[2484] 隣の芝生 38 投稿者:石井 投稿日:2005/12/20(Tue) 06:41
妻が片山を求めてしまったと思った私は、絶望感で怒りすらも無くしてしまい、2人をその場に
残し、一人うな垂れて階段を降りて行くと応接室のソファーに座り、テーブルの上にあった煙草
を一本出して火を点けると、涙が溢れてきて止まりません。
テーブルの端には見慣れたノートが置いてあり、ここで日記を読み返していて我慢出来なくなっ
た片山が、まだ昨日の今日だというのに妻を誘いに来たのだと思いましたが、その誘いに乗った
妻を考えると。今の私にはどうでも良い事に思えてきます。
読んで妻の事を知りたいという気持ちも、この時の私にはもう無かったのですが、片山に対する
些細な嫌がらせのつもりで、分厚いノートを握り締めて家に持ち帰り、床に叩き付けるとベッド
に横になって、布団を頭まで被りました。
しかし、そのような事で苦しみから逃れられるはずがありません
隣にある妻の枕を抱き締めて、もう妻はここに並んで眠る事も無いかも知れないと思うと、寂し
さが込み上げてきて、また涙が溢れてきます。
妻との楽しかった思い出が頭の中を駆け巡り、その妻が私の去った今も、まだあの様な行為を続
けているのかと思うと、失望感は徐々に怒りへと変わり、次第にそれは大きくなって自棄になり、
2人を殺そうとキッチンに行って包丁を握り締めましたが、その時食器棚の娘の茶碗が目に入り
ました。
母親はあの様な行為をしていて殺され、その犯人は父親なのです。
片山だけを殺したとしても、裁判などで母親と片山の関係を知った上に、父親は殺人犯として裁
かれるのです。
私には殺す事も出来ないという歯痒さでおかしくなりそうでしたが、娘の茶碗を手に取って見て
いると、その口惜しさよりも、もう一度娘の為に頑張る事は出来ないかという思いが湧き上がり、
何か方法はないものかと寝室に戻って、床に叩きつけた日記を拾って読みました。
しかし、どうしても旅館でお仕置きを受けている様子は読めず、次に関係を持った日からの、妻
が辱めを受けている部分も飛ばして読んでいると、注目すべき事柄が目に止まりました。
〔私は写真やビデオに撮って残すのが好きではない。そのような気が散るような事はしないで、
乱れていく様子をじっくり監察しながら頭の中に焼き付け、後でこのように思い出しながら書く
事に、より興奮するからだ。だから今までの女には、写真の1枚すら撮った事は無い。しかし真
美に限っては、今日写真を撮った。感じてしまっていて何も分からなくなっていた時に、気付か
れないようにポラロイド写真を2枚撮った。何故なら、真美にはこの様な行為を続けていても、
いつまでも私だけの女には、なりそうも無いと感じたから〕
妻は写真を撮られていました。
本来なら悲しむべき事かも知れませんが、今の私には、妻が快感を求めて自分の意思で片山の所
に行ったのではなく、脅されて仕方なく従ったのかも知れないという望みが出て、少し気持ちが
楽になったように感じました。
〔私は真美を由美子以上に気に入ってしまった。真美が私の手によって、貞操な仮面を剥がされ
ていく時、死んだ家内がまだ私の女では無かった時に、無理矢理犯していた時と同じぐらいの興
奮を覚える。いや、家内の時と違い、挿入も出来ないのにこれ程興奮するという事は、私の中で
家内よりも真美の方が、上の女になってしまったようだ。どうしても真美を私だけの女にしたい。
真美は私のために生まれてきた運命の女なのだ。その証拠に、硬くはならなくても真美の口の中
に射精出来た。まだ一度だけだが、それでもこれは奇跡だろう。真美以外では成し得なかった奇
跡だろう。真美なら私のオチンチンを硬くしてくれて、いつか必ずオマンコの奥深くに受け入れ
てくれるに違いない。それが出切る、この世で唯一の運命の女なのだ。ただ、真美はその運命に
気付いていない。今はこの様な行為を旦那に話すと言えば私に従うが、私だけの女になれと言え
ば、例え旦那に知られようとも、旦那の愛を信じて私には従わなくなるに違いない〕
片山は勝手な解釈をしていて、自分に都合の良いように、運命と言う言葉を弄んでいました。
〔しかし諦めなくても、真美に運命を気付かせる方法はある。旦那にはそうかも知れないが、こ
れが娘にならどうだろう。だから私は写真を撮った。多少手荒い方法だが、真美に運命だという
事を、分からせる為には仕方がない。大きく股を開いて、半開きの口から涎を垂らし、バイブに
イカされている写真を娘に見せると言えば自分の運命に気付き、私に従わざるを得なくなる〕
運命と言う言葉で自分を誤魔化していますが、これは完全な脅迫です。
『真美は望んで、自分からあの部屋に行った訳では無かった』
この文章を読んだ私の脳裏には、今日の昼下がりにこの家で起こった光景が、はっきりと浮かび
ました。
片山は慰謝料を持って来たと言って訪れますが、私にあの部屋で受けていた辱めまで見られて、
秘密の無くなった妻はドアを開けません。
すると片山はドア越しに写真の存在を告げて、返したいのでドアを開けてくれと言い、驚いた妻
は写真を返して欲しい一心で開けてしまい、強引に上がり込んできた片山に写真を渡されます。
その写真には、見るに耐えない妻の姿が写っていて、すぐに妻はその写真を灰皿で燃やすのです
が、片山は慌てる事も無く煙草に火をつけ、笑みを浮かべながら妻の身体を舐めるように見てい
た事でしょう。
片山を睨みつけ「もう出て行って」と言う妻に対し、片山は「残念ながら、写真はもう1枚あり
ます。それも返したいので、家まで取りに来て下さい」と言って出て行きました。
すんなりと返してもらえるとは思えずに散々迷った妻も、やはり取り返さないと何に使われるの
か心配でいられずに、片山の家に行ってしまいます。
妻は玄関で返して欲しいと頼みますが、返す気のない片山が、何事も無く返すはずがありません。
「写真は私の部屋の机の上にありますから、真美さんが取ってきて下さい」
妻は早く取り戻してこの家を出ようと、階段を駆け上がってあの部屋に行きますが、写真は何処
にもありません。
その時片山が入って来て、ドアを閉めてしまいます。
「何処にあるの?返して!早く返して!」
「いいえ、気が変わりました。あの写真は娘さんに見てもらう事にしました。娘さんは、自分の
母親が、どのような母親なのか知る権利があります。」
「そんな酷い事・・・・そんな酷い事をしないで!」
「そうですか?娘さんは母親が、こんなに好き者で淫乱な女だとも知らずに暮らすのですよ。家
族の中で自分だけが、母親の本当の姿も知らずに、これからずっと一緒に暮らすのですよ。その
方が余程酷い事だと思います。家族全員が真美さんの本当の姿を知った上で、全て理解して一緒
に暮らすのが、真の家族だとは思いませんか?」
娘だけには言わないで欲しいと泣いて縋る妻に対し、片山は娘に見せない代わりの条件を出し、
妻は従わざるを得なかったのだと思いました。
これは私の想像ですが、これなら家の中が荒れていなかった事や、灰皿に残っていた灰の説明が
つきます。
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