[2405] 背信14 投稿者:流石川 投稿日:2005/11/20(Sun) 14:45
北海道から帰って以来、由紀は日に日に変わっていくようだった。
亮輔が夫婦共通の知人であるカメラマンと酒を飲んだとき、下卑た笑みを浮かべて言った。
「由紀ちゃん、ますますイイ女になったよなあ。前は爽やかな美人って感じだったけど、このところ何か妖しいフェロモンが出てきたっていうか。仲間内でも『ゾクゾクしちまう』って評判だぜ。ああ、悪い悪い。亭主の前でこんなこと。だけど、結局おまえの仕込みがいいってことなんだから、怒るなよ」
確かに最近の由紀は、たおやかな風情が姿を消し、凄みのある美しさを醸している。女としての部分がにわかに強調されていく変貌ぶりは、夫である亮輔さえ時に息を呑むほどだ。研ぎ澄まされていく妻の美に夫として満足しながらも、それが他の男との情事による結果なのではないかという疑念を払拭できない。
「あの身体は、もう俺だけのものじゃないのか? 誰かに思うさま貪られているのか?」
疑心暗鬼は屈折した欲望を呼ぶ。亮輔が求めれば由紀も応じてくれるのだが、どこか受身の妻を感じざるを得ない。ますます細かくなった肌のキメ。みっしりと量感をたたえた白い乳房を凌辱するようにもみしだきながら、
(このおっぱいを他の男が愉しんでいるとしたら…)
異常な昂奮から一度の射精では飽き足らず、二度三度と妻の奥深くに荒ぶる感情を吐き出す。かつてない快感に恍惚とする一方、冷静に由紀を観察している亮輔がいた。ゆさぶられながら固く目を閉じ、まるで義務の時間が過ぎるのを待っているような彼女を。
運命を一変させる悪夢が訪れたのは、そんなある日のことだった。
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