[3928] 鬼畜 13 投稿者:鈍 投稿日:2006/01/21(Sat) 06:43
私はかわさずに殴られてやり、すぐに殴り返してやると、彼はよろけて座り込んでし
まいました。
「どうした!かかって来い!」
私は負ける気がしませんでした。
何故なら彼と私では、今まで背負って来た物や、壊された物の大きさから来る怒りの
度合が違うからです。
「親父を呼べ。親父も交えて、今後の事を話し合おうじゃないか」
「やめて!それだけは、やめて!あの人に知られれば、どの様な理由が有っても絶対
に許してくれない」
息子が答える前に、彼女が泣きながら叫びました。
「よし、俺が電話してやろう」
「やめろー!プライドの高い親父は、絶対に母さんを許しはしない。そんな事を話さ
れたら、僕の家庭が無茶苦茶になってしまう。家族がばらばらになってしまう」
「勝手な事を言うな!俺の家庭を無茶苦茶にしたのは誰だ!俺の家族をばらばらに
したのは誰だ!俺達には、幼い子供までいるのだぞ!」
「僕は、愛して、いたから」
「愛していたら何をしてもいいのか?それなら言うが、俺もお前のママを愛してしま
った。これでいいか?愛しているから、ママに何をしても文句は無いな?愛している
から、お前の家族をズタズタに引き裂いても文句は無いな?」
彼は泣きながら飛び出して行き、彼女を見ると、魂が抜けてしまったかの様な焦点の
合わない虚ろな目で、じっと床を見詰めています。
私は狂っていたのでしょう。
そんな彼女が可哀想とも思えずに、横から見える白いお尻に欲情してしまい、急いで
下半身だけ裸になると、彼女に覆い被さっていきました。
母と子供達が帰って来たのは予定よりも可也遅く、夕食の時間を遠に過ぎています。
「遅くなってしまって、ごめんなさい」
母を見ると、眠ってしまった息子を抱いています。
「お母さん、お姉ちゃんは何処ですか?」
母がドアの方を見ると、眠ってしまった娘を抱いた妻が入ってきて、無言で深々と頭
を下げてから、母と連れ立って子供を寝かせに行き、すぐに戻って来た2人は私の前
に並んで土下座しています。
「どういうつもりで戻って来た?忘れ物でも取りに来たのか?」
「ごめんなさい。この家において下さい。お願いします」
「それなら俺が、子供達を連れて出て行く」
「お願い。子供達とは離れられない」
「子供達とは?やっと正直になれたな。俺とはもう一緒に居たくないが、子供達とは
一緒に暮らしたい。出来れば俺一人を放り出し、その代わりに大好きな彼をここに住
まわせ、毎晩抱いてもらえれば言う事無しか」
妻が泣いて話せなくなると、代わりに母が口を開きました。
「裕子が愛しているのは、哲也さんだけです。ずっと話し合って来ましたが、その事
がよく分かりました。あんな事をしてしまって、信じろと言っても無理なのは分かる
けど、裕子は魔がさしただけで、本当に愛しているのは哲也さんです」
「お母さん、娘を庇いたいのは分かりますが、泥棒も捕まると『魔がさしただけだ』
と必ず言うのですよ。デートを楽しんだぐらいなら、浮かれて魔がさしたで済むかも
知れないが、本当に俺の事を愛していたら、他の男に抱かれる事など出来なかったは
ずだ」
そう言いながら、自分でも矛盾を感じていました。
何故なら、私は愛してもいない彼の母親を抱けたのです。
男と女では違うと、その考えを否定しながらも、私が一番気にしているのは妻の言っ
た『彰君が好き』という言葉だと気付きました。
いつしか母も泣き出し、散々世話になった母の涙には弱い私が寝室に逃げ込むと、妻
も後を追って入って来ました
「一生懸命償います。一生あなたには逆らいません。あなたが望む事は何でもします」
「今更、どうやって償う?俺の望む事は裕子の身体が、奴に抱かれる前のきれいな身
体に戻る事だ。俺を裏切って奴に抱かれていた事実を消して来い。それが出来れば許
してやる」
「出来ません。それは出来ないから、他の事で。他の事なら何でもします」
「よし。それなら今から、奴を殺して来い。早く行け」
妻は俯いて、涙を流しています。
「好きな彼を、殺せるわけが無いか。『私は彰君が好き』か」
何も言わずに俯いている妻を見ていて、私は離婚出来ないと思いました。
私を裏切った妻を、今までの様に愛していける自信など有りませんでしたが、このま
ま別れて妻が自由に成り、また彼に抱かれるかも知れないと思うと耐えられないのです。
結局、まだ妻に対して未練が有るのでしょう。
その証拠に、妻がどの様に彼に抱かれていたのか、知りたくて仕方がありません。
彼がどの様に妻を感じさせ、妻はどの様な反応を見せたのか、知らずには居られない
のです。
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