[2440] 背信 <第二部 1> 投稿者:流石川 投稿日:2005/12/05(Mon) 22:48
「はあ、はあ……最高だよ……俺……由紀ちゃんとセックスしてるんだ!」
熱い吐息と共に身体の上で律動を繰り返す男を、由紀は冷ややかに観察していた。
(……結局……男なんてみんな同じなのね……)
昔の女に逆レイプさせる形で夫・亮輔を慰み者にした川村が次に命じたのは、
「おまえ、旦那の友達に犯されろよ」
というものだった。
「ただ、誘うだけじゃつまらねえ。その気にさせるだけさせといて、土壇場で突き放す。そうすりゃあ、男は誰もがチンポおっ立てて襲いかかってくるぜ」
(……悔しいけど、そのとおりだったわ……)
今、由紀の秘芯を貫いている田崎は亮輔の親友だ。
「学生時代からの腐れ縁でね。まあ、本当に信頼の置ける数少ないやつだよ」
付き合っている頃、そう得意げに紹介された。それからも結婚式の前後にわたって三人でキャンプへ行ったり、夜の盛り場を練り歩いたりしたものである。
「俺はさ、亮輔と由紀ちゃんの幸せのためなら、何だってできるよ」
という青臭い台詞が口癖の、誠実を絵に描いたようだった田崎。それが……。
「突然なんだけど、亮輔のことで相談があるの」
由紀からの電話に、田崎は疑う素振りもなく応じた。川村の出現で崩壊した夫婦関係。だが、プライドの高い亮輔が、友人相手とはいえ自分から家庭の恥を晒すとは思えない。由紀の読みは当たり、田崎は何も知らずに出向いてきた。
「おいおい、由紀ちゃん。どうしたんだい? そんな艶っぽい格好で。まさか俺を誘惑しようなんて思ってるんじゃないだろうな。亮輔に怒られちゃうよ、ははは」
待ち合わせたシティホテルのラウンジ。娼婦顔負けの濃い化粧を施し、黒いタンクトップに革のミニスカート姿で現れた由紀に、田崎は目を丸くした。
「うふふ。相談なんて嘘。田崎さんと二人きりで会いたかったの」
上目遣いに見つめると、まぶしいものを眺めるようにしてから目をそらした。
「い……いやあ、まいったな。本気にしちゃうよ」
その後、ダイニングからバーに流れながら、由紀は川村から命じられたとおりに行動した。
じっと話に耳を傾けるようにして、太股を押し付ける。冗談に笑い転げながら、さりげなく乳房を腕のあたりに当てる。ノーブラの胸元が見えることを計算して前かがみになる。
やがて田崎の眼に熱っぽい、オスの光が宿り始めた。
「ああ……あんまり楽しくてわたし、呑みすぎちゃった。もう帰れそうにないな……」
酔ったふりをしてしなだれかかると、かすれた声で、
「へ……部屋をリザーブしてくるよ」
と応えた田崎。
ドアのロックと同時に抱きすくめられると、由紀はシナリオに従って激しく抗った。
「いやっ! 田崎さん、やめてっ! 」
「何を言ってるんだ、ここまできて」
「わたし、そんなつもりできたんじゃないわ!」
思わぬ反撃に、かえって劣情を刺激されたのか、田崎は血走った眼で由紀をベッドへ容赦なく押し倒した。
「なんだよ、俺に抱かれたいんだろう? 」
「あなたは……いやっ……亮輔の友達じゃない……それなのに……くっ……こんなことするなんて……」
「黙ってれば、わかりゃしないさ。おい、いい加減にしろ!」
火の出るような平手打ちに一瞬、意識が遠のく。
「こんな格好で誘ってきやがって、とんだスケベ女だぜ。そうと知ってりゃあ、もっと早くやらしてもらうんだったな」
下卑た笑みを浮かべると、ろくな前戯もなく強引に分け入ってきたのだった。
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