[2462] 背信 <第二部 7> 投稿者:流石川 投稿日:2005/12/11(Sun) 13:17
精も根も尽き果てて戻れば、今度は川村の相手をしなければならない。
「今日はどんなスケベなことされてきたんだ?」
「どいつの魔羅が一番だったんだよ?」
「おまえも気分出してイキまくったんだろう?」
辛辣な言葉で心を踏みにじられ、男たち以上の精力で肉体を蹂躙される。
「……もう苛めないで……由紀はあなたの女だって知ってるくせに……」
消え入りそうな声で哀願する。
「俺の女だからこそ、どこまでも淫乱でなきゃいけねえんだよ」
「……でも……つらいわ……」
黒目がちの整った瞳から、涙がこぼれる。
女としての誇りも、人としての尊厳も捨て、コールガールのように身体を開き、奉仕に努める毎日。みずからが招いた結果とはいえ、亮輔と慎ましく穏やかに暮らしていた頃とのあまりの格差に、由紀の表情は暗鬱に沈むのだった。
「知ってるか? あの由紀ちゃんがさ、編集者の川村と付き合ってるんだって」
「えっ! だって彼女、結婚してたはずじゃ……」
「だよなあ。今じゃもう家には帰らずに、男のところに入り浸ってるらしい。あっちの相性がよっぽどいいんだろうって話さ」
「ショックだなあ。俺、彼女のファンだったのに……」
「あんなに清楚な顔してても、やっぱ女だったってことさ」
「くそっ。だったら俺も口説いてみるんだったなあ」
「無理無理、おまえの粗チンじゃあ。『旦那のほうがずっといいわ。さよなら』でおしまいさ」
「ふん、悪かったな。でもそんな話を聞いちゃうと、もう由紀ちゃんの顔、まともに見られないな」
噂はいつの間にか業界に広まり、仕事はバッタリとこなくなった。もっとも、仮に依頼があったとしても、今の由紀にはとても請ける余地などなかっただろう。
昼は夫の友人たちの相手をさせられ、夜は川村に奉仕する。一日の大半、秘園に誰かしらの勃起がねじ込まれているという淫猥な二重生活。体重はさらに落ち、その肢体は極限まで無駄を削がれていく。それでいて肌はますます艶かしく輝き、凄絶な美貌が見る者を圧倒するほどである。
由紀は、もはや一匹の美しき淫獣だった。
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