[3897] 鬼畜 5 投稿者:鈍 投稿日:2006/01/09(Mon) 19:17
身体でも妻の愛を確かめたいのですが、完全に信用する事など出来ない私は、2人が
裸で絡み合っている姿ばかりが浮かび、とても抱く気には成れません。
「今日は学校に行かないのか?」
「行ってもいいのですか?」
当然大学は辞めさせる気でいたのですが、このまま彼との接点が無くなっては、一生
妻の真意が闇の中に葬り去られる気がして、妻の本当の気持ちを探りたくて続けさせ
る事にしました。
(安定した家庭や子供達を捨てる事が出来ないだけで、本当は彼を愛してしまったと
確認出来れば、俺は満足なのだろうか?)
妻と彼が顔を合わす事は最も嫌なはずなのに、私は壊れ始めていたのでしょう。
「奴とは一切言葉を交わすな。メールも駄目だ」
「・・・・・はい」
仕事中も、2人がラブホで抱き合っている姿が浮かび、早く帰って妻に今日1日の事
を聞きたくて仕方が有りません。
「一言も言葉は交わしていないだろうな?携帯を見せてみろ」
携帯には、妖しい物は有りません。
妖しい物が無いと言うよりは全て削除されていて、彼とのメールは何も残っていない
のです。
「奴との今までのやり取りは、その都度消していたのか。この調子だと、今日のも消
したかも知れないな」
「ごめんなさい。今日メールは来ませんでした。勿論私からもしていませんし、話も
していません」
「でも、奴の電話番号とメールアドレスは消せないようだな」
「それはゼミの連絡用に・・・・。彼だけで無く、ゼミの仲間は全て入っています」
そのことが面白くない私は、そのまま妻の携帯から彼に電話を掻けました。
「裕子か?旦那とはどうなった?」
「裕子?何を言っている!今からすぐに来い。慰謝料の話をしたい」
「あなたやめて!もう彼には関係ない。私が悪いの。私が償って行きます」
妻の彼を庇う態度で、更に私は壊れて行きます。
彼がやって来たのは、それから2時間も経ってからで、しかも父親と母親が一緒です。
「おうおう。やる事は一人前なのに、責任を問われれば、パパとママが一緒か」
「責任はとります。裕子と一緒になって、2人で償って行きます」
その言葉で私が立ち上がろうとすると、その前に中学の教頭をしているという父親が、
平手で頬を叩きました。
「まだそんな事を言っているのか!その話は出て来る前に終っただろ!」
「彰ちゃんにこれ以上付き纏わないで。あなたの様な、夫も子供もいながら何人と浮
気しているか分からないような女で、彰ちゃんの経歴に傷を付けられたくないの。あ
なたの様な女に引っ掛かった彰ちゃんが可哀想だわ」
小学校の教師をしているという母親は泣きながら、その後も妻に罵声を浴びせ続けま
した。
「馬鹿息子を庇う、親馬鹿の話はもう済んだか?慰謝料として500万。不服なら裁
判をする。話は以上だ」
「何を馬鹿な事を。息子は何も悪い事をしていないのに、何が慰謝料だ」
「2人は旅行に行った事は認めている。あんた達は、本当に何も無かったと信じてい
るのか?」
「あなた、私達は本当に・・・・・・」
「喧しい。そんな事は裁判長が判断してくれる」
「お前達夫婦は美人局だな」
「そう思うなら、告訴してみろ。本当は慰謝料なんかどうでもいい。ただお前の馬鹿
息子が、人妻にこう言う事をしたと公にしたいだけだ。美人局でも脅迫でも何でもい
いから訴えろ。警察沙汰になって事が大きくなれば、逆に俺は嬉しい」
「あなた。彰ちゃんの将来には代えられないわ。手切れ金を払いましょう」
「そうだな。悪い事はして無いから慰謝料ではなくて、手切れ金として明日30万持
って来る。これで文句は無いな」
「それで、もう彰ちゃんに関わらないで」
「言っただろ?俺は金が目的では無いと」
「欲の深い奴だ。20万上乗せして50万くれてやる。これ以上の脅しには乗らない。
だいたい夫婦が上手く行っていれば、こんな事には成らなかった。これは旦那にも責
任は有るのだぞ。旦那がしっかりしていないから、女房が男に走ろうとする」
「俺が何をした。俺は被害者だ。お前達の馬鹿息子に家庭を壊された被害者だ」
大事な一人息子を散々馬鹿息子と言われて気に触ったのか、父親の顔が見る見る真っ
赤に成って行きます。
「何が被害者だ。被害者は息子だ。何も知らない初心な息子を誘惑して、おまけに夫
婦の揉め事に巻き込み、本当にいい迷惑だ。話は終った。もう帰る」
一方的にそう言い残すと、息子を引っ張るように連れ帰りました。
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