−−−②後書きに代えて【完】
ビギニングⅡ最終章でも触れましたが、我が家は昨年、引越しを行いました。
その際、私が過去に出逢った女性達の想い出の品々がいくつか出てきたのです。
それらは写真や手紙であったり、当時良く聞いていたレコードであったり、と。
レコード以外は妻には見せる必要などまったく無い物ばかりです。
妻がそれを見たり読んだりすれば、あの時「ひとみ」が言ったように、妻は傷つくかも知れない。
そう思ったのです。
私はレコード類のみを残し、それらの一切を処分することにしました。
そしてその代わりに、私は彼女達との間に生まれたエピソードの一つ一つを書き留め、ネット上に保管しておこうと考えました。
そうしておけば、いつでも、どこからでも、そして好きな時に、また彼女達に会うことが出来ます。
私は妻の目を盗んでは彼女達のことを書き綴りました。
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当時の事を振り返る時、彼女達との間に生まれた小さなエピソードの一つ一つを鮮明に覚えているのなら、それはそのまま私の心の宝物なんだろうと思いました。
それが喜怒哀楽のどれに繋がる記憶であっても、やはり宝物であることには変わりはありません。
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ビギニングⅠの冒頭で書いた言葉です。
作品と言っても、私には小説としての体裁を整えることなどできません。
私が書き起こしたものは、彼女達の事を忘れないための単なる覚書きになってしまいました。
彼女達との出会いや別れのシーンばかりが思い起こされ、結果として、自分が想い出しては切なくなるエピソードばかりを羅列することになってしまいました。
たまに、ネットなどで彼女達と同名の名前の方を見かけると、その方の顔や声、性格まで手に取るように解るような気がします。
もちろん、錯覚に決まっていますが。
そんな私にとって一番辛かったのは彼女達の名前を仮名にすることでした。
音感が変わると、まったく別な人のように思えてくるからです。
私は音は変えずに文字だけを置き替えることにしました。
やがてそこに、彼女達が姿を現しました。
「なぁ、覚えてるか? これ… 君のことを書いてみたんだ」
その言葉を伝えたい人が、私には居ます。
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