薬剤師 3
津島正義 4/1(水) 20:18:04 No.20090401201804 削除
「本部長が推進するプロジェクト業務を菜穂子が補佐するのか?。仕事の内容から言えば、営業企画的な仕事だろ!そんな仕事が菜穂子に務まるのか?適任者は他にいるだろ?」私はその職務は妻にはとても無理だと思ってそう聞いたのです。
「はい、本当のところは私も迷っています。村澤営業本部長が私の能力を買いかぶっているのかも知れませんが、私はやってみようとも思っています。無理ならその時に言ってくれたらよいと村澤本部長も仰ってくれていますし。」妻はそう答えました。
「菜穂子がやりたいなら引き受けてもいいけど、それには条件がある。やってみて無理なら変わって貰え!無理する必要はないのだから、子ども達や私に迷惑を掛けない範囲内でやりなさい。」俺は妻に条件付きで基本的に了承しました。
村澤本部長の狙いが本当は仕事にあったのではなく、菜穂子そのものにあったのです。それが解ったのはずっと後になってからでした。この時私には村澤がそんな邪な欲望を持っていようとは夢にも思っていなかったのです。ですから妻には荷が重いと思いながらも、条件付きで了承したのです。
妻は実際の年より若く見え、色白で、顔の彫りが深く、鼻筋が通おり、女優のような顔立ちです。身長165㎝、体重52㎏で、胸とお尻が大きくモデルのようなスタイルをしています。書類を持って社内を闊歩する妻は目立つ存在なのでしょう。村澤はその妻に目をつけ淫欲の標的にし、罠を仕掛けたのです。
よく考えればおかしな提案です。妻は社会経験は短く、営業の計画立案・実行を補佐する職が務まるほどの経験はないのです。薬剤師という国家資格を持っているだけです。特殊な専門職ですから営業というジャンルで応用が利くとはとても思えません。ですから何か裏があると考えるのが普通だと思います。
でもその時は、妻はもちろん、私もまったく気がつかなかったのです。会社の役員が部下の女性をものにするために、役職上の権限を行使するなど想像だにしていませんでした。今時そんな役員がいるとは私の想像の範囲外だったのです。なぜおかしいと気がつかなかったのかと、責められても私には抗弁できません。本当に解らなかったのです。残念でなりません。悔やまれます。
妻が入社したとき、村澤は既に取締役営業本部長で、雲の上の存在であったようです。ですから入社2年ほどは村澤とまったく顔を合わせることも口を聞くこともなかったと妻は言います。
しかし、入社2年半を過ぎた頃、妻の仕事が変わり、全国の営業所の営業成績を集約する業務に関わるようになってから、その報告のため妻は村澤と顔を合わせるようになったようです。
そうした中で妻は村澤に好かれたのかも知れません。結局、妻は村澤の提案を引き受けたのです。4月1日、人事発令があり妻は正式に営業本部長直属の部下に就きました。辞令を持って挨拶回りに行こうとしたとき、村澤本部長が営業部に現れました。
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