岡と毛塚がいます。
部屋の中にはCCDカメラが何台も取り付けられているようで、毛
塚がテストしている様子が映し出されています。道岡はさすがに施
術を控えて、用具の点検などをしているようです。
「里美、ビデオ録画を開始してくれ」
「OK」
PCとビデオを繋いだダウンコンバータによってデジタル映像がア
ナログ映像に変換され、部屋に置かれた大画面のTVに道岡のクリ
ニックの様子が映し出されます。相当画質が落ちるのかと思ってい
ましたが、モニター上ではほとんど違和感はなく、まるでテレビド
ラマの画像を見るような鮮明さです。むしろPCのディスプレイよ
りも格段に画面が大きく、スピーカーの質も良いため、いつもより
も迫力があるほどです。
「異常ないわ。ちゃんと録画できているわよ」
「よし……」
これで少なくとも犬山、道岡、毛塚の3人が揃った現場を押さえる
ことが出来ます。また、すでに興信所が橋本の不倫の証拠も押さえ
ることも確実なので、計画は今のところ順調といえます。
やがて橋本がホテルからログインしてきました。
「やあ、橋本さん。出張ご苦労様です」
毛塚がニヤニヤ笑いながら橋本に挨拶します。
「どうも、お手伝い出来なくてすみません」
「いいですよ。まだ会長がきていないから、久しぶりに江藤さんの
顔を見せてくれませんか」
毛塚の言葉に、橋本はどぎまぎしています。少したって妻より少し
年上と思える、派手な顔立ちの女性が画面に現れました。この女が
藤村さんの前に役員会で会計を担当していた江藤さんしょう。
「知っていたの……皆さん、意地が悪いわ……」
「江藤さん、お久しぶりです」
「橋本さんにたっぷり可愛がってもらっていますか?」
「いやらしいことおっしゃらないで……もう」
江藤さんはまるで男たちを挑発するように身体をくねらせます。江
藤さんの髪は綺麗にセットされており、巧みに化粧も施されていま
す。江藤さんが橋本との逢瀬を心から楽しんでいる様子が画面から
うかがえます。
「○○さんと藤村さんの肉体改造の様子を是非見たいって、橋本さ
んにおねだりしたんですって?」
毛塚に問いかけれれて、江藤さんは顔を赤らめます。
「そんなことまでお話ししたの、あなた?」
「いや、それは……」
橋本は再び慌てて、言葉を詰まらせます。
「いいんですよ、別に。ただし、今日のことは絶対秘密にしてもら
わなければ困りますよ」
「わかっていますわ。私も主人に知られたら大変ですもの」
江藤さんは微笑して頷きます。
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