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北原夏美 四十路 初裏無修正

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最終章①そして真由美へ

現在の妻、真由美も、私に二人の子供が居ることは知っています。
そのことを知っているのは、私と真理子、そして真由美とその両親、おそらくその五人だけでしょう。

真由美とは見合い結婚ですが(厳密に言うと少し違うかも知れませんが)、彼女には最初にその事実を話しておきました。

「子供達のこと、気にならない?」
「あぁ…もう忘れる事にしたんだ」
「子供達のこと考えると、少し可哀そう…」
「俺は鈍感で冷たい人間なんだ。
 こんなのがあの子達の父親でいいはずがない。
 あの子達だけじゃない。
 俺はきっと何人も哀しませる事を繰り返して来た…。
 君の事も幸せにしてあげられないかも知れない…」

この言葉を彼女がどう受け留めたのか、それは今でも判りません。
彼女はその日のうちに私に子供が居ることを御両親に伝えたのだと思います。
見合いの結果は破談でした。
バツイチなのはともかく、籍に入っていないとは言え二人の子供が居ると判れば…。
真由美の両親の判断は当然だったと思います。

ただ、真由美本人の判断は違いました。
彼女はその後も何度か連絡をくれるようになりました。
共に食事をしては他愛のない会話を繰り返し、やがて私と彼女は結ばれました。
彼女は私のマンションを度々訪れては私の生活を何かと支えてくれるようになりました。
週末などに彼女が泊まる機会が増え、やがてある日を境に彼女は家に帰らなくなりました。
彼女を抱いた後、その日も帰るそぶりを見せないので聞いてみたのです。

「今夜も帰らなくていいのか?」
「帰った方がいいの?」
「いや。 君を帰したいと思ったことなど一度も無い」
「でしょ? 親にはもう貴方と暮らすと言ってあるの」
「許してくれた?」
「ううん聞いてない。 手紙を置いてきただけだから」
「それって…家出って言うんじゃないのか(汗)」
「略奪? 強いて言うなら、誘拐監禁?(笑)」

笑い事では有りませんでした。
彼女は全てを捨てて家を飛び出してしまっていたのです。

私は翌日、彼女には黙って彼女の実家を訪ねました。
玄関先に立ったまま、ただもう頭を下げるしかありませんでした。
応対に出た彼女の母親に続いて、彼女の父親も玄関先に現われました。

「この度は誠に申し訳ありません」
「君一人か? 真由美はどうした」
「来てはいません。私一人です」
「とにかく娘を連れて来なさい」
「それは…、できません」
「何を言ってる。 悪いと思っているなら、とにかく一度娘を帰しなさい。 話はそれからだ」
「いえ、帰せません。 今日は許して貰うことだけをお願いに来ました」
「あの子は大事な一人娘だ。 君なんぞにやるわけにはいかん」
「私のことを許して貰おうとは思っていません。 今日は真由美さんのしたことを許して貰いに来ました」
「何? 君は自分の事は棚に上げて真由美のために来たとでも言うつもりか。 そんなもの順序が逆だろう」
「私のせいで彼女はお二人にご心配をお掛けしました。 彼女がしたことを許して貰えないと私は彼女に合わせる顔がありません」
「私達の気持ちなど二の次かっ! 娘を許そうが許すまいが君には関係無いことだ」
「私が彼女にそうしろと言いました。彼女は…」
「もう、いいっ! 君の話など聞きたくも無いっ! 帰ってくれ!」
「はい。 でも…また来ます」
「ふざけるなっ!」

『美由さん!』

立ち去る時、彼女の母親に呼び止められました。

「ね、あの子元気?」
「はい」
「貴方もバカね、わざわざ主人を怒らせに来るなんて(笑)」
「すみません」
「一人で来たこと、あの子には内緒なんでしょ?」
「はい」
「貴方…私達のことが気になるの? 真由美と二人で楽しく暮らせばいいのに」
「彼女には、お二人に心配をお掛けするような真似はして欲しく無いと思いました」
「嬉しいことを言ってくれるのね(笑)」
「彼女がお二人と仲たがいすることになれば辛くなります」
「あの子が知ったら喜ぶわ。 私もね(笑)」

彼女の母親は、そのまま私と並んで歩き始めました。

「でも、いいの?」
「はい?」
「わかるでしょ? あの子は言い出したら聞かない子。 貴方もきっと苦労するわ(笑)」
「そうでしょうか。 自分は彼女と居るとホッとします」
「そう?(笑) 幸せにしてあげてね」
「大切にします」

「ね、あの子…、貴方に父親のこと何か言ってた?」
「いえ、別に…」
「そう…。 あの子がうちを飛び出したのは、たぶん私のせいだと思うの」
「え?」
「あの子、本当の父親の顔を知らないの。 貴方がその父親に良く似ているって最初会った時、私が言ったから…たぶんそれで…」

「あの子の本当の父親は、あの子が小さい頃に死んだわ。
 それからは女手一つで育てて…。
 今の主人とは、あの子が大人になってから再婚したの。

 あの子が主人のことをお父さんと呼んだ事など一度も無いわ。
 いつも他人行儀。

 主人にも…あの子にも…可愛そうなことをしたわ…』
「そう…だったんですか…」

「貴方…顔立ちとか、物腰とか…あの子の実の父親にとても良く似ているわ…。
 今日みたいに後先考え無いところも(笑)」
「すみません」
「謝ることじゃ無いわ(笑)」

「あの子ね。
 置き手紙に貴方のことばかり書いて行った…。

 貴方、あの子に車道側を歩かせたこと無いんですって?(笑)
 最初は何で時々体の位置を入れ替えるのか判らなかったらしいわ(笑)
 お年寄りに席を譲るのも自然に出来る人だって。
 電車の中でいきなり腕を取られて一緒に立たされたって(笑)

 貴方とテーマパークに遊びに行った時のことも書いてあった。
 入り口であの子が見知らぬ奥さんから二人分の優待券を貰ったことがあったでしょ?
 あの子がその奥さんに何か買ってお礼をしようとしたら貴方に止められたって。
 自分がされて嬉しいと思った事は別な人に違う形で返していけばいいって言われたって。

 あの子、貴方のそんなところが、とても好きになったみたい。
 貴方が何があっても自分を守ってくれる人だと思ったんですって(笑)

 今日…私もそう思ったわ…」

彼女は立ち止まり、そして私の顔を見つめました。

「あの子ね…貴方に父親の姿を探しているんだと思うの」

そして帯止めから何かを外しました。

「これ…あの子の父親の形見の品。 貴方から渡してあげて…」

それは小さな、犬を模した象牙の根付でした。
彼女は私の手を取るとそれを私に委ねました。

私の手はすべてを許してくれるような暖かい手に包まれました。

「ね、あの子の為に長生きできる? それだけは約束して」

答えようのない答えを求められ、私はただ黙って頷くしかありませんでした。

「あの子に、たまには顔を出しなさいと伝えてね。 主人のことは私が何とかしてあげるから(笑)」
「はい(笑)」

後日、彼女を伴い再び訪問することになりました。
彼女と二人、心配を掛けたことだけは御両親には謝っておくべきだと思ったのです。

彼女は、何時まで経っても顔を出さない継父の部屋に、私を制すと一人で入って行きました。
しばらくして出てくると自分の部屋から当面必要な小物類を私の車に運び込みました。
彼女は母親を抱擁し「心配しないで」と言うと、私に「さ、帰ろ」と言いました。
母親も私に頷きました。
私は一礼すると彼女の家を後にしました。

「もっとゆっくりしてこなくて良かったのか?」
「うん。 お父さんにお母さんのこと頼んでおいたから。 二人には私の方がお邪魔虫なの(笑)」
「そっか。 君はご両親にとってお邪魔虫か(笑) それなら遠慮なく貰っておこう(笑)」
「そうよ? 遠慮なく貰って(笑)」

その夜遅く、私は彼女の継父から電話を受けました。
その電話は、真由美の父だと名乗ったきり無言の電話になりました。

やがて重い口を開くと、

『真由美が…今日…』

そう言ったきり、また長い長い沈黙に戻りました。
やがて再び言葉は繋がっていきました。

「真由美が私のことを…初めて…お父さん…と…呼ん…で………れた。…私に、お母さんを宜しく……と…」

もうその声は言葉にはなってはいませんでした。

(グッ…ウウッ…)

受話器から父親の嗚咽と共にその心情が溢れ出してきました。

私はただ受話器を強く握り締め、ええ、ええ、と相づちを打つことしかできませんでした。

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彼女が両親との関係を修復できたとはいえ、一度は私の為にすべてを捨てた事実は私の心に強く残りました。
その時から私の新たな【ビギニング】という物語が始まりました。
彼女のとった行動が、それまでの私の価値観を根底から覆してしまったからです。

私の為に全てを捨てた彼女に、私は、私の持つ全てのものを委ねることを決めました。
私の生命保険の受取人を全て彼女の名前に書き換えました。
そして、マンションを売り払い、戸建住宅を購入することを決めました。
家も土地も全て彼女の名義にして、可能ならいずれはそこに彼女のご両親を呼び寄せようと思ったのです。
彼女の持ち家なら両親も気兼ねをしないで済むはずです。
結果として彼女の両親は、まだまだ二人だけで暮らしなさいと言いながらも私のそんな判断をとても喜んでくれました。

信じられないでしょうが、未だに彼女とは式どころか婚姻届すら出していません。
私は、結婚とは心と体が重なり合い、喜怒哀楽のすべてを共感するところから始まるものだと信じています。
私は過去の結婚の失敗から、式だとか届出だとかの形式に囚われる無意味さを痛感していました。
もちろん、彼女が望むなら印鑑などいくらでも突くつもりでいましたが、不思議なことに彼女自身も彼女の両親も、それについては何も求めることはありませんでした。

彼女は言いました。

「ウチの親、この家の名義の一件以来、貴方のすることを無条件に信じてるみたい。婚姻届け出さないのも何か理由があるんだろって(笑)」

その通りでした。
私は、現在の会社を退職したその時には、一人娘である彼女の戸籍に入ろうと考えていたのです。
一人娘を私に嫁がせた彼女の両親を安心させるためにも、是非そうしたいと考えていたからです。
それなりの役職に着いてしまった現在、今の制度が変わり夫婦別姓でも認められれば話は別ですが、それまでは今の名前のままで働きたいと思っていました。

昨年、私達二人は家の買い替えを行いました。
いわゆる二世帯住宅というやつです。
どうせ彼女の両親を迎えるなら、より暮らしやすい環境を整えてあげたい。そう思ったからです。

二人の関係に何かあれば、私が体一つで出て行けば済む。
そんな私のスタンスは相変わらずです。
もちろん、そんなことに成らないよう気を付けたいと思っていますが、とにかく彼女には、これ以上何も失わせたくはないのです。

現在の妻、真由美との生活は13年にも及び、過去に出逢った他のどの女性よりも長い付き合いになりました。
婚姻届も出していないため、彼女は法的に見ても、とても近くて遠い存在です。
彼女のことは全て判っているようで、実のところ全然掴めていません。
とにかく世間から見れば不思議な関係が続いています。
解かっているのは私が彼女を深く愛している。 ただそのことだけです。

気付かれた方も多いと思いますが、私のペンネーム【美由 真】は、そんな愛する妻の名前【真由美】をもじったものです。
彼女は、私にいつも新鮮な驚きを提供してくれています。
良い意味で、私を打ちのめしてくれます。
そんな彼女とのことは、また別の機会にお話することになると思いますが、彼女は私の過去の全てを包み込むようにして、私を支え続けてくれました。

「パパ(最近、妻は私をそう呼びます。 そのあたりの経緯はまた別の機会に)と一緒じゃなきゃやだ」

いつも彼女が口癖のように言う言葉は、本当は私から彼女に一番伝えたい言葉でもあるのです。

(君と共にでなければ、これから先の人生など何の意味も無い…)

私のこんな想いは、これから先も彼女は耳にすることも無ければ、目にすることも無いと思います。
彼女にとっては、そんなことは当たり前の話で、何を今さらと笑われるだけだと思うからです。

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