3番目の夫 8/11(金) 20:15:22 No.20060811201522 削除
佐藤が現れても今日の母は少しも乱れませんでした。
夫にもう隠すものは何も無く、全てをさらけ出して
許して貰ったと言う思いがある浅はかで単純な母は、
佐藤を見ても もう過ぎ去った過去の人としか見られないのでした。
しかしそんな夫婦の事は何一つ知らない佐藤は、
この間ついに母を再び抱いた事で 母が又
佐藤の『奴隷妻』に戻ったと思っているようでした。
佐藤は父と酒を飲みながらもちらちらと母にいやらしい視線を送り
それと同時にきわどい話に母を巻き込もうとするのです。
おそらく夫の前で母を恥辱し 責めさいなんでいると思い込んで
一人で舞い上がって喜んでいたのでしょう。
しかし今の母にはそんな佐藤の行為が、くだらない悪あがきのように
思えて 何も知らない佐藤に哀れみさえ覚えるのでした。
暫らくして佐藤は、思い出したかのようにバッグから新聞で包んだ
あの『ふうふこけし』を取り出し「二人へのお土産だ」と言うと
得意そうに二人の前で講釈を始めました。
母は勿論 父もそのこけしの淫靡な構造から使用方法まで
全てお見通しですが佐藤の話に合わせて驚いて見せるのでした。
母はさすがに張り形が出たときには、それで散々
乱れさせられたときの事が思い出されて顔を赤らめ俯くのでしたが、
佐藤はその反応を別の意味に取ったことでしょう。
佐藤もその張り形が自分の男根を模ったものだとは、
さすがに言えませんでしたがこけしを父に手渡しながら
「サッチャンもこれからいつでも楽しめるぞ」と
暗に母へ言葉を掛けるのでした。
暫く雑談が続いた後で佐藤が何時もの様に
「よっちゃん どうじゃろう?
今年もワシん所の仕事を手伝ってくれないかな?
給料も奮発するからよ。『富山』は今年でけりが付くから何とか頼むよ。
よっちゃんがいてくれれば全て上手くいくからよ。」
とこりもせずに父を仕事に誘うのでした。
『富山』の現場は、昨年末で80パーセント完成しており
この冬すでに仮オープンしておりました。
今年、あと2本のリフトを設置することになっていて
それで全て完成するのでした。
「遅くても十月までには終わるから・・・どうじゃろう?」
もう三月も残り十日程と言う事で佐藤もあせっているようでした。
それを台所で聞いていた母は、
『馬鹿な人・・・あんな事を言ったってお父さんが行くわけ無いのに・・・』
と思っているのでした。
「そうさなー・・・佐藤さんにそこまで言われちゃあなー
それにこんな良い物までもらっちゃあ断るのも悪いかなあ?」
と父は貰ったこけしを手にしました。
『まあ・・おとうさんったら又あんな事を言って
気を持たせて・・・ふふふ』と母が一人で笑いを堪えていると、
次の瞬間 夫が思いもよらない事を言い出すのでした。
「じゃあ今年も行くことにしようか?・・・なあ幸子」
母は、一瞬夫が何を言い出したのかと思い慌てて台所を飛び出すのでした。
「あなた!何を言うのよ! もう行かないって言ったじゃあない・・」
夫が冗談にもそんな事を言うはずが無いと思っていたので
母は気が動転してしまうのでした。
「だって 佐藤さんに こう毎日頼まれちゃあ断るのは悪いだろう?
さーて 今年も富山へ行って稼いでくるか・・・」
「本当かね!! いやー嬉しいぞ!
よっちゃんに来てもらえればバンバンザイだ。
早速、切符の手配をしておくからね・・いやー良かった良かった。
なあ サッチャンも良かったろ?」
と佐藤は飛び上がらんばかりに喜ぶと 最後は母にいやらしい
視線を送りながら、父の気が変わらぬ内にと早々に帰って行きました。
その後で台所で洗い物をしながら母は、
夫が何故あんな事を言い出したのか? 考えるのでした。
『きっとお父さんはあたしを試そうと思っているんだわ。
あたしがもう二度と浮気をしないかどうか、試すつもりなんだわ。
そうなんだわ。・・・いいわ あたしはもう絶対浮気はしないんだから』
と心に誓いましたが、そんな一方で
『でも・・半年間もあの人に誘われたら断りきれるかしら?
もし・・しちゃったら・・いいえ だめだめ絶対にだめだわ・・・
でも?断れなかったら?判らなければ?・・あああーどうしましょう』
と自分勝手な事を母は考えているのでした。
寝室で母は父に問い詰めるのでした。
「どうして・・・行くなんておっしゃったの?
あたしはもう あなたと離れて暮らすなんていやよ・・・
お願いだから断ってください」
母が必死で訴えると 父は真剣な顔つきで言うのでした。
「俺はずっと考えていたんだが、これは、俺とお前が
これから夫婦としてやって行けるかどうかの試練なんだ。
お前は俺の事を『愛してる』といったな?
佐藤との浮気に『愛』は無いと言ったな?
その言葉が本当かどうか、この半年でお前がどう言う気持ちになるか?
見てみたいんだ。」やはり父は母の気持ちを試そうとしていたのでした。
「いやよ!いや・・あたし もう一時もあなたと離れたくないの・・・・」
母としては、もう二度とあの忌まわしい似の前は踏みたくありません。
其の為には夫が常にそばにいて欲しいのです。
「お前だけじゃあ無いんだ。俺も離れて暮らして
そんなお前のことを愛し続けていられるか? 試して見たいんだ」
父の心の中も揺れていたんだと思います。
そしてまだ父は母を全て許した訳ではなかったのです。
「お前は佐藤と浮気をした。
いや ただの浮気なら笑って許せたかもしれない。
しかしお前は佐藤の『奴隷』になって一時とはいえ
あいつの事を愛したんだろ? 俺は其の事が我慢出来ないんだ。
ひょっとしたら 又お前は佐藤を愛してしまうのではないのか?
其の事が俺は心配なんだ。だからそれを確かめたいんだ」
やはり父は母の心変わりを心配しているのです。
そして母の夫への『愛』が本物なのか?試したいのでした。
其の事は母にも痛いほど分かるのでした。
「解りました。みんな私がいけないんですもの・・・
あなたの気持ちは よーく解りました。
でも信じてね、私はあなただけを一生愛しています。
だからあなたと離れて暮らしても、二度と浮気はしません。
あなたの帰るのを子供達と待っています」
確かに夫の気持ちは良くわかります。
半年間離れて暮らして見て、母が又佐藤とよりを戻すことになれば
それで夫婦は終わりだと思っているのでしょう。
母はもう二度と佐藤と浮気をしないと心から誓うのでした。
ところがその後で父は信じられないことを言うのでした。
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