奥さんの性格を知っていた佐々木は、離婚という最悪の事態も想像出来たでしょう。
それでも妻との関係を続けたということは、いくらお金で女に言う事を聞かせても、終わってしまえば虚しい気持ちだけが残って満足出来なかったのが、妻を服従させる事が出来た事で有頂天になってしまい、何も考えられなくなってしまったのでしょう。
佐々木がどの様な目に合っても自業自得で、到底許す気にはなれませんでしたが、相手が離婚して無一文になるという罰を受けた以上、妻をどうするかの選択に迫られていました。
「美子は2つの家庭を壊したんだ。相手が離婚した以上、俺達もこのままでは済まない。美子はどの様に責任をとる?」
「何でもしますから、離婚だけは許して下さい」
私は佐々木の奥さんよりも女々しい人間です。
何故なら、妻の答えが分かっていて聞いているのです。
「駄目だ。片親になる息子の気持ちが分かるか?片親になってしまった、佐々木の家の子供の気持ちが分かるか?何でもしますと言っても、どうやって償うつもりだ。そんなものは自己満足で、誰も許しはしない。俺も許せそうもないから本当はすぐに出て言って欲しいが、とり合えず職が決まるまでは、お手伝いとして置いてやっても良いがどうする?」
「お願いします。一生懸命働きます。」
妻は泣き出してしまいましたが、泣きじゃくる妻を見ていて不謹慎にも興奮を覚えていました。
その後は妻に対して何でも命令口調で話し、本当のお手伝いさんになら言えないような厳しい言葉を浴びせ続けていましたが、妻の困る顔を見ると気が安らぐと同時に、不思議な興奮もあるのです。
その興奮は性的興奮にもつながり、その興奮を鎮めるだけのために、妻を道具のように扱っていました。
「よし、もう出すから飲め。一滴も溢さずに飲み込め」
しかし最初の頃は妻を従わせる事で多少なりとも気が休まっていたのですが、暫らくすると、私に絶対に逆らわずに、どの様な惨めな要求にも従う妻が面白く無くなり、以前の笑って暮らしていた頃が懐かしく思えて、妻を虐めれば虐めるほど落ち込んでしまうようになってしまいました。
「俺が眠るまでマッサージをしろ」
妻に腰を揉んでもらっていても、身体は楽になっても少しも嬉しくありません。
以前妻が腰を痛めた時に、毎晩私が腰を揉んであげていたのを思い出しましたが、何度も振り向いてお礼を言う、妻の喜ぶ顔を見ていた時の方が遥かに嬉しかったのです。
そんな事を考えていたら、自然と涙が溢れてきました。
私の涙を見た妻も、腰を揉みながら涙を流しています。
「私は・・・取り返しのつかない事を・・してしまったのですね・・・・沢山の人を不幸にして・・・・何もかも無くしてしまった・・・・・・・」
「ああ・・楽しかった思い出までも・・・・・・・全て」
あの投稿写真を見なければ、すぐには無理でもいつか許せると思ったかも知れません。
沖縄での会話を聞かなければ、もう少し違った解決方法があったのかも知れません。
性的な事は夫婦でも知られたくない事はあり、当然私にも妻に知られたくない秘密はあります。
妻には誠実な夫の振りをしていますが、隣の若奥さんがスカートを穿いて草むしりをしていた時、カーテンに隠れてスカートの中を覗いていた事があります。
近所の奥さんがゴミの整理をしていた時に胸元から乳房が見えたので、手伝う振りをしながら、ずっと覗いていた事もあります。
妻には知られないように細心の注意を払い、ネットを見ながらオナニーする事もあります。
ソープや他の風俗にも興味深々で、行ってみたいくせに妻に知られて軽蔑されるのが怖くて行けませんでした。
私には機会が無かっただけで、素敵な女性から誘われていれば、私が先に浮気していたかも知れません。
いいえ、勇気が無かっただけで、過去に抱いてみたいと思った女性は何人もいます。
そんな女性の乱れる姿を想像しながら、妻を抱いた事もあるのです。
妻に私の心が覗けたなら、もっと前に妻の方から離婚を切り出されていたかも知れません。
その前に、結婚すらしてもらえなかったかも知れないのです。
魅力的な女性が裸でベッドに入ってきたら、私は間違いなく抱いてしまうでしょう。
そこに愛など無くても、私はセックスを楽しむ事が出来るでしょう。
しかし妻は、いくら欲求不満になっても、気が狂いそうなほど身体が疼いていても、決して私以外の男に慰めてもらう事は許されないのです。
私以外の男で濡らしてしまう事すら許せない。
妻は神聖な存在で、どのような理由があろうとも、例え殺されようとも私以外とはセックスなどしてはいけないのです。
これが友人夫婦の話なら、もう一度考えろと言うでしょう。
子供の為に考え直せと言うでしょう。
心と身体は違うと言うかも知れません。
しかし、勝手だと言われようとも、小さな男だと罵られようとも妻だけは別なのです。
マッサージをやめて私の背中で泣く妻に、優しく穏やかに声を掛けました。
「離婚しよう。お互いに楽になる」
「あなた・・・・・・・・・・・はい・・・・・・」
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